【経済学科】スポーツ心理学の授業で「目標設定」と「集中力」を体験的に学ぶ 〜バスケットボールを用いた実践授業〜
経済学科で開講されている「スポーツ心理学(担当:山下陽平講師)」にて、バスケットボールを題材とした実践的なフィールドワークが実施されました。心と体の関係を解き明かすアクティブな授業の様子を皆さんにお伝えします!(投稿:学科のFUKUDAI MagメンバーのCHOI)
今回の授業では、人がどのような目標だと努力を継続しやすいのか、また、 集中力が時間の経過とともにどのように変化するのかを、実体験とデータの両面から学びました。
90分という限られた時間の中で、学生全員がバスケットボールのシュートに取り組みました。記録された 総投球数は5,599本!単にシュート練習をしたのではなく、「どの距離で、どれだけ投げ続けたのか」「きつくなったときに、次にどんな行動を選んだのか」をデータとして残し、集中力や継続性、行動パターンを分析する授業です。同じ90分、同じ環境でも、学生一人ひとりの投球数や選んだ距離には違いがあり、そこにはそれぞれの“考え方”や“無意識の選択”が現れていました。

授業の目的
本授業の目的は、スポーツの技術向上そのものではなく、運動中の心理状態や行動の変化を科学的に捉える力を身につけることです。特に次の点を重視しました。
• 成功しやすい目標と、挑戦的な目標の違い
• 目標の難易度が行動量(努力の量)に与える影響
• 集中力やモチベーションが低下したときに、人はどのような行動を取るのか
これらを、学生自身の行動データを用いて分析しました。
実施方法(バスケットボールを用いたフィールドワーク)
授業は 90分間かけて実施し、学生は、次の3つの距離から自由にシュートを行いました。
• ゴール下
• フリースローラインからのシュート
• 3Pシュートラインより遠い位置
各距離について、 投球数(何本シュートを打ったか)と 成功数および成功率を記録し、授業全体で集計を行いました。この授業で記録された 総投球数は 5,599本にのぼり、学生一人ひとりが高い運動量と集中力を必要とする活動に取り組みました。
データから見えてきたこと:「最も多く打った距離」は人それぞれ
集計結果から、多くの学生が、成功率が高すぎず、低すぎもしない距離で、最も多くシュートを打っていることが分かりました。(平均成功率62.5%が平均投球数において最多となった)
| 距離 | 平均投球数 | 平均成功率 |
| ゴール下 | 約81本 | 約62.5% |
| フリースローラインからのシュート | 約52本 | 約38.8% |
| 3Pシュートラインより遠い位置 | 約54本 | 約22.4% |
これは心理学的に見ると、人は「簡単すぎる目標」でも「難しすぎる目標」でもなく、ほどよく挑戦的な目標に対して、最も行動を継続しやすいという目標設定理論を裏付ける結果です。
集中力は時間とともに変化する
90分間という比較的長い活動の中で、成功率が徐々に低下したり、ばらつきが大きくなったりする学生も見られました。これは、体力の問題だけでなく、「 集中力・ 注意力・ 気持ちの切り替え」といった心理的要因が、パフォーマンスに大きく影響していることを示しています。
うまくいかなくなったときの行動には個人差がある
興味深かった点は、きつくなった場面での行動の選び方です。
今回のスポーツ心理学の授業では、バスケットボールのシュートを通して学生一人ひとりの行動パターンを分析しました。注目したのは、「シュートが入ったかどうか」だけではありません。うまくいかなくなったとき、疲れてきたときに、次にどんな行動を選んだのか。
そこに、その人らしい“クセ”が現れていました。
• 成功しやすい距離に戻って立て直す学生
• 同じ距離で挑戦を続ける学生
• さらに難しい距離に挑戦する学生
同じ条件でも、行動の調整の仕方には大きな個人差が見られました。
フィードバックと自己分析
授業後は、Excelを用いて、「 各自の投球数と成功率・ 最も取り組んだ距離・ 行動の特徴(立て直し型・挑戦維持型など)」を自動的に可視化し、学生自身が自己分析を行いました。学生からは、「きつくなると安全な選択に戻るタイプだと分かった」「挑戦し続けて集中していたことに気づいた」「勉強の目標設定にも当てはまりそう」といった振り返りの声が多く聞かれました。
この授業で大切にしていること
この授業を通して伝えたかったことは、努力が続くかどうかは、根性や才能ではなく、「目標の立て方」と「自分の行動のクセ」によって大きく左右されるということです。
スポーツだけでなく、学習や将来の仕事においても活かせる視点として、心理学的な考え方を実体験から学びました。
大学の授業では、自分の行動をデータとして捉え、心理学的に分析する学びも行われます。体を動かしながら、「なぜ自分はその行動を選んだのか?」を考えることは、大学ならではの学びの一つです。本学科では、理論と実践を結びつけた授業を通して、スポーツや人の行動を多角的に理解する力を育てています。
学長から一言:「スポーツ心理学」の山下陽平講師担当の授業で行われた、身体的な運動やその成果と心の動きの関係を科学的に実証する試み。採用されたのは、さまざまな条件下でのバスケットボールのシュート成功率。「目標の立て方」や「自分の行動のクセ」の理解が、努力を継続しうるかどうかを左右するとの結論。従来の認識を越え、実証的なスポーツ学術論文の結論へと結実することが望まれます。




