【心理学科】「カタチを組む/ヒカリで遊ぶ」 のボランティア
心理学科の向井です。今回の記事では、赤澤教授とゼミ生などが参加したボランティアについてご報告させていただきます(執筆は赤澤教授です)。
2025年7月20日(日)に発達心理学研究室所属の3年生6名が、ふくやま美術館の「アートで遊ぼう ブルーノ・ムナーリ展」に併せて行われたファミリー・アート教室「カタチを組む/ヒカリで遊ぶ」にボランティアとして参加しました。当日は美術館からの依頼で、メディア映像学科の久保田准教授と学生達も映像班として参加していました。
<深田先生を囲んで記念撮影>
2025年7月12日から9月15日まで、ふくやま美術館にて「アートであそぼう ブルーノ・ムナーリ展」が開催されています。ブルーノ・ムナーリはイタリア出身で、芸術家、デザイナー、絵本作家としての顔だけでなく、「創造性の育成」にも力を入れるなど教育者としての一面も持ち合わせている人物です。私もムナーリ作品の色彩感覚には魅了されている1人です。
7月20日にムナーリ展に併せて企画されたファミリー・アート教室「カタチを組む/ヒカリで遊ぶ」の実施者は、愛媛大学教育学部教授であった深田昭三先生です。深田先生は、ここ数年間、発達心理学研究室が行っている乳幼児とその親を対象とした「子ども遊び広場」にも講師としてお招きしている先生です。先生の研究テーマは「子どもの科学的思考を育てる遊び」であり、ムナーリの実践した「創造性の育成」とも共通点があります。この企画に、午前、午後ともに15~17組の親子が参加し、大盛況でした。
ファミリー・アート教室「カタチを組む/ヒカリで遊ぶ」で、深田先生は以下のような5つのコーナーを企画されました。そして、教室開始前に、深田先生より学生に各コーナーの説明があり、学生が一人ずつコーナーを担当することになりました。

<左:各コーナーの構成 右:説明を聞いている学生の様子>
①の「KUMELエリア」は深田先生自作の玩具のコーナーです。②の「Kaplaエリア」は、1987年にフランスで作られた玩具です。これらの玩具を組み合わせることで、様々な造形物をつくることが出来ます。実際、子どもたちは自由な発想で玩具を組み合わせて、大人が思いもつかないような造形物をつくり上げていました。子どもだけでなく、学生も夢中になって物つくりを楽しんでいました。③はおもちゃテーブルで、何種類もの不思議な玩具が置かれているコーナーです。

<左:KUMELエリアで遊ぶ親子 右:Kaplaで大作に取り組む大学生>
<休憩時間に おもちゃコーナーで遊ぶ大学生>
④と⑤のエリアは薄暗いエリアとなっており、ここは深田先生が頻繁に行かれているイタリアのレッジョ・エミリアでの教育からヒントを得てつくられたコーナーとなっています。④はライトテーブルや鏡を用いて造形物の光や影、色の重なり、実物の造形物と鏡に映った造形物の対比から、その不思議さや美しさを楽しむコーナーです。⑤は箱庭で用いられるようなミニチュアの動物や木などを用いて、手元に自分だけのワールドをつくって楽しむだけでなく、それをWebカメラでスクリーン上に投影させて実物とは違った見え方や見せ方を楽しむコーナーとなっています。

<左:光テーブルで遊ぶ様子 右:Webカメラで映す様子>
以下はボランティアに参加した3名の学生の感想です。
景山 美幸さん(発達心理学研究室:島根県立三刀屋高等学校出身)
「私はこれまで、子どもと一緒に遊ぶ経験がなかったため、当初はどのように関わればよいか不安を感じていました。しかし、今回深田先生による『カタチを組む/ ヒカリで遊ぶ』に参加することで、子どもたちとの遊び方や、大人と子どもがどのようにコミュニケーションを取っているのかについて学ぶ貴重な機会となりました。午前中は『Webカメラとプロジェクタ』、午後は『Kaplaエリア』を担当し、それぞれのエリアで子どもたちと一緒に楽しく過ごすことができ、自分自身も多くの学びを得られました。」
河原 翔さん(発達心理学研究室:広島県立戸手高等学校出身)
「ファミリー・アート教室のボランティアとして、アートや映像、おもちゃコーナーなどで多くの子どもたちと触れ合うことができました。どの遊びでも目を輝かせながら取り組む子どもたちの姿が非常に印象的でした。特に『カタミノ・ファミリー』という木製のパズルゲームでは、子どもたちが完成に向けて『あとちょっと!』と集中しながら挑戦する姿から、彼らの成長を実感しました。私自身も子どもたちと一緒に遊ぶ中で、新たな一面に気づくことができ、非常に楽しく、有意義な時間を過ごすことができました。」
塩田 愛莉さん(発達心理学研究室:比治山女子高等学校出身)
「今回のボランティア活動を通じて、人形遊びや折り紙、切り絵といった遊びにも光や映像を組み合わせることで、これまでにない世界観やアート表現が生まれることを学びました。また、大学生である私たちも子どもたちと一緒になって遊びを楽しめたことで、改めておもちゃは年代を問わず共有できるツールであることを再認識しました。これまでほとんど子どもと接する機会がなかったため、子どもたちの大人には思いつかないような自由な発想に驚かされる場面も多々ありました。今回のファミリー・アート教室への参加を通じて、非常に貴重な経験ができたと感じており、今後もこのようなボランティア活動にぜひ参加したいと思っています。」
実は、今回のファミリー・アート教室「カタチを組む/ヒカリで遊ぶ」は、ふくやま美術館学芸課の職員が、本学学長室ブログに掲載された、子ども遊び広場講師として深田先生をお迎えした際の記事をご覧になったことがきっかけでした。このようなご縁により、7月20日に開催される今回の企画には、発達心理学研究室の学生もボランティアとして参加することとなりました。この出来事を通して、本学の学長室ブログが地域の皆様と大学をつなぐ重要なツールであることを、改めて認識することができました。今後も、地域の皆様に向けてさまざまな情報を積極的に発信していきたいと考えています。
学長から一言:発達心理学研究室の皆さんが、ふくやま美術館で開催の「アートであそぼう ブルーノ・ムナーリ展」に併せて企画されたファミリー・アート教室「カタチを組む/ヒカリで遊ぶ」にボランティアで協力。これまでも心理学科の企画「子ども遊び広場」の講師としてご指導を受けて来た深田昭三先生と一緒になって子ども達の創造性を高める活動を行う中で、さまざまな学びがあったことでしょう。お疲れ様でした。




