【大学教育センター】第4回SD研修会「大学とIR~現状と課題~」

【大学教育センター】第4回SD研修会「大学とIR~現状と課題~」

3月8日(金)に広島大学高等教育研究開発センター准教授の村澤昌崇先生を講師にお招きし、第4回SD研修会が1号館の大講義室で開催されました。大学教育センター教育開発部門長の佐藤英治教授(薬学部)からの報告です。
研修テーマは「大学とIR~現状と課題~」です。難しい言葉が出てきましたが、SDというのは「Staff Development」の略で、Staff(大学教員と大学職員)の資質・能力をDevelopment(向上)させるための研修会です。今回の研修会では、教職員合わせて154人が出席しました。次に、IRですが、こちらはInstitutional Researchの略で、Institutional(大学)をよくするためのResearch(研究)です。つまり、簡単に言うと「大学を良くするために多くの情報を収集・分析して改善をしていく活動」ということになります。従って、この研修会は福山大学をより良くするために、教職員の「大学の情報を収集・分析する能力」を向上させるための研修会ということになります。村澤先生は高等教育を専門としている先生で、広島大学をはじめ、他大学でも今回のようなIR研修を実施されている先生です。
講師の村澤昌崇先生
村澤先生のお話は非常にわかりやすく、「1)なぜ、IRが必要なのか」については、大学を取り巻く環境変化(外部環境の変化(少子化、国際化、多様化など)、大学の経営環境、政府からの改革の要請など)から必要になってきているとの説明がありました。「2)大学はどのような情報収集と分析をしなければならないのか」については、キーワードとして「数値(客観的データを用いること)」「入口〜出口・教育研究管理運営(入学から卒業までを含めた教育研究全体を含むこと)」「経年(一時的なものではなく継続的に分析すること)」「専門的分析家・組織・情報システム(専門性を有すること)」を用いて説明していただきました。情報の収集と解析はやみくもにやるのではなく、重要なポイントがあるということですね。
非常にわかりやすい内容でした
「3)戦略・実践・評価・フィードバックのプロセスはどのようにするのか」については、ログフレーム・ロジックモデルを例に説明をいただきました。少し難しいですが、これは最終成果とその指標だけに着目してIR活動をするのではなく、最終成果をもたらすプロセスについても評価の指標を作成してIR活動を実施するというものでした。「最終成果」を達成するためには、その下位に「レベル1(最終成果達成のための条件)」があり、レベル1の下位には「レベル2(レベル1を達成するための条件)」があり、レベル2の下位には「レベル3(レベル2を達成するための条件)」があるといった具合に、各業務は階層化されています。教職員はそれぞれのレベルにおいて業務を分担して行っていますが、それぞれのレベルにおいて、目標・計画と指標を作成して活動状況を評価していく方法です。物事を考えるときは、最終成果のみに焦点を当てて考えがちですが、そこに至るいろいろなプロセスも考えたり分析したりする必要があるということですね。

ただし、大切なことは全体像を見渡すことができるマネージャーが存在し、マネージャーが中心となって全体として整合性のある目標・計画と指標を作成することです。各部署が個別に目標・計画を作っても全体に反映されなければどうしようもありません。

大勢の教職員が参加しました

今回のSD研修会では、大学におけるIR活動の考え方、課題、問題点等についてわかりやすい説明をいただきました。IR活動は今後の大学運営に必須の活動であることを理解すると同時に、片手間でできる業務ではないことが十分に認識されました。大学運営の全体像を把握し、アウトカムとして何を設定し、その目標達成のためには何段階のレベルを設定し、各レベルに適切なデータ収集と評価計画を立案・実施する必要があります。今回の「SD研修会=大学をより良くするための研修会」も非常に有意義なものでした。今後も大学教育センターではSD研修会を開催し、大学改善を行っていきたいと考えています。

 

学長から一言:IRと言うと、世間一般には、今話題の統合型リゾート(Integrated Resort)とか、投資に興味のある人にとっては投資家向け広報といったInvestor Relationsを連想されるでしょうが、今大学で頭を悩ましているIRはまったく別もの。。。大学改革に不可欠だけれども、なかなか手強い。。。教職員が力を合わせて取り組みます!