【経済学科】石田真准教授のインタビュー記事が、金融・保険・家計に関する情報を発信する専門メディア「マネーキャリア」に掲載されました!
経済学部経済学科の私、石田に対するインタビュー記事が、金融・保険・家計に関する情報を発信する専門メディア『マネーキャリア』に掲載されましたので、学科のFUKUDAI Magメンバーである石田本人が報告いたします。
記事のタイトルは、「老後不安の正体とは?介護・保険・社会保障のこれからを考える」です。
今回の記事では、老後の介護費用、公的介護保険の保障範囲、介護保険料の地域差、社会保障制度の持続可能性、さらに世代間公平と地域間公平の関係について、解説しています。インタビュー記事の一部をご紹介します。
◆老後の介護費用はどれくらい必要か
インタビューでは、まず老後の介護費用について取り上げられました。
記事では、公益財団法人生命保険文化センターの2024年度調査をもとに、平均的な介護費用は月額9万円、平均的な介護期間は4年7か月、一時費用は約47.2万円と紹介されています。これらをもとに試算すると、介護にかかる費用は540万円ほどになります。
ただし、こうした平均額だけで老後の介護費用を判断することには注意が必要だと説明しています。介護費用には、公的介護保険でカバーされる部分と、食費・居住費・日常生活費、任意サービス、支給限度額を超えるサービス利用など、自己負担となる部分があるためです。
そのため、老後の介護費用は一律に「いくら必要」と断言するのではなく、在宅介護か施設介護か、要介護度、家族の支援状況、住環境などに応じて考える必要があります。
◆介護保険料にはなぜ地域差があるのか
今回の記事で中心的に扱われているテーマの一つが、介護保険料の地域差です。
介護保険制度は、市町村を基本的な保険者として運営されています。そのため、第1号被保険者である65歳以上の方が負担する介護保険料は、各市町村の介護サービス給付費の見込み、要介護認定者数、施設整備の状況、サービス利用量などを踏まえて設定されます。
記事では、2024年度から2026年度までの第9期において、全国で最も保険料が高い自治体と最も低い自治体との間に約2.74倍の開きがあることも紹介されています。
私は、この地域差について、単に「保険料が高い地域が悪い」「低い地域が良い」と見るべきではないと説明しています。保険料が高い地域では、施設整備が進んでいたり、介護サービスの利用が多かったりする場合もあるためです。
重要なのは、保険料の金額だけでなく、負担に見合った給付やサービスが受けられているのか、そして住民がその負担に納得できるのかという点です。
◆超高齢社会で社会保障制度は持続できるのか
記事では、日本の社会保障制度が超高齢社会の中で持続可能なのかという問いについても取り上げられています。
私は、介護保険制度の持続可能性について、単に財源が足りるか足りないかだけで考えるのではなく、負担と給付のバランスが社会的にどのように受け入れられるかが重要だと説明しています。
介護保険料は、第1期、すなわち2000年度から2002年度では全国平均2,911円でしたが、第9期、すなわち2024年度から2026年度では6,225円に上昇しています。給付ニーズの増加に伴って保険料が上昇する側面があるため、保険料上昇そのものを単純に否定することはできません。
一方で、制度への信頼を維持するためには、必要な人に必要なサービスが届いているか、そしてそれを支える側が負担に納得できるかという点が重要になります。
◆「公平な社会保障とは何か」

インタビューの後半では、私が考える「公平な社会保障」についても質問がありました。
公平な社会保障とは、個人の居住地や所得、家族構成など、本人の選択だけでは決まりにくい要素によって、必要なサポートへのアクセスが左右されない状態であると説明しています。
民間保険は、個人が必要に応じて保障内容を選ぶ商品です。一方、公的社会保険は、社会的なリスクを共同で支える制度です。そのため、本人の居住地や家族構成によって必要な支援へのアクセスが左右されないことが重要になります。
介護保険は、要介護認定または要支援認定を受けることでサービスを利用できる制度です。同じ所得水準であれば、同じような負担の下で、介護の必要度に応じたサービスを公平に受けられることが望ましい。私はこの公平性を、従来の自治体財政の視点だけでなく、第1号被保険者の負担と給付の対応という視点から捉え直すことを、自身の研究で重視していると述べています。
◆世代間公平と地域間公平
記事の最後では、世代間公平と地域間公平の関係についても取り上げられています。
世代間公平と地域間公平は独立した要素であり、単純にどちらを優先すべきかを決めるのは難しいと説明しています。世代間公平は時間軸の問題であり、将来世代は現在の制度設計に十分関与できる立場にはない一方で、将来その制度の負担や給付の影響を受けることになります。
一方、地域間公平は現在進行形の問題です。調整交付金によって市町村間の格差は一定程度緩和されていますが、それで完全に調整できているかについては、なお議論の余地があります。
住む場所は、本人の自由な選択だけで決まるものではなく、家族、仕事、地域とのつながりなどに強く制約されます。そうした居住地によって介護保険料の負担が大きく変わる現状をどう捉えるか。この点を、地域差が広がりつつあるこれからの時代における重要な論点として位置づけています。
私の研究は、数字の背後にある『個人の不公平感』を可視化しようとするものです。老後の社会保障をめぐる問いは、私たち一人ひとりに関わるテーマでもあります。
掲載記事は、以下よりご覧いただけます。
老後不安の正体とは?介護・保険・社会保障のこれからを考える
マネーキャリア
https://article.money-career.com/article/10060
学長から一言:この春から経済学部経済学科に着任の石田真准教授は、早くもエンジンがフル回転。これまでの専門的研究の蓄積や実務経験も活かして、高齢社会における老後の諸問題に一石を投じる発言は、読み手をうならせます。とくに私のような老後の介護や社会保障問題が他人事でない者にとっては、な~るほどと首肯することばかりでした。




