【留学生】「外国人留学生による日本語スピーチコンテスト」優秀賞!

【留学生】「外国人留学生による日本語スピーチコンテスト」優秀賞!

本学留学生が優秀賞に輝きました!「外国人留学生を支援する会」と「ふくやま国際交流協会」が主催した「第27回外国人留学生による日本語スピーチコンテスト」には本学から3名の留学生が出場し、うち2名が優秀賞を受賞しました。引率の趙准教授(国際センター)から当日のレポートが届きましたので、国際交流課長の坪根が報告いたします。

こんにちは、国際センターの趙です。3月2日(土)に、エフピコRiMで「第27回外国人留学生による日本語スピーチコンテスト」が開催され、イヴァノヴァ・クリスティーナさん(人間文化学部人間文化学科 交換留学生)と、徐少聡くん(経済学部国際経済学科2年生)が「優秀賞」を受賞しました。

イヴァノヴァ・クリスティーナさんは「それでも優しくしなさい」を題に、実体験から、たとえ人に冷やかされても、誤解されても、助けを必要とする人に手を差し伸べるべきだと熱弁しました。なぜなら「この世界に望む変化に、あなた自身がなりなさい」とガンジーが言っているように、誰もが望んでいる愛と平和に満ちた世界は、私たちから向かっていくことから実現されるからです。クリスティーナさんのスピーチを聞いて、昨年9月入学すると、すぐにボランティアクラブに入部した彼女のことが思い出されました。

徐少聡くんのスピーチのテーマは「文化の力」です。最近国内外でも問題とされている中国人のマナー問題を取り上げ、徐くんは日本の礼儀正しさに学び、また礼儀作法を重視する、昔の中国の伝統文化を見直す重要性を唱えました。「昔、唐には日本からの留学僧があり、今の日本には中国からの留学生もいる」という徐くんの言葉が頼もしかったです。

また、人間文化学部メディア学科3年生の潘賜浩くんは、自分の夢である「特撮を取りたい!!」をテーマに、作品を見せながら、来場者に熱く語りました。リアルに見える「福山駅爆発」などの潘くんの作品は実は意外な手法で作られたのです。潘くんのネタバレを聞くと、会場は笑いの渦に包まれました。

このように様々な国の若者がそれぞれの意見を日本語で語るスピーチコンテストは、感動や驚きがいっぱいです。現在、福山市の大学や日本語学校で勉強している外国人留学生の数は1600人にも上ると聞きます。コンテスタント達のスピーチを通して、彼らと少し心がつながった、また世界とつながったような気がしました。

趙准教授と足立教授を囲んで

なお、国際経済学科の足立教授も応援に来てくれました。足立教授は、本学の留学生だけでなく、再来年度に福山大学に入学するかもしれない他のコンテスタント2名にも熱いエールを送ったようです。再来年、優秀な留学生たちが本学に入学することを楽しみにしています。

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趙准教授、ありがとうございました。最後にイヴァノヴァさんと徐くんのスピーチ原稿を紹介します。

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「それでも優しくしなさい」イヴァノヴァ・クリスティーナ(人間文化学部人間文化学科 交換留学生)

早速皆さんにご質問をいたします。皆さんにとって優しさとは何でしょうか。毎日家族や友人に「頑張ってくださいね」と応援することですか。それとも、道ばたでノラ猫などを見かけたら、そっと立ち寄ってエサをやることですか。優しさは様々な形があって、それに対する理解も人によって違うでしょう。あらゆる状況において、人に優しくするかしないか、それは個人の判断ですが、その選択によってきっと私たちの心の中で、何かが芽生えると私は思います。

ブルガリアにはホームレスが多いのが社会問題です。どの街に行っても当たり前のようにホームレスと遭遇します。みなさん、想像してみてください。もしホームレスにお金をねだられたらどうしますか?私は高校2年生のとき、このようなことを体験しました。学校帰りの途中で見知らぬおばあさんが近づいてきました。「申し訳ない。今日はまだ何も食べていない。よかったらご飯を買うお金少しいただけないか」と言われました。服がボロボロで疲れ切っている様子から、このおばあさんはホームレスだと一目見てわかりました。私も学生でお金を多く持っていないのですが、迷わずに自分のお小遣いからお金を少しあげました。おばあさんはお礼を言った後でも、延々と自分の苦労話を語りました。お年にもかかわらず、生き残るために厳しい仕事をせざるを得なかったらしいです。

おばあさんのお役に少し立てて本当によかったと、私はすっかり感激していました。ところが、この一部始終を見た通りがかりの二人のおばさんがあきれ顔で近づいてきました。「何、あのばあちゃん?お金か?私だったらゼッタイやらないわ」と。私はびっくりしながら頷くしかありませんでした。するともう一人のおばさんが真顔で「そうよ。バカね」と冷ややかに付け加えました。私は何も言わないで帰りましたが、内心二人のおばさんのことばにショックを受けました。自分が何かいけないことをしたのかなと心の中でもやもやしていました。

その晩、どうしても落ち着かず、母にそのことを話しました。「あなたは何も悪いことをしてなかったよ」と母は肯定してくれました。「世の中に大変な人が多いけど、彼らに無関心な人もまた多いのよ。自分を信じなさい。助けるべきだと思えば、そうすればいい。変なことを言われるかもしれないけど、それでも助けるべきだとあなたが思えば、そうすればいいんじゃない?」私は母の言葉に大いに勇気づけられました。その年に、私は人生はじめてのボランティア活動に参加しました。どんな場合でもできるだけ助けを必要とする人に手を差し伸べたいと心に決めたのです。

その後、数年が経って私は大学生になりました。ある日のことです。お店で買い物をしていたら、一人の女性は近づいてき、手話で何かを一生懸命訴えてきました。どうも寄付金の依頼のようです。財布からお金を少し出してあげると、女性はいきなり怒りだし、手話で抗議し始めました。「お金が少ない」、「足りない」という意味のようでした。それがわかった瞬間、心臓が止まりそうになりました。申し訳ないと言おうとしましたが、女性は聞こうとせず、(落ち込んで立ち尽くした私を残して)、さっさと離れていきました。実はあのとき私も苦学生で大変でした。しかし当然ながら女性は私の状況など知る術もなかったのでしょう。

それから間もなく、私は日本にやってきました。福山大学に留学後、先生や日本人学生、また地域の方から本当に親切にして頂いています。困ったときに私に与えてくださった皆さんのご厚意はどれほど有り難いか、今まで体験したことがないほどしみじみと感じています。また皆さんの愛に充電されて、私はこちらでも大学のボランティア活動に参加して、みんなと交流しています。「この世界に望む変化に、あなた自身がなりなさい。」とガンジーが言っています。たとえ、理解されなくても、裏切られても、それでもポジティブな気持ちで人に優しくすることが大事だと思います。誰もが望んでいる愛と平和に満ちた世界に、まず私たちから向かっていきましょう。どうもご静聴ありがとうございました。

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「文化の力」 徐 少聰(経済学部国際経済学科)
私は中国の江西から来せいか、入学して以来、よく「徐さんは辛いものが好きでしょう」と言われます。しかし、皆さん、ご存知ですか?中国人といえば、あぶらっこく、塩分が高く、辛いものを好む民族、とされていますが、そういう中国人は最近明らかに減りました。そのわけは次の通りです。

実は、元々古代中国には唐辛子がなく、16世紀頃、南アメリカから伝わってきたということです。それに、最初は食べ物ではなく、観賞用でした。それ故か、現代の中国の「八大料理」のなかで、辛いのは四川料理だけなのです。しかも、伝統的な四川料理は、山椒のピリッとした辛さだけです。従って中国人の伝統食文化の中で、ひりひりするような辛味はそれほど好まれません。また、生活水準の向上につれ、中国人はより洗練された味わいを求め、自然な味わいを好むようになっています。ある意味で、それは、中華料理の原点に戻ったと言えるかもしれません。

さて話は変わりますが、ここ数年、礼儀作法をめぐる問題も中国で課題になっています。ここで、手前味噌ですが、私自身の例をあげたいと思います。先日、大家さんからドライバーを借りました。使った後、どう返すべきか、私は日本語の先生から教わった知識を活かしました。紙に「ありがとうございます。本当にお世話になりました。」と笑顔の絵文字を書いて、ドライバーを丁寧に包んで返したのです。

一見このようなやり方が普通ではないかと日本の方は思うかもしれませんが、今の中国ではほとんど有り得ないことなのです。列に並ばない、道にゴミを捨てる、人がいるところで大声でおしゃべりをするなど、国内外でも批判されることが多いです。私はこのような状態をどう変えればよいか、と時々思うのです。

この問題も、飲食の原点回帰から思いついた事があります。経済が発展し、中国人も衣食の憂いがなくなったこの時代には文化の大切さを意識し、重視するようになれば鬼に金棒ではないでしょうか。孔子の弟子がかつて次のように孔子のことを讃えました。「夫子循循然として善く人を誘いざなう。我われを博むるに文を以てし、我を約するに礼を以てす」(「夫子循循然、博我以文、約我以礼」) 孔子は学問をもって弟子たちの知識を広め、学んだことを実践する際に、「礼」をもって秩序を立てて導いてくださるものでした。礼儀作法に関して、孔子は古来より今でも私たち中国人の大の先生なのです。

また昔、唐には日本からの留学僧があり、今の日本には中国からの留学生もいます。いつの時代でも相手のいいところを進んで学ぶことは素晴らしいことです。日本に留学し、日本の素晴らしい文化を体験したことにより、改めて礼儀作法の重要性、相手に学ぶ重要性、また自国の伝統文化を見直す重要性に気づいた今このときです。以上、皆さんと交流し、私のスピーチを終わります。どうも、ご静聴ありがとうございました。

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学長から一言:二人とも、素敵なスピーチですねッ!!!素晴らしい内容で、私も時に失いがちな思いやりの心や礼の心を、思い出させていただきました!!!指導の教員にも感謝!