【グリーンサイエンス研究センター】太田胃散に含まれる生薬の香気成分とニガキ末成分の探索

【グリーンサイエンス研究センター】太田胃散に含まれる生薬の香気成分とニガキ末成分の探索

グリーンサイエンス研究センター長の佐藤です。今年もグリーンサイエンスセミナーが始まりました。第52回は薬学の分野から講師をお招きし興味深い講演をご提供いただきました。薬学部の大西准教授からの報告です。

 


今回は、株式会社太田胃散筑波研究所・研究課より濵﨑保則氏をお迎えし、みなさんにも馴染みの深い「太田胃散」について(特に香りの成分とニガキと呼ばれる苦い植物の分析結果について)お話しいただきました。グリーンサイエンス研究センターの大西(薬学科)が報告します。

OTC (Over The Counter)医薬品の開発について

医薬品には医師の処方箋を必要とする「医療用医薬品」とドラッグストアなどで気軽に買える「OTC医薬品」があります。株式会社太田胃散では、後者のOTC医薬品の製造・販売を行っています。薬学部では、医療用医薬品の開発過程については習うのですが(薬剤師国家試験によく出題される!)、OTC医薬品の開発については意外と知らないことが多く、大変貴重なお話しを聞くことができました。

太田胃散の香気成分の分析結果

太田胃散には主に、芳香性健胃薬と呼ばれる「香り」が効く成分と、苦味健胃薬と呼ばれる「苦味」が効く成分が含まれています。そのうち、芳香性健胃薬の成分を気化させ、その空気を分析した結果が示されました。これによって、どの植物からどんな香気成分がどれくらいの量気化しているのかが分かります。太田胃散の機械では、分析した成分がどんな香りか実際に嗅ぐこともできるそうです。

20分間にも及ぶ白熱した議論!〜植物に含まれる成分は産地によって違う?

太田胃散では「ニガキ」のシェア90%以上を占めていて、その研究も最先端です。その中で、ニガキ(苦木と書く)に含まれている成分が産地によって異なることが示されました。これがなぜなのか?講演終了後に様々な角度から次々と質問が飛び出し、一つ一つ丁寧にご回答いただきました。木が育った場所の気候?土壌?それとも遺伝的要因?まだまだ不明な点が多く残されているとのことです。我々サイエンティストにとっても非常に興味深く、議論を深めることができました。

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今後もグリーンサイエンスセミナーやトークが続きますので、ぜひ注目していただければ幸いです。昨年のセミナーとトークは以下の通りです。

第50回グリーンサイエンスセミナーセミナーの様子

第51回グリーンサイエンスセミナーセミナーの様子

第6回グリーンサイイエンストークトークの様子

第7回グリーンサイイエンストークトークの様子

第8回グリーンサイイエンストークトークの様子

 

 

学長から一言:面白企画で科学と私達の距離を縮めるのに貢献するグリーンサイエンス研究センター主催のセミナーやトーク。今回は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃のもたれを経験した人なら、一度はその効用の恩恵を蒙ったことのある「太田胃散」の販売元から専門家をお招きして、あの独特の香りや効き目の秘密についての話を伺うことができたようです。薬学部関係者を中心に、多くの聴衆の関心を集めたことでしょう。

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