【電気電子工学科】「未来をつくる現場」を体感する一日 ― 新入生企業見学ツアー報告 ―
工学部電気電子工学科では、新入生オリエンテーションの一環として、実際の産業現場に触れる企業見学を実施しています。講義で学ぶ電気電子技術が、どのように社会の中で活用されているかを体感する貴重な機会です。今回は、福山市および東広島市に拠点を持つ株式会社ジェーイーエル本社およびマイクロンメモリ ジャパン株式会社広島工場を見学させていただきました。この報告が、学科長の香川教授から届いていますので、電気電子工学科のFUKUDAI Magスタッフの伍賀が投稿します。
4月8日、春のやわらかな空気に包まれる中、新入生オリエンテーションの一環として企業見学ツアーを実施しました。今回訪問したのは、福山市の半導体製造装置メーカーである株式会社ジェーイーエル(JEL)と、東広島市に拠点を構えるマイクロンメモリ ジャパン株式会社。いまや私たちの生活に欠かせない半導体が、「どのように作られ、どのように支えられているのか」を、装置と工場という二つの視点から学ぶ貴重な機会となりました。
当日は、新入生19名と大学院生2名、引率教員4名が大学バス停「緑のこかげ」に集合し、スクールバスで出発。最初の目的地はJELです。JELは、半導体製造に欠かせない「ウエハー搬送装置」を開発・製造する企業で、その装置は世界中の半導体工場で活躍しています。管理グループの光永宏樹様、池田司様が温かく迎えてくださりました。まず、会社概要を伺った後、社屋を見学させていただきました。
半導体は、極めて高純度な基板の上に、何百もの微細な工程を積み重ねて回路を形成することで作られます。その過程では、目に見えないほどの微細な埃や水滴ですら不良の原因となるため、製造は厳格に管理されたクリーンルームで行われます。こうした環境の中で、工程から工程へとウエハーを正確かつ迅速に運ぶ役割を担うのが搬送装置です。社内見学では、設計・組立・検査・在庫管理といった各部門を巡りながら、その全体像を丁寧に学びました。特に印象的だったのは、直径30cm、厚さ1mmほどの極めて薄く繊細なウエハーを、気流を使って傷つけずに安定に掴む技術や25枚まとめて高速で搬送する技術です。しかも、装置自体が微粒子を発生させてはならないため、潤滑油を使わずに動作する高度な精密技術が求められます。まさに「見えない世界」を支える、極限の技術です。
学生からは、「この技術は他分野にも応用できるのでは?」「制御システムの更新はどのように行うのか?」といった質問が次々と飛び出し、現場の技術者の方々も一つひとつ丁寧に応えてくださいました。見学後の感想では、「ものづくりの流れが具体的に理解できた」「職場の雰囲気や役割分担がよく分かった」といった声が多く、初めて触れる“リアルな現場”が強く印象に残ったようです。
その後、一行は福山城へ移動し、桜吹雪の舞う中で昼食をとりました。穏やかな春の陽気のもと、新入生同士や教員との交流も深まり、和やかなひとときとなりました。
午後は、東広島市にあるマイクロンメモリ ジャパン株式会社へ向かいます。ここは、世界最先端の半導体メモリを製造する拠点の一つであり、まさに「未来を生み出す工場」です。出迎えてくださった、Site Service Specialist の正田英子 様のご案内で、巨大な建屋に足を踏み入れると、多国籍のスタッフが行き交う国際的な雰囲気に包まれます。施設内には広大なクリーンルームが広がり、その下層には電力・水・ガス・薬品などを供給する設備が整備されています。これらを24時間体制で維持するため、数千人規模の技術者が働いていると聞き、まさに“一つの都市”のような印象を受けました。
最初にDirectorの秋山裕明 様から、日本の半導体産業の歴史とともに、技術の進化と人材の重要性についてのお話がありました。特に、AIの発展に伴い、より高速で省エネルギーな半導体が求められていること、その実現には多様な分野の知識が融合する必要があることが強調されました。
クリーンルーム見学では、天井に張り巡らされたレール上を搬送ロボットが滑るように移動し、膨大な装置群の間を行き来する様子が見られました。その光景は、まるでSF映画の未来都市そのもの。ここで作られる一枚の半導体基板が完成するまでには、休みなく続く工 程を経て約2-3か月もの時間がかかると伺いました。このクリーンルームで稼働する搬送システムの中には、午前中に見学したJELのような企業の装置が活躍しています。さらに、それらを止めることなく動かし続けるためには、極めて安定した電力供給が欠かせません。装置メーカー、製造工場、そしてインフラが一体となって、最先端の半導体が生み出されていることを実感する場面となりました。
学生からは、「EUV(極端紫外線)露光装置は導入されているのか」といった専門的な質問も飛び出し、関心の高さがうかがえました。また、「目に見えないホコリへの対策が徹底されていて驚いた」「製造全体の流れが理解できた」といった声も多く、システムとしてのものづくりへの理解が深まった様子でした。
一日の見学を通じて学生たちは、「数学や物理といった基礎が、実際の製品づくりに直結していることを実感した」「将来の技術者としてのイメージが具体的になった」と語っていました。教室で学ぶ知識が、社会の中でどのように活きているのか――その“接点”を体感することができた一日だったのではないでしょうか。
今回の見学を快く受け入れてくださった株式会社ジェーイーエルおよびマイクロンメモリ ジャパン株式会社の皆様に、心より感謝申し上げます。この経験が、新入生たちの学びへの意欲をさらに高めるきっかけとなることを願っています。
学長から一言:「鉄は熱いうちに打て」の格言どおりに、工学部電気電子工学科の新入生オリエンテーションでは、今や耳にしない日がないような半導体の製造に関係した企業2社を訪問し、最先端のものづくりの一端を体験。これから始まる本格的な学びにとってこれほど効果的な動機付けはないでしょう。新入生の目の輝きを見るようです。ご協力いただいた株式会社ジェーイーエルおよびマイクロンメモリ ジャパン株式会社の関係者の皆様のご好意に私からも感謝申し上げます。









