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建築学科

都祭 弘幸(とまつり ひろゆき)

職 名 教授
学 位 博士(工学)
専門分野 建築構造、建築構法、耐震補強、合成構造
担当科目 建築構造Ⅱ、静定力学Ⅱ、建築防災工学、弾塑性解析学、不静定力学など
メッセージ 地震大国・日本では、高齢化や人口減少が進む中、環境に配慮した持続可能な建築のあり方が求められています。建築構造の視点から、地震に強く損傷を最小限に抑える「損傷制御」の考え方や、施工の省力化を実現する「合理化工法」、カキ殻などの環境材料を活用した資源循環型の建築を追求しています。災害発生時には、迅速な復旧・復興や、既存建築物の耐震補強も重要なテーマです。一緒に、次世代の社会にふさわしい、安全で環境に優しい建築の仕組みを創造していきましょう!

大地震でも壊れにくい建築

鉄筋コンクリートの梁の端の部分では、大きな地震のときに「ひび割れ」や「変形」が起こりやすくなります。そこで、この部分に破壊を抑制できる「端部トラス筋」を追加することで、どのような効果があるのかを実験で調べました。その結果、中小地震の段階では、ひび割れが起こりにくくなることがわかりました。また、梁が大きく変形する大地震でも急激な変形が抑えられることが確認できました。さらに、端部トラス筋の実験データを分析し、中小地震における効果予測方法を提案しています。

端部トラス筋の効果

震災後の復旧・復興迅速化のために

2000年以前に建てられた木造戸建て住宅は、柱や土台のつなぎ目、家を支える基礎部分の耐震性が不足していると言われています。実際に、令和6年に起きた能登半島地震では、石川県だけで9.1万棟の住宅被害のうちおよそ約2.5万棟が全半壊する大きな被害となりました。
被災地では、生活再建のため多くの仮設住宅が建てられます。しかし、家の土台(基礎)が基準法にそぐわないため、長く住み続けことができません。「もっと早く、安全な家の基礎をつくる方法はないか?」という課題への答えが、外殻プレキャスト基礎梁工法です。
工場で作られた高品質な型枠を使い、短期間で安全な住宅基礎を造ることができます。さらに、特別な機械がなくても施工が可能で、専門管理者がいれば、一般の人でも家づくりに参加できるようになりました。

外殻プレキャスト工法

カキ殻入り環境コンクリート

これまでの研究では、カキ殻をコンクリートに混ぜるために、まず処分場にあるカキ殻を細かく砕くところから始めていました。しかし、本研究では、広島県福山市にある企業が生産するカキ殻を使います。この材料は、工場できちんと品質管理されていて、粒の大きさや成分、水分の量などが安定しているのが特徴です。
これまでの研究では、カキ殻の割合を多くすると、コンクリートの強度が低下するという報告がありました。でもその原因は、カキ殻の粒の大きさが適切ではなかったからではないかと考えています。
そこで本研究では、粒の大きさを調整したカキ殻を使って、より良いコンクリートを作ることに挑戦しています。最終的には、このコンクリートを使って実際の製品(ブロックや側溝など)として使えるようにすることが目標です。

カキ殻細骨材