【大学教育センター】一般教育科目 「実践地域防災学」で地元に住む人のマイタイムラインを提案! 

【大学教育センター】一般教育科目 「実践地域防災学」で地元に住む人のマイタイムラインを提案! 

本学は、防災士養成研修実施法人として広島県内で唯一認証を受けた大学です。「実践地域防災学」が、地元の方のご協力のもとで開講されています。その報告が宮内教授スマートシステム学科)及び津田講師大学教育センター)から届きました(ブログ担当T投稿)。


本学では、一般教養教育科目として「地域防災基礎」、「地域防災応用」および「実践地域防災学」を開講しています。本学は、特定非営利活動法人日本防災士機構から防災士養成研修実施法人として広島県内の唯一認証を受けた大学であり、「地域防災基礎」、「地域防災応用」を修了した学生は、日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」の受験資格を得ることができます。毎年、多くの学生が防災士の資格を取得しています。

「実践地域防災学」では、「地域防災基礎」、「地域防災応用」で培った防災・減災に関する基本的な事項をもとに、地元本郷学区の自主防災組織と協働して、実際に生活されている方を対象としたマイタイムラインを作成することを目的に開講しています。マイタイムラインとは、住民一人ひとりが、台風の接近する場合、大雨が長引く場合、および短時間に豪雨が発生した場合に、個々人がとる標準的な防災行動を時間の流れと結び付けて整理したものです。

昨年度の実施状況 https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/40348/

今年度の「実践地域防災学」は、9月13日から9月17日に開講しました。今回の調査対象域は、下の写真の赤い丸の地域です。

引用:国土地理院Web

現地踏査として、昨年度に引き続き、本郷学区自治会連合会会長の横山典好様、自主防災会会長の佐藤泉様、さらに地元の方々のご協力のもと、地区の防災上の特徴や危険箇所等を案内していただきました。現地踏査の当日は、最初は雨がシトシトと降っていましたが、次第に上がりました。次の2枚の写真は現地踏査中の様子です。


この現地踏査結果をもとに、対象地区の防災上の特性、対象者の特徴、対象者が自宅から避難場所まで安全に、そして短時間で避難できる避難経路、避難経路上の危険箇所の抽出、および避難時の持参物を考慮したタイムラインを作成して、発表することができました。

その発表会には、現地を案内し、防災上の問題等について御教示いただきました連合会の横山様、自主防災会の佐藤様、大村様、粟津様、そして福山市松永支所の細谷京平様、小畠英倫様に参加していただきました。避難想定に関して、活発な質問や意見交換が行われ、充実した発表会となりました。

発表会の様子


本郷学区自主防災会 横山典好様の感想
今回が3回目となります。私から本郷学区の自主防災会について説明をするとともに、学区内の横屋と山手の2地区を、土砂災害の危険と河川氾濫の危険の両方に着目して学生さんと一緒に現地を歩いて回りました。発表会では、学区から4名、市役所から2名が参加し、学生さんが上手くまとめ発表され、色々な立場からコメントをいただきました。今回の成果は、今後の地域防災のために役立てていきたいと思います。

福山市 松永支所 松永地域振興課 細谷京平様の感想
昨年に引き続き、発表会に参加させていただき、ありがとうございました。今回の発表では、短期間での取組みにもかかわらず、地域ヒアリングや現地調査をふまえ、細かく避難計画(タイムライン)が作成されており、感心しました。また、本市行政の取組みにつきましても、皆さんにお伝えする機会をいただき、感謝申し上げます。学生の皆様には、今回学んだ知識と経験を活かし、防災意識の高揚やさまざまな取組みに積極的に参画していただくことをお願いするとともに、今後一層のご活躍をお祈り申し上げます。

【受講学生の声】

経済学部 新子侑也さん
現地を踏査することで、山や川について災害時に起こる洪水などの被害をさまざまな視点から知ることができた。避難経路を調べ、マイタイムラインを作成することが対策に繋がる。なによりも、「早めの避難」が大切だと感じた。日本は災害の多い国である。防災とともに被害を減らす「減災」にも着目し、災害に強い国となり被害を最小限に抑えることが大切だと感じた。

人間文化学部 小川泰成さん
地元の方に案内していただき現地を見て、普段何気なく生活している中に多くの危険が潜んでいることを知りました。特に現地踏査を行った箇所は、危険性を強く感じる場所でした。避難マップ等の作成や地元の方のコメントを聞いて、私たちが目視できる危険箇所でも対策がわかりにくいことを知りました。これが目視できない危険箇所、すなわち災害によって初めて露呈する危険箇所は対策が困難になってくるので、これからは予めあらゆる事態を想定したハザードマップ作りが大切になっていくのかなと感じました。

人間文化学部 髙橋来佳さん
現地踏査を行って、ハザードマップだけではわからなかった危険な場所を知ることが出来ました。また、実際に高齢者が避難経路となる場所を歩いてみて、距離が遠かったりすると避難に時間を要し、遅れる場合も考えられるので早めの避難が大切になってくると思いました。今回は土砂災害を想定してハザードマップを作りましたが大雨で洪水など違う災害が起こる可能性もあるので様々な災害のハザードマップが必要であると思いました。

人間文化学部 竹ノ畑あかりさん
ハザードマップ等に記載されているだけでは分かりづらかった災害の予定範囲を、実際に地域を歩くことによって災害の危険性に触れることが出来ました。また、災害は比較的明るい日中だけ起こるのではなく、暗い夜間でも起こりえるのだということを思い出しました。今回の経験を生かし、今まで以上に災害に対して危機感を持って備えていきたいです。

工学部 金子慎一郎さん
今回、防災の観点に着目しながら、実際に地域を歩いてみることで、普段何気なく歩いている道でも、危険な箇所がたくさんあることが分かった。今回の危険箇所において想定したことが実際に起こるとは限らない。逆に想定してないことが起こるかもしれない。今年の夏は特に避難情報が出されることも多かったが、「またか。」と思うことなく、自分なりの避難のタイミングを考え、早め早めの避難が大切だと思った。

 

学長から一言:一般教育科目F群「地域学」の中の開講科目である地域防災に関する3科目は、まさに「面白くて、ためになる」授業と言えるでしょう。地球温暖化のせいかどうかは分かりませんが、近年の激しい気候変動で、土砂崩れや洪水が多発する昨今、我が事として防災の知識を身に付けることが、いざという時に役立つはず。そんな有意義な授業は大学生だけでなく、きっと地域住民の方々も関心を寄せられるのではないでしょうか。地域と結びつく大学として、地域防災のノウハウを地域に還元する手立てをもっと積極的に採り入れてもよいかも知れませんね。