【人間文化学科】井伏鱒二研究会と絵画展の開催!

【人間文化学科】井伏鱒二研究会と絵画展の開催!

今年は井伏鱒二の生誕120年です。本学では、その記念行事が「文化フォーラム2018」として現在進行中です。こんにちは。学長室ブログメンバー、人間文化学科の村上です。以下、青木教授による文化フォーラムの途中報告及びシンポジウム「井伏鱒二未公開書簡の基礎的研究-『同学コミュニティ』の解明を目指して」と絵画展「井伏鱒二と同時代の画家展」のお知らせです。

現在、本学の井伏鱒二科研費研究チームが中心となり、井伏に関する3つの行事を連動して開催中です。以下の2つは、今後のイベントの案内です。

 

Ⅰ 人間文化学部文化フォーラム「井伏鱒二未公開書簡から見える井伏鱒二と同時代の備後文化」(会場:ふくやま文学館研修室)
〇 9月 8日 「高田類三の文学活動」青木美保(本学人間文化学部 教授)
〇 9月29日 「井伏鱒二の書簡の翻字について」前田貞昭・田中雅和(兵庫教育大学大学院 教授)
〇10月 6日 「井伏文学の影響―庄野潤三との関係から」谷川充美(本学非常勤講師)

ここまで既に終了しまし。
第1回目は、井伏鱒二の未公開書簡の宛名人、福山中学時代の同級生・高田類三の中学卒業後の文学活動についての報告があり、彼が井伏に先立って東京の文学者と交流し短歌を雑誌に投稿していたことが報告されました。第2回目は、国語史の研究者田中雅和氏が井伏の書簡を活字化する際に見えてきた井伏の用字意識について問題提起し、井伏研究家の前田貞昭氏が書簡から判明した伝記的事実の一部を報告しました。第3回目は、庄野潤三を中心に戦後の作家を研究中の谷川充美氏が、井伏鱒二と親交のあった庄野潤三の文学と井伏鱒二の交流との関係を小林旅館所蔵の書簡資料等を元に井伏文学の戦後作家への流れを報告しました。(以下の写真は、一連の報告時のものです)

これからの行事は、以下の通りです。
〇10月27日 「井伏鱒二と備後の芸術家達」谷藤史彦(ふくやま美術館相談員)

Ⅱ シンポジウム「井伏鱒二未公開書簡の基礎的研究 ―『同学コミュニティ』の解明を目指して」 (会場:福山大学宮地茂記念館9Fホール)
〇11月24日(土)14:00~16:00
1.「井伏鱒二未公開書簡活字化の諸課題と井伏伝記研究における書簡の意義」
兵庫教育大学大学院教授 前田貞昭・田中雅和
2.「井伏鱒二と高田類三の文化活動―絵画と文学」
福山大学教授 青木美保

〇11月25日(日) 9:30~12:30
◆基調講演
1.「明治末期から大正期にかけての美術と文学」
東京文化財研究所客員研究員・大川美術館館長 田中 淳
2.「昭和戦前期文学史上の井伏鱒二」
国士舘大学 准教授 平 浩一
◆パネルディスカッション
「井伏鱒二未公開書簡の基礎的研究、そして、同学コミュニティ形成の解明に向けて」
司会 兵庫教育大学大学院教授 前田貞昭
◆パネリスト
福山大学教授 青木美保
兵庫教育大学大学院教授 田中雅和
国士舘大学 准教授   平 浩一
兵庫教育大学大学院教授 前田貞昭

また、Ⅱの会場では、書簡と自筆資料展示「井伏鱒二と仲間達」を同時開催します。
〇会場:宮地茂記念館 803研究室
〇日時:11月23日(金)~11月25日(日)9:30~17:00(最終日は12:30まで)

さらに、これらに連動する行事として、絵画展「井伏鱒二と同時代の画家展」(主催:井伏鱒二と同時代の画家展実行委員会(代表 福山大学教授 青木美保))が開催されます。

 

Ⅲ 井伏鱒二と同時代の画家展 (会場:エフピコRIM 7F 市民ギャラリーA)
〇11月21日(水)~29日(水)
※ギャラリートーク  11月25日(日)13:30~14:30
東京文化財研究所客員研究員・大川美術館館長 田中 淳
ふくやま美術館相談員            谷藤 史彦

2016年に、井伏鱒二が福山中学の同級生・高田類三に宛てた書簡162通の存在について、人間文化学部の青木を中心とする研究チームが記者発表しました。その後、公的資金による研究(文部科学省科学研究費基盤研究C:2017年~2019年)を続けてきましたが、この度の井伏鱒二生誕120年を記念して研究メンバーが一堂に会してこれまでの研究成果を持ち寄り、シンポジウムを開催いたします。それによって、井伏が地域の同級生の仲間における文化交流=「同学コミュニティ」の中で作家になるまでの教養をどのように身につけたか、またそれが東京での文化修得を経てどのように作家への道を開いたかを文学史・美術史など文化史を踏まえて多角的に明らかにすることを目指します。そこには、これまで埋もれていた備後文化の活況を見ることができます。大正・昭和期の福山及び備後地域の若者文化が日本における文化創造を担っていく過程を明らかにし、福山の文化の現在についての視野を深めます。
なお、本行事は、これに先立って実施した本学人間文化学部「文化フォーラム2018 井伏鱒二未公開書簡と井伏鱒二と同時代の備後文化」4回の講演会に連動しています。

Ⅲの「井伏鱒二と同時代の画家展」は、井伏鱒二の生誕120年にあたり、福山市在住の有志(ふくやま賢治を読む会、井伏鱒二文学研究会有志)が集まり、企画した展示会です。本行事は、シンポジウム「井伏鱒二未公開書簡の基礎的研究―『同学コミュニティ』の解明を目指して」の関連行事です。

2016年に福山大学の井伏鱒二研究チームが記者発表した井伏鱒二未公開書簡は、福山中学時代の同級生に宛てたものですが、その中で井伏が中学時代に、仲間と絵を描くサークルを作って活動していたことがわかりました。中学卒業後もその活動は続き、仲間との精神的絆は深いものがありました。書簡の話題も絵画に関することが多くあります。
また、井伏は中学卒業直後には画家になることを目指して京都の橋本関雪に弟子入りを申し入れて断られたと言われています。東京に出て早稲田大学に進学した後、大正10年には日本美術学校に入学し、短期間在学したこともあります。その画業については、『井伏鱒二画集』(筑摩書房:2002年3月)で見ることができます。
今回は、井伏の絵画3点に地元のコレクター吉田徹氏(福山市在住 団体職員)所蔵の同時代の福山市及び周辺地域出身の画家の絵画等を併せて30点余りを展示し、井伏文学の背後にあった絵画の世界を浮かび上がらせます。珍しい絵画展ですので、是非ご来場ください。

どの行事もこれを逃しては見られない貴重な行事ですので、この機会に是非足をお運びください。なお、福山大学井伏鱒二科研費研究チームでは、井伏鱒二の同級生について市民の方からの情報提供を求めております。ご存じのことがありましたら、福山大学の青木までお知らせください。

 

学長から一言:青木教授は、井伏鱒二で八面六臂の活躍ですねッ!井伏鱒二もこうして、今、備後の地に蘇り、びっくりするやら、うれしいやら、。。。という心境かもしれませんねッ!青木教授のグループの研究成果が大きく膨らむのを期待していま~す!