経済学部

Faculty of Economics

【国際経済学科】2025年度トップ10プログラムレポート(Part2)福山から世界へ

【国際経済学科】2025年度トップ10プログラムレポート(Part2)福山から世界へ

国際経済学科のニュージーランド研修について、前回のPart1に引き続き、Part2を引率の鈴木講師からのレポートを学科のFUKUDAI Magメンバーの呉青姫が投稿します。

 


こんにちは。福山大学経済学部国際経済学科の鈴木伸です。

前編では、オークランドとウェリントンにおける企業・行政機関訪問の様子をお伝えしました。後編では、舞台を南島のクライストチャーチへと移し、学生たちが現地の生活に飛び込み、自らアウトプットに挑んだ後半戦の軌跡をご報告します。

マクロな経済の学びを終えた一行は、南島最大の都市クライストチャーチへと移動し、リンカーン大学での語学研修を開始しました。ここでは、学生たちは容赦のないリアルな言語と文化の壁に正面から向き合うことになります。

【リンカーン大学の開放的なキャンパス風景】

研修初日、ネイティブスピーカーの速い会話スピードに圧倒され、英語が全く理解できないという現実に直面した学生たちの表情には、隠しきれない戸惑いと焦りが浮かんでいました。しかし、広大で開放的なキャンパスの空気に刺激を受けながら、彼らは少しずつ自分の殻を破り始めました。私が横で見ていて特に胸を打たれたのは、言葉が思うように出てこないもどかしさを抱えながらも、決してコミュニケーションを諦めない姿勢です。完璧な単語を探して沈黙するのではなく、身振り手振りや知っている限りの表現を総動員して、何とかして自分の意思を伝えようと食らいつく泥臭い奮闘こそが、この研修の真の価値だと感じました。

その学びの集大成となったのが、3人1組のチームで挑んだ最終プレゼンテーションです。彼らはニュージーランドと日本の比較というテーマを掲げ、滞在中に自分たちの五感で捉えた食事のボリュームや味覚の違い、水資源を大切にする住環境のリアル、さらにはビジネス慣習の相違点について発表を行いました。学生ならではのみずみずしい感性で切り取られた比較は非常に興味深く、リンカーン大学の先生からも高い評価をいただくことができました。できないなりに必死に伝えようとし、それが通じたときの喜びを知った彼らの中に、もっと英語を学びたいという内発的なモチベーションが力強く芽生えていく様子に、確かな手応えを感じました。

【最終プレゼンテーションで、自信を持って発表する学生たち】

また、現地の家庭に深く入り込むホームステイは、文化の異質性を肌で感じる過酷で、かつ温かな教育の場となりました。水が非常に高価であることからシャワーの時間を5分以内に制限される不便さや、夜の8時には家中の電気が消えて全員が就寝してしまうという生活リズムの衝撃に、学生たちは一様に驚いていました。しかし、そんな環境だからこそ、ホストファミリーとの食卓が最高の実践場となりました。

初めて口にする本場のラム肉の美味しさに感動し、ホストファミリーと一緒にタッチラグビーを楽しんだり、飼い犬や猫と戯れたりする中で、彼らは言葉の壁を越えた確かな心の繋がりを築いていきました。主語を私とするよりも私たちという複数形を用いたほうが周囲との調和を重んじる自然な響きになることを教わるなど、言語の背後に潜む他者を尊重する価値観の違いに気づかされた学生もいました。

本プログラムの最大の挑戦であり、今年度さらに質を高めた究極のアクティブラーニングの舞台が、現地で開催されたJapan Fiestaへの参加と、バラ協会との交流です。Japan Fiestaの会場において、学生たちは事前学習で篠原テキスタイル様からいただいたビンゴデニムを活用し、デニム折り紙のワークショップを運営しました。ここで現地の来場者とともに折ったのは、手裏剣や鶴、そして渡航前に坪生小学校の皆様から伝授していただいた、福山ならではの折りばらです。デニム生地で日本の伝統的な折り紙をするという独創的な試みは現地の多くの人々の関心を惹きつけました。

言葉の壁があるなかで折り方を英語で丁寧に教える作業は、想像以上に根気のいる重労働でした。しかし、デニムの手裏剣が完成して満面の笑みを見せる子どもたちの姿や、福山大学の学生なのかと気さくに話しかけてくれる来場者との交流が、学生たちの疲労を大きな充実感へと変えていきました。地元の伝統技術が海を越えて見知らぬ人々の笑顔を作っていく光景は、学生たちに計り知れない自信を与えたはずです。

【現地の子どもに目線を合わせ、英語で折り紙を教える学生】

さらに、福山市の象徴であるバラをテーマに、現地のバラ協会の方々に向けて英語で地域文化のプレゼンテーションを行うという大役も待っていました。発表の前夜、学生たちは深夜までロビーに集まり、どうすれば福山のバラに込められた想いが的確に伝わるかと、眠い目をこすりながらも熱を帯びた議論を交わしてスライドを作り上げていました。チームとして一つのものを作り上げようとするその深夜の活気は、彼らが主体性を完全に獲得した証でもありました。

【ホテルのロビーでプレゼン資料を作る学生】

当日はあいにくの雨模様でしたが、バラ協会の方々の案内で植物園を散策し、雨露に濡れて美しく咲き誇る現地のバラを鑑賞しました。その後、一緒にランチのサンドウィッチを頬張りながら、プレゼンテーション本番に臨みました。バラという世界共通の言語があることで、初対面の人々とも自然に会話の糸口が生まれ、地域の文化同士が国境を越えて深く繋がる感覚を肌で味わうことができたようです。

【雨の植物園でバラを鑑賞しながら、バラ協会の方と交流する学生たち】

事前学習で地元の小学校や企業から受け取った知識や想いを、自分たちの言葉に乗せてニュージーランドの人々に直接手渡していく。地域資源を媒介にして人と人とが繋がるこの生きた実感こそが、私が目指したグローカルな視点の完全な体現であり、学生たちの内面に一生消えない誇りと学びの種を蒔いた瞬間であったと確信しています。

約2週間にわたる研修を経て帰国した学生たちの顔つきは、出発前とは明らかに違って見えました。彼らは異国の地で、トラブルに直面するたびに仲間同士で腹を割って話し合い、関係性を深めながら乗り越えてきた経験は、何事にも代えがたい財産です。

【英語で楽しそうにプレゼンをする学生】

最前線で働く大人たちの背中を見つめ、文化や言葉の壁にもがき、それでも自らの言葉で地元の魅力を語り切った経験。それは、これから彼らが自分自身の進路を選び取っていく上で、静かに、しかし確かな影響を与え続けるはずです。教員として、彼らがこの異国での気づきを、残りの大学生活でどう育てていくのか、これからの成長を楽しみに見守りたいと思います。

最後に、本プログラムの実施にあたり、多大なるご協力をいただいた全ての関係者の皆様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

 

学長から一言:国際経済学科のニュージーランド研修レポートの第二弾。リンカーン大学での英語を媒介としたコミュニケーションやプレゼンテーションで、言葉の習得の重要さを身に染みて感じたかも知れません。滞在したホストファミリーとの付き合いを通じて現地の文化や生活にどっぷり浸った経験。福山市の花であるバラつながりで、現地のバラ協会の方々との交流。これらの経験がきっと参加した皆さんのこれからの学修や生活で大きく花開くことでしょう。

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