【生物工学科】福山大学研究ブランド国際展開の第一歩

【生物工学科】福山大学研究ブランド国際展開の第一歩

生物工学科 の 佐藤 准教授 が韓国の木浦国立大学を訪問し、本学のブランディングプロジェクト紹介と今後の連携の可能性を協議してきました。その内容を記事にしてもらいましたので、学長室ブログメンバーの 吉﨑 より投稿します。

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アニョハセヨ。生物工学科の佐藤です。

12月13-15日、韓国南部にある 木浦国立大学 を訪問し、現地の視察とともに、本学のブランディング推進のための研究プロジェクト、特に昨年度採択された文部科学省私立大学ブランディング事業「瀬戸内海しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育(通称、里海プロジェクト)」の内容を紹介させていただきました。

瀬戸内と共通する、木浦

何故、木浦なのか? 理由はとても単純です。木浦国立大学の近くには、1000を超える島々が存在する多島海(タドヘ)があり、海の恵みをとてもよく活かした産業が根付いた街だからです。どこかで聞いた環境ではないでしょうか?そう瀬戸内海です。大きな干潟、ノリの養殖、塩田、島をつなぐ橋などなど瀬戸内海島嶼と似たところが多く、上の里海プロジェクトと共通の課題がたくさんありそうです。

それらの課題の解決を目指して今後の連携の可能性の協議をしてきました。今回は、中越信和教授(本学客員教授、広島大学特任教授、植物生態学)と共に訪問しました。カウンターパートの木浦国立大学 海洋・島嶼文化研究所のHong教授、Kim教授にお世話いただきました。お二人は日本で学位を取られたこともあり、ネイティブ並みに日本語を話されます。

左からKim先生、私、Hong先生、中越教授

木浦の町並み、産業

さて、木浦ではまず儒達山(ユダルサン)展望台から島の景観を見ました。島には多くのマンションが立ち並んでおり、福山大学近くのしまなみの島々よりも開発が進んでいる印象を受けました。下の写真は手前が旧市街で元の日本人の町が広がっており、今は反対側に新しい市街地があります(その下の写真)。ちなみに木浦の人口は約25万人です。街では魚介類の食堂・レストランをよく見ます。里海文化が根付いた街だなぁと感じました。

儒達山(ユダルサン)展望台からの眺め

新市街

次に2つほど島に行き、干潟、塩田、ノリの養殖を視察しました。干潟は瀬戸内海島嶼の干潟よりもかなり大きなもので、広い遠浅な沿岸域が広がっていることがわかりました。以前、シオマネキというカニの仲間が干潟に多く生息していたそうですが、堤防を作ってから数が激減したようです。生物多様性の豊かな干潟を守ることは瀬戸内でも喫緊の課題です。

一方、塩田は昔の日本式の手法を採用しているとのことでしたが、シートの成分が出来上がる塩に混ざってしまうのが問題なのだとか。ノリの養殖は日本でよく見るようなものでした。

かつてシオマネキが多く生息していた干潟。右奥が堤防。

塩田の視察

奥にノリの養殖。手前は別の干潟。

さて、次には木浦の産業を支える水産物を見に、木浦総合水産市場を訪問しました。ここで売られている魚介類は奥のお店で料理をしてくれます。私は故郷の2条市場(札幌)を思い出しましたが、福山周辺にもこんな市場があったら観光客は面白いだろうなぁと思います。やはり見るだけではなく、地元のものを食べたいですよね。しかも見て気に入ったものを。

木浦総合水産市場

魚の乾物たち。干したら市場へ。

タチウオ

エイをさばく。前の箱は全てエイの商品。

買った魚は近くの店で料理してくれる。

植物学者、動物学者として講演

今回の出張のメインイベントである研究会では、その日のために横断幕まで用意していただき、20-30人程度の皆様に研究プロジェクトを紹介しました。中越教授からは瀬戸内海国立公園と、瀬戸内海島嶼における20年の景観変化に関する話があり、私の方からは、瀬戸内の里山里海学と、里海プロジェクトの中から、しまなみ沿岸生態系解明とその保全、シロギスの養殖、そして教育について話をしました。

中越教授講演

佐藤講演

質問タイム

講演の内容にはとても興味を持っていただきました。特に、全ての学部が関与するプロジェクトがどのように作られたのか、その形成プロセスと体制にとても関心を持っておられました。縦の枠にとらわれず一人一人の研究者と謙虚に話し合い、一つずつ連携の可能性を探っていくしかありませんよね。ボトムアップです。ノリが必要です。

大学の研究にはバリエーションがあるのが自然であり、かつ大変魅力的であると思います。しかし、そのような多様な研究者が大きな枠組みの中で一つの方向に向かって研究を進めていることにいくばくかの誇りをもって帰ることができそうです。

講演会後の写真。横断幕には中越教授と私の名前。

研究所のディレクターと主要な教授の先生にはぜひ来年、福山を訪問したいと言っていただきました。木浦の良さを感じさせていただきましたので、来年はお返しができればと考えています。

懇親会の後、カフェにて。ここでさようなら。私は深夜のKTX。

以上、植物学者と動物学者による木浦訪問報告でした。

カムサハムニダ

 

学長から一言:「瀬戸内海しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育(通称、里海プロジェクト)」も、国際展開となってきましたねッ!佐藤准教授は今回はご自分の研究よりもプロジェクト全体の紹介をしてくださったようですが、次の機会にはしっかりご自分の研究を!客員教授の中越先生、ご協力に感謝!!!