【薬学部】薬学部学生が、抗腫瘍活性化合物の合成研究で成果を論文発表しました。

【薬学部】薬学部学生が、抗腫瘍活性化合物の合成研究で成果を論文発表しました。

薬学部学生による国際学術誌への論文発表のご報告が、薬学部町支教授よりありました。薬学部ブロガーのY.Sが紹介いたします。

 


薬学部学生が、抗腫瘍活性化合物の合成研究で成果を論文発表しました。

国際学術誌Moleculesに公開された論文タイトル:Novel Approach to the Construction of Fused Indolizine Scaffolds: Synthesis of Rosettacin and the Aromathecin Family of Compounds

実験中の水野翔太君

今回の研究成果は、筆頭著者の水野翔太(6年生)くんが、3年次に医薬品科学研究室に配属されてから取り組んだ研究で、国際学術誌Molecules (IF: 4.927) にアクセプトされました。

 

 

カンプトテシン類縁体の抗がん剤は、イリノテカン、トポテカン、ベロテカンの3種が臨床で使用されています。この抗がん剤は、図1に示すように、E環のラクトン部がpHによっては開環し活性が消失することが問題点の1つに挙げられています。

図1

 

現在、この問題点を解決するべく新たな抗がん剤の候補として、アロマセシンファミリーのrosettacinに注目が集まり、その効率的な合成法の開発とその手法を使った新たな抗がん剤創生に向けて世界中の多くの研究者が挑戦しています。
当研究室もこの研究に挑戦し、水野くんが図2に示す独自の合成ルートを確立してくれましたので、その研究成果を発表しました。今後は、この方法を使って誘導体を合成し、抗がん剤としての新たな候補化合物を見出だせるかどうかの挑戦が始まります。

E環ラクトン部をベンゼン環に置き換えた化合物

図2

 

今回の成果は、この研究に携わってきた多くの卒業生の成功と失敗のデータの蓄積の上に成り立っています。その卒業生たちに感謝申し上げます。
最後に、この研究は福山大学学内助成金 (GARP 2022-223) の支援を受けたもので、ここに感謝申し上げます。

 

学長から一言:水野翔太くん、4年間も研究室の仲間と取り組んできた研究が好結果を生み、論文が専門の国際ジャーナルに掲載されることになり、本当に素晴らしい。一緒に研究に取り組んで来た皆さんも含めて、心から祝福します。私には難し過ぎる内容ですが、抗がん剤の開発につながる可能性があるという、その一点で大変な価値のあることだと思います。引き続きの頑張りに期待します。