生命工学部

Faculty of Life Science and Biotechnology

資源利用育成実習(2)「海産魚類の発育」

資源利用育成実習(2)「海産魚類の発育」

3年生の資源利用育成コース履修者を対象とした後期開講科目の資源利用育成実習(2)では、ブリを対象魚として卵から稚仔魚までどのように成長するのか、発育段階を学ぶ実習を行っています。まず、ブリの成魚の形をよく考えながら、国立研究開発法人 水産研究・教育機構がHPに公開しているブリのペーパークラフトを作成します。次に卵から稚仔魚までを発育のステージごとにスケッチします。最後に、発育のステージごとに細かくサイズを計測し、グラフ化することで仔稚魚の体形が極めて短期間に変化する様子を学びます。

資源利用育成コースは、将来養殖業等で魚の飼育に関わる仕事を希望している学生も多く所属するコースです。健全な魚を飼育するためには健全な魚の形態を知らなければいけません。そのためにはよく魚を観察することが大事で、よく観察するとはどういうことかを学ぶ実習となっています。

初日はペーパークラフト作りから開始しました。

完成したペーパークラフトをチェックのために回収したのですが、水揚げ後に市場に並んでいるかのようです。細部までこだわって丁寧に作った学生もおり、完成品は家で飾る予定の学生もいました。

1日目の後半から、卵~稚仔魚のスケッチに入ります。

ここでのスケッチは、何となく見た目のバランスを取りながらデッサンのように描くのではなく、細部を測定してデータに基づいて作成するものです。このデータの数が多ければ多いほど、正確であれば正確であるほど、完成後のスケッチのクオリティが上がります。

注意すべき点を細かく確認しながら下書きし、さらにペン入れをして完成を目指します。全体は8日間の実習ですが、スケッチは原則5日目までの完成を目指し、間に合わない部分は宿題にしながら6枚のスケッチを完成させました。

スケッチが終わると、残りの3日間で全長に対するいろいろな部位の大きさの比率を求めてデータの解析を行いました。各自できちんとサイズを測り、全員のデータを集約した値をもとにグラフ化すると、稚仔魚の成長で変化が起きる部位がわかりやすくなったのではないでしょうか。

このように、この実習は魚をよく観察する必要がある実習です。同じ試料でも、描く人によってスケッチがかなり違いますし、測定する人によって測定結果も違います。きちんとしたデータを安定して出すことがいかに難しいか、そしてきちんとデータを出すには集中して取り組む必要があることを実感してもらえれば、来年の卒業研究にも生かせると思います。

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