【国際経済学科】2025年度トップ10プログラムレポート(Part1)究極のアクティブラーニングを
今年も国際経済学科のトップ10プログラムがニュージーランドで実施され、鈴木講師の引率のもと9名の学生が参加しました。事前学習からニュージーランド現地での企業見学までには税務会計学科の飯田教授と国際経済学科の佐野講師も同行し、ご協力を頂きました。以下、引率の鈴木講師によるその様子(前半)のレポートを国際経済学科の呉青姫が投稿します。
こんにちは。福山大学経済学部国際経済学科の鈴木伸です。
福山大学経済学部国際経済学科では、日々の学業において優秀な成績を収めた学生を対象として、海外研修であるトップ10プログラムを毎年実施しています。今年度も本学科の恒例の渡航先となっているニュージーランドを舞台に、2月22日から3月11日にかけて、選抜された2年生9名とともに研修を行いました。私自身、引率教員として学生たちと行動を共にしながら、オークランド、ウェリントン、クライストチャーチという特徴の異なる三都市で多様なプログラムに取り組んできました。
本研修の核心は、現地の産業や社会の仕組みに直接触れることで、学生たちが自分自身の将来や価値観を主体的に捉え直す点にあります。本プログラムはこれまでも実践的なアクティブラーニングの場として機能してきましたが、今年度は学科全体として、その学びの質をさらに高めるべくプログラムのバージョンアップに取り組みました。
より充実した学びを実現するため、渡航前の事前学習の厚みをこれまで以上に増すとともに、現地クライストチャーチで開催されるJapan Fiestaという舞台で学生自身が備後地域の魅力を発信するというアウトプットの機会を新たに設けています。
私たちは単に海外へ出向いて現地の様子を視察するだけでは、真の学びには到達しないと考えています。そこで渡航に先立ち、私たちが暮らす備後地域について深く知るための事前学習に多くの時間を割きました。福山市役所の皆様からはデニム産業やばらのまちづくりの歴史についてレクチャーをいただき、篠原テキスタイル様からは備後デニムが歩んできた道のりと現状についてのご講演を賜るとともに、現地で使用する貴重なデニム生地のご提供をいただきました。さらに、坪生小学校の皆様には、福山ならではの折りばらの作り方を直接ご指導いただきました。

【篠原テキスタイル工場見学】
なお、これら事前学習での詳しい様子や学生たちの学びにつきましては、語るべき内容が数多くあるため、また改めて別記事として詳しくご報告したいと考えております。
国際経済学科の教員として、私はこの研修を通じて学生たちにグローカルという視座を育成してほしいという強い願いを持っていました。外国と日本、そして自分たちの地元の間に存在する共通性と異質性をしっかりと理解すること。その文脈を意識しながら相手国の社会や経済を学び、同時に自らの足元にある地元の産業や文化を再評価すること。さらには、相手の国において自分たちの地元の魅力を堂々と発信できる能力を身に着けてほしい。そんな思いを胸に、日本という安全圏を飛び出した学生たちの奮闘が始まりました。
プログラム前半の舞台は、ニュージーランド最大の経済都市であるオークランドと、首都ウェリントンです。ここでは、世界を相手にビジネスを展開するグローバル企業や、国家の根幹を担う行政機関の最前線に足を踏み入れました。
オークランドで最初に訪問したZespriでは、キウイフルーツの生産から輸出までを支える精緻な仕組みや、世界的なブランド戦略について説明を受けました。学生たちは渡航前の事前学習において、同社のビジネスモデルについてすでに知識を深めていました。その強固な土台があったからこそ、単に受け身で視察をするのではなく、頭の中で必死に表現を組み立てながら、自らの言葉で英語の質問を投げかけるという非常に頼もしい場面が見られました。

【Zespriのキウイ農園】
実際の農園では、ゴールドキウイの木の高さを均一に揃えて日光を全ての果実に均等に当てる工夫や、徹底した防風対策など、厳しい自然条件と常に向き合いながら品質を維持する地道な取り組みが行われていました。また、同社が株式会社でありながら実質的には世界中の契約農家と協力する協同組合のような形態をとっていることや、持続可能性をキーワードにしたブランド作りを行っていることは、教員である私の視点からも非常に興味深いものでした。学生たちは、大学の授業で学んできたスマートな戦略という理論が、決して机上の空論ではなく、こうした農業現場における泥臭い努力によって初めて成立しているという事実を肌で実感していました。
続いて訪問した三菱商事では、担当してくださった清水様から、海外の最前線で働く意義やキャリア形成についてお話を伺いました。清水様が三菱商事に入るまでの紆余曲折や、大学卒業後にアメリカ、ニュージーランドと渡り歩いて自ら行動を積み重ねてきた経験談は、学生たちの進路観を大きく揺さぶりました。学歴や他人の意見に甘んじるのではなく、常にアンテナを張って今しかできないことに挑戦する重要性を学び、いい大学だから頼られるのではなく、その人自身だからこそ頼られる存在になりたいと決意を新たにする姿が見られました。

【三菱商事オークランド事務所】
また、JETROオークランド事務所では、現地の産業構造や貿易動向の実情について基礎的な部分から丁寧に解説していただきました。ここで特筆すべきは、国澤様や今野様といった、第一線で活躍される女性スタッフの方々にご対応いただいた事実です。同事務所がBaker Tilly Staples Rodway Aucklandという現地のプロフェッショナルな会計事務所内にあるという環境も相まって、参加メンバーに女子学生が多かった今回のチームにとって、女性が海外のビジネスシーンで第一線に立って働く姿を目の当たりにしたことは計り知れない刺激となりました。将来は自分も海外での仕事に挑戦してみたいと意気込む姿が見られるなど、具体的なロールモデルとの出会いが彼女たちのキャリア観を大きく広げた瞬間でした。

【Jetroオークランド事務所】
首都ウェリントンに移動した後は、ニュージーランド第一次産業省(MPI)を訪問しました。ここでは担当のカミラ様から、非常にフランクな雰囲気の中でお話を伺うことができました。とりわけ私の関心を強く惹き、また学生たちにとっても最大の学びとなったのは、農業補助金に頼ることなく、純粋なビジネスとして厳しい国際競争を勝ち抜いていくニュージーランド農業の逞しさと、その洗練された海外輸出戦略です。オークランドでZespriのキウイ農園というミクロな現場の仕組みをあらかじめ視察していたからこそ、マクロな政策が現場のビジネスといかに密接に結びついているのかを、学生たちは驚くほど立体的かつ具体的に理解できたようです。

【第一次産業省のカミラ様のお話を聞く写真】
こうした企業や行政機関での高度な研修内容は、学部2年生の学生にとって決して咀嚼しやすい易しいものばかりではありませんでした。しかし、最前線で活躍する大人たちとの対話を通じて、彼らは少しずつ自らのキャリアの選択肢の中に海外という舞台をしっかりと位置づけ始めました。自らの価値はこれからの行動次第で創り出せるのだという強い気づきを得たことは、前半戦における何よりの成果でした。
次回、後半のブログ記事では、クライストチャーチでの語学研修やホームステイ、そして地元の誇りを胸に挑んだJapan Fiestaでの奮闘記をお届けします。
学長から一言:国際経済学科がニュージーランドで実施した海外研修では、地元福山の企業などで出発前にしっかり行った事前研修の成果を現地のJapan Fiestaという催しで紹介する課題をこなした他、現地の農園、日本企業の三菱商事、JETROオークランド事務所、ニュージーランド第一次産業省と、さまざまな訪問先で現地の産業、行政、文化、生活などについて多彩な学びを展開。18日間の限られた期間にギュッと詰め込まれた濃密な研修内容が伝わって来ました。




