学部・学科・大学院

海洋生物科学科

有瀧 真人(ありたき まさと)

職 名 教授
学 位 博士(農学)
専門分野 増養殖学
担当科目 水産学概論、増養殖学、魚類の飼料と栄養、資源育種学特論、資源利用育成実習(2)など
メッセージ 今、水産業は「穫れない、食べない、獲りにいけない」の三重苦で窮地に立っています。私達の研究室では、健全な魚の子供を育て、放流や養殖へ安定的に供給する技術の確立をめざしています。魚を育てることは相手の一生をよく理解することが大切だと考えます。我々は真摯に魚達の声を聞きながら研究を前進させていきます。

皆さん魚の「形態異常」ってわかります?

人工的に飼育した魚には、天然の個体とは異なる形態を持つものが出てきます。特に成長や生残など、養殖や放流で利用する際に問題となる姿形の差異を「形態異常」と称しています。一口に形態異常といっても色々なものがあります。カレイやヒラメではちゃんと変態しない「変態異常」が、多くの魚では鰾(うきぶくろ)が出来ないためにおこる「脊椎の湾曲」が大きな問題となっています。私たちは、これらの他にも様々な形態異常を調べ、形態異常とは何か?なぜ発現するのか?どうやって対処するのか?を研究しています。

アカアマダイの形態異常(脊椎の湾曲)

私たちは「形態異常とは何か?」をこのように研究しています

問題となっている形態異常に対し、以下のように取り組んでいます。

     
  • 1.どんな異常が発現するのか:様々な種類、異なった生活史の魚種を用いて、どこにどのような異常が発現するかを観察し、形態異常のタイプを類別化します。
  • 2.どの骨格系に異常が発現するのか:異常の発現した骨格がどのように変形しているかを詳細に観察します。
  • 3.いつ発現してくるのか:異常の現れる骨格系の形成過程を明らかにするとともに、いつ異常が発現するかを把握し、対処する時期を検討していきます。

学生自らが考え、検討しながら研究を進めます

なぜ形態異常は飼育の現場で多く発現するのでしょうか?

飼育の環境は密度や餌の質等、本来魚が生活している状況に比べて過剰なストレスがかかることは想像に難くありません。私達は、このような飼育環境のストレスが親や卵に大きな影響を与え、その結果として形態異常が多発すると考えています。事実、これまでの取り組みの中で、卵の質やごく初期の飼育の善し悪しと形態異常について強い関わりが窺えました。そこで、産卵期の長いシロギスを用いて親の状態や卵の形成過程、ストレス負荷などと形態異常の関係について検討しています。

シロギスをモデルに検討を始めています

どうやったら形態異常に対処できるのでしょうか?

私達も日々の生活でストレスを感じています。それは自分の意に添わない状態が長く続くとより強くなります。魚も同様です。彼らの生活や特性をよく理解せず、我々の用意した環境を押し付けているからストレスが高まり、問題が多発するものと考えます。言い換えれば、形態異常の発現はもの言えぬ、魚達から届いた必死のメッセージだとも言えます。我々は様々な飼育実験から、対象生物の特性を把握し、天然魚と比較することで、飼育の至適な条件を確立します。将来的には飼育の困難なクロマグロやウナギ等にも応用していきたいと考えます。

飼育試験を行い魚のメッセージを受け取れるようにしていきます