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人間文化学科

原 千史(はら ちふみ)

職 名 准教授
学 位 文学修士
専門分野 ドイツ思想
担当科目 社会思想と倫理、ヨーロッパ文学研究、ヨーロッパの芸術と思想、社会学概論、ドイツ語表現法など
メッセージ 20世紀は2度にわたって世界大戦が勃発し、大量虐殺や原子爆弾の投下など未曾有の野蛮が猛威をふるった時代でした。人類の理性は本来ならば社会の進歩・発展に寄与するはずなのに、皮肉なことに野蛮へと加担していくことになったのはどうしてなのでしょうか?

既存の学問理論を反省し、現状を批判的にとらえる!

20世紀ドイツを代表する思想家テオドール・W・アドルノは、哲学のみならず、社会学、美学、音楽学など多方面にわたって鋭い思索をかさねた思想家です。これまでの学問は実証性や狭い学問分野内での体系性を重視するあまり全体社会とのつながりを見失い、野蛮へと向かう時代の流れに何一つ抵抗することはできませんでした。アドルノがホルクハイマーとともに、つねに全体社会とのつながりを意識し、現状の反省と批判を通して抑圧と野蛮から解放された社会を実現するために展開した批判理論は、今日もなお影響力を持ち続けています。

思索するTh.W.アドルノ(1903〜1969)

イメージとはなんだろうか、また社会でどんな役割を果たしているのだろうか?

イメージは今日、現実と仮想のいずれの世界においても、まさに氾濫しています。これもインターネットの普及やデジタル技術の発達により、比較的容易に大量のイメージを制作し流布させることが可能になったことによるものです。こうしたイメージをめぐる新たな現象を前にして美学では、従来の芸術の枠に収まらないイメージを扱うイメージ学という新たな学問分野が今世紀に入ってから台頭してきています。多種多様な理論に依拠したイメージ学が林立する現在、批判理論の立場からイメージを社会との関係において考察しています。

視るとは? R.マグリット「人間の条件」(1933年)