フィールド生態環境実習(2)「生活環境の保全に関する環境基準項目の測定とグループ発表」
3年生のフィールド生態環境コース履修者を対象とした後期開講科目のフィールド生態環境実習(2)では、前半に「生活環境の保全に関する環境基準項目(湖沼)」の測定を行いながらその手法を学び、後半に1年後に迫る卒業研究発表の気分を事前準備含め少しだけ味わってもらう前半の内容を使った発表会、の2部構成で実施しています。
前半の環境基準の測定については実際に多くの環境調査会社で実施されている方法で測定していますので、将来そういった会社に就職するかもしれない学生の学びになることを期待しての実施です。
このブログでは前半の実験の様子を中心に報告します。

設定された調査池の1つを採水・調査しています。
写真は専用の測定機器を使って現場データを測定中の様子です。現場で測定できるものは測定し、残りの項目は当日すぐに測定するものと、適切な処理をして後日測定するものに分けます。


大腸菌数の測定の様子です。
この項目は、当日すぐに測定の準備をしないといけません。クリーンベンチ内で一人ずつ無菌的に一定量の試料水をろ過し、前日作成していた特殊な培地上でフィルターごと約20時間培養します。培養後の大腸菌は青から青紫色のコロニーを形成しますので、じっくり観察して取りこぼしのないように計数しました。

CODの測定の様子です。
薄くピンク色が着くまで滴定します。一滴ずつ濃い赤紫色の試薬を加え、色が消えるまでにかかった時間が早ければまだまだ、遅くなればそろそろ終点、となります。滴定は思わず入れすぎてしまう失敗がよくあるのですが、概ね問題なく滴定を終えたようです。
また、この実習ではグループ発表も行いますので、考察の一助になるような測定項目以外も別途調査しています。
1つ目は試料の懸濁物の観察です。
同じような濁りでも、原因がシルト(泥)と植物プランクトンでは水質への影響含め全く異なる結果になります。顕微鏡観察をして、調査対象の池の水はどういった理由で濁っているのか大まかに把握しました。
2つ目は無機態窒素・無機態リン・ケイ酸態ケイ素濃度の測定です。
これらは全て植物プランクトンにとって大事な栄養素です。環境基準の測定項目である全窒素・全リン濃度の測定はオートアナライザーで測定しましたので、測定の待ち時間を使ってパックテストをアプリで行いました。

この後は週をまたいで2日間グループ発表の準備を行い、3週間後の最終日に発表会となります。
例年、実験よりもデータをまとめて発表する方が大変だったという感想をもらっています。ぜひこれを良い経験として来年の卒業研究に生かしてもらえることを願っています。




