【国際交流】海外協定大学との学術交流

【国際交流】海外協定大学との学術交流

本学の大塚豊学長が、対外経済貿易大学がオンライン開催した「Global Forum of University Presidents 2021-Global Higher Education Governance and Cooperation-(世界学長フォーラム2021 ―世界の高等教育に関するガバナンスと協働について―)」に招待され、基調講演を行いました。その様子について、伊丹国際センター長国際交流課が報告します。

本学と対外経済貿易大学は、2004年に大学間学術教育交流協定を締結しており、現在15校ある中国の協定大学の中で最も長い付き合いがあります。同大学は、開学70年を迎えた節目の年を記念し、9月17日(金)に同フォーラムを開催したのです。フォーラムには、世界各国から、本学やオーストラリアのヴィクトリア大学を含めた15の大学が参加しました。

大塚学長は、”What the Pandemic Has Taught Us about the Future of University Education”を題目として、コロナ後の大学教育の在り方について中国語で講演しました。

画面の向こうには対外経済貿易大学のXia Wenbin学長

大塚学長の講演動画は、次の通りです。

その講演内容を簡単に紹介します。

「長い大学の歴史の中で大きく変わることのなかった授業の在り方や教育の方法が、この度の新型コロナウイルスの影響により、大きく揺さぶられました。反転授業などオンライン教育の必要性や有効性は国や行政、教育研究者が早くから提唱していたのに、日本で積極的に採り入れる大学はごく限られていました。しかし、本学を含む日本の大学のみならず世界各国の大学が、今まで当たり前だった対面での活動を取りやめざるを得なくなり、他に選択肢がない状況下でICT機器を活用した遠隔授業の実施など、新たな授業方法を採り入れました。

以来、1年半が経過しましたが、我々は遠隔授業から何を学んだのでしょうか。また、コロナ後の大学教育の在り方と遠隔授業の質保証に向けての更なる課題はどのようなものなのでしょうか。

 

 

遠隔授業に対する高い評価が得られるのは、「学生同士が意見交換できる交流のための時間や掲示板が存在し」、「教員からの迅速な回答やフィードバック」がある場合です。対面授業と同様にコミュニケーションの濃さが確保されていることが重要であると言えます。

対面授業時に大勢の学生の前で発言することが容易でない学生や引きこもり、学習障害、身体に障害があるなど教室に通いづらい学生にとっては、遠隔授業が優位と言えるでしょう。一方、学生の理解度に対する瞬時の把握や時宜を得た指導という点で、対面授業に勝るものはありません。

従って、コロナ禍が終息した後、対面授業が占める比率は増大すると考えられます。また、大学では、授業だけが行われているわけではありません。サークル活動をはじめとする課外の時間に、多様な人間的なふれあいやつながりが生まれ、これが大学生活において極めて重要で、学生の人間的な成長に大きな影響を及ぼしています。

遠隔でできることは明らかに限界がありますが、コロナ禍以前とまったく同じ状況に戻るとは考えられません。さらには、出張などによる教員の不在時や自然災害時に休講にせざるを得ませんでしたが、遠隔授業の手法を身につけた今やそのような事由が発生しても休講にする必要はなくなるでしょう。

 
 

インターネットを介した遠隔授業により、空間の壁は完全に取り払われました。次に、もし同期型双方向の遠隔授業を国境を越えた広がりの中で考える時には、時間(時差)の壁を考えなくてはなりません。さらに、本格的な双方向的な教育を考える場合には、学期制、学年の始期、卒業に必要な単位数、週当たりの授業時間数などの制度の壁、そして最後に言葉の壁をも考えなくてはなりません。

コロナ禍の後、空間、時間の他、制度と言葉の壁が取り除かれ、まったく障壁のない状態で大学教育の国際的な運用が可能かどうか、そして教育の質を如何にして保証するか、われわれは尚いっそうの研究を必要としているのです。」

このような講演内容を踏まえて、他大学の学長等との活発な意見交換が行われました。この他、全参加者によるフォトセッションも行われました。

*対外経済貿易大学から掲載許可をいただいています。(本学の大塚学長は画面左上)

今後、対外経済貿易大学を含めた各国の大学との学術交流の発展が期待されます。

 

学長から一言:自分自身に関するブログに「一言」を添えるのは気恥ずかしいですが、北京にある協定校の創立70周年の記念行事に祝賀の意を込めて、日本時間で夜7時からオンラインで参加しました。中国や協定校への敬意を表するため敢えて中国語での発表にしました。ズーム操作をはじめ進行を気遣って伊丹国際センター長と坪根国際交流課長が遅くまで付き合って下さいました。本学もあと20年ばかり先の創立70周年の時には、今よりもっともっと輝く大学になっているよう弛まず頑張りたいものです。