【心理学科】大学生による高校生を対象としたデートDV予防授業

【心理学科】大学生による高校生を対象としたデートDV予防授業

 結婚前の交際期間中に起こる「デートDV」を予防するために、発達心理学研究室の学生が高校生に対して授業を行いました。

 こんにちは。心理学科の福留です。今回は、デートDV予防授業の模様について、発達心理学研究室の赤澤淳子教授より紹介いただきます。

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 9月2日(水)に、心理学科発達心理学研究室の3年生3名(池本美穂・草野裕兵・古和里奈)が福山市立福山中・高等学校の6年生198名の生徒を対象として、デートDV予防授業を実施しました。今年度は昨年度に続き2回目の実施でしたが、授業のビデオ撮影で、同じく3年生の医療心理学研究室の学生1名(粟根大貴)も参加してくれました。
 事前に昨年度の予防授業の内容を確認し、新たな視点を導入しつつパワーポイントを作成し、リハーサルを行って本番に臨みました。今回の授業の目的も「デートDVの暴力について理解すること」と「暴力を防止する方法について理解すること」の2点でした。
 授業は大きく3部構成となっており、第1部の「デートDVとは」について、池本さんが進行を担当し、クイズや配付資料への穴埋めなどを実施しながらデートDVの定義や暴力の種類について説明しました。第2部の「暴力を防止するには-他者の視点に気づく」は、古和さんが担当し、暴力の境界を考えるワークを行い、「暴力かどうか判断するのは自分ではなく、その行為を相手がどう感じるか」であることを説明しました。そして、第3部の「暴力を防止するには-アサーティブな自己表現」については、草野さんがアサーションな自己表現について説明し、3つの葛藤場面におけるアサーティブな断り方について考えてもらいロールプレイングのワークを実践し、数名の高校生に発表してもらいました。まさに、アクティブ・ラーニングによる学びです。

 授業終了後の高校生の感想には、

  • 「暴力には物理的なものだけでなく、精神的にも経済的にも傷を残してしまうものがあることを強く感じました。大学生になったらバイトや先輩・後輩との交流も増えると思うので、周りの人を傷つけないように意識するとともに、自分もストレスを抱え込みすぎないように、異変があれば相談できるようにしておきたいです。」
  • 「デートDVとはどんなものかは知っていたが、その解決策については詳しく考えたことがなかった。今回はそのプロセス、ステップを知ることができて良かった。」
  • 「みんなの考えが聞けて面白かったです。色々な人との上手な付き合い方が学べたので、何か困ったことがあったら実行できるようにしたいです。」

  など、暴力や暴力の防止法に対する気づきがみられました。また、

  • 「心理学はとても面白いです。」
  • 「説明が分かりやすく、説明してくれる声もいい感じで、ついうっかり全部まじめに聞いちゃいました。」
  • 「いつもこういう講義は眠くなることが多かったのですが、今日は最後まで起きていられました。」

 などの感想もありました。授業後に感想を読んでいる大学生達の顔は満面笑みで、達成感も得られたようでした。

 授業の進行を務めた池本さん、古和さん、草野さん、そして授業風景を録画してくれていた粟根さんは、授業を終えて以下のような感想を述べています。
 「当日は、『授業をうまく進めることが出来るか』『高校生の反応はどんな感じなのか』と不安でドキドキしていましたが、高校生が楽しく授業を受けてくれ、また、終わってから感想を読み、この授業を行なって良かったと感じました。とても良い経験になり、自信がつきました!」(池本)、「私は高校生の皆さんに、より良い対人関係を築いていくヒントを何か一つでも学んでもらえたらという思いで、この授業を行いました。授業後の感想を読み、楽しく学べたという言葉や、今後の関わり方のヒントを学べたという言葉をいただいて、とても嬉しかったです。良い経験になりました。」(古和)、「私はアサーションについての授業を行なったのですが、生徒一人一人が楽しそうに授業を受けてくれて、こちらも授業をしていて本当に楽しかったです。私は教員を目指しており、来年度は教育実習に行くので、ますます教壇に立つのが楽しみになりました。」(草野)、「本日は、ビデオ録画として参加させていただき、大変貴重な経験をすることが出来ました。心理学科の友人達が授業をしている姿をみて、自分自身も研究に身を入れて取り組もうと決意しました。」(粟根)

 今回のデートDV予防授業は、高校生における望ましい対人関係に関する学びを深めることが目的でしたが、授業を行った側の大学生においても貴重な学びの機会となったようです。また、デートDV予防授業で実施したアサーションの内容は、心理学科の1年の教養ゼミという授業で、ピアサポーターという先輩の大学生から学んだ内容を基に作成したものでした。自分たちが先輩から教わったことを、今度は高校生に伝えるという素晴らしい学びの循環となりました。また、今年度は新たな試みとして、各々の発表部分の根拠となる心理学の欧文文献も高校生に紹介し、心理学への関心も高めるという試みも追加されました。

<福山市立福山高等学校の村上先生と記念撮影>

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 高校生も大学生も、お互いに貴重な勉強になったようですね。とても良い雰囲気だったようで、写真からも高校生が積極的に参加している様子がうかがえます。機会があれば、デートDV予防授業を受けてみたいですね。

 

学長から一言:大学生の授業を受けてくださった、高校生の皆さん、しっかり学べたようでよかったですねッ!授業を行った大学生の皆さん、とてもよい授業になっていたようで、感心しました!授業を受ける人も授業をする人も、共に成長する、素敵な授業でした!!!このような場を与えてくださった福山市立福山中・高等学校に感謝!