【健康栄養科学科】福山ローズファイターズ選手を栄養でサポート!
生命工学部健康栄養科学科は五洋医療器株式会社(小坂正記取締役社長・福山市)と連携して、アスリートを対象にした栄養サポートや食事支援の活動を行っています。目的は、スポーツ選手(スポーツ愛好者)への栄養支援を行い、その効果を検証する、そしてスポーツ栄養を志す学生の人材教育も目指しています。この活動のすでに終了している第1回、第2回の活動の経緯を含め、このたび行った第3回の様子を、学科のFUKUDAI Magメンバーである石井が報告します。
この活動は、まず令和7(2025)年1月に、「瀬戸内ローズフィールド」(五洋医療機器株式会社所有・福山市)のトレーニング施設で、カープ二軍選手へ応援ランチを提供したことが始まりです。4月からは、健康栄養科学科の食育・スポーツ栄養コースの教員と学生が卒業研究も兼ねて、定期的に訪問し栄養セミナーを開催しています。今回の栄養支援の対象は社会人野球チーム(福山ローズファイターズ)になります。
第3回目になる今回は、8月22日(金)に健康栄養科学科の学生4名(4年生1名、2年生3名)と教員2名(吉田純子准教授、山崎真優助手)が、「瀬戸内ローズフィールド」で、福山ローズファイターズの選手4名・南渕時高監督に料理作りの指導とサポート、栄養セミナーを行いました。

今年度の活動のテーマを振り返ると、以下のとおりになります。
初回は、選手の食生活を把握するために、食事調査と体組成測定機器(健康栄養科学科所有)を持参して測定を行いました。学生が身体測定結果を評価し、「選手自身の身体の現状を知る」というテーマで栄養講話もさせていただきました。
2回目は、学生から「身体を大きくするためにはどのような栄養素を摂取すればいいのかを知る」というテーマで栄養講話をさせていただきました。個別の栄養指導では、選手から食に関する質問や相談を受けました。
3回目の今回は、「身体を大きくするために自宅で食事を作ることができる」をテーマに、選手が主役で調理実習を行い、学生4名と教員2名はサポートに回って、調理方法も伝授しました。栄養講話では食材の知識もお話しました。

第3回目のこの日のメニューは、ごはん、みそ汁、豚肉の生姜焼き~カレー風味~、豆腐の梅風味サラダ、フルーツミックス寒天の5品です。ポイントは、ビタミンB1が豊富な豚肉を使ったこと、カレー味や梅風味にして食欲の低下を防いでいることです。夏の暑さに負けない疲労回復メニューとなりました。
豚肉のビタミンB1は、糖質を効率よくエネルギーに変えるため、疲れにくく持久力をアップしてくれます。良質なたんぱく質も豊富で、筋肉の修復や強化をサポートしてくれるので、選手に普段から食べていただきたい食材の一つです。フライパン2つを駆使しながら、弱火~中火で中までじっくり火を通しています。

豆腐の梅風味サラダは、さっぱりとした味わいが特徴です。梅干しを種から外して丁寧に微塵切りしたものとポン酢醤油を合わせます。
豆腐は、良質なたんぱく質を含み低脂質なので、減量したいけど筋肉は落としたくないという選手に向く食材です。骨を強くするカルシウムやマグネシウム、血圧を下げるカリウムも豊富です。
選手はふた組に分かれて調理を交代しながら、1時間余りで2品を完成しました。ごはん、みそ汁、フルーツミックス寒天は、学生があらかじめ大学で調理していたので、一緒に提供しました。

盛り付けは、スポーツ選手の食事ということで、とてもボリューム感が出ています。ちょうど夕食の時間帯です。先程までの賑やかさが嘘のように選手の皆さんは静かに食べておられ、感想を聞きましたら、「美味しすぎて食事に集中しました」とのことでした。ホッとしました(笑)!
栄養価は、エネルギー 1,041 kcal, たんぱく質46.5g, 脂質30.7g, 炭水化物135.6g, 食物繊維8g, 食塩相当量4.7g, ビタミンB1 1.70mg, ビタミンB2 0.56mg, ビタミンC 54mgです。選手に必要なエネルギー量を算出すると、1日当たり3,000~3,800kcalほどでした。選手個々によってエネルギー量を調整する際は、小さめの茶碗1杯(約130g)のご飯を追加すると、200kcalづつアップして1,200kcalや1,400kcalを摂ることも出来ます。

4年生から、メニューのポイントである豚肉と梅干しの説明がありました。梅干しは、汗で失われた塩分補給に最適であること、含まれるクエン酸が乳酸を分解して疲労回復をサポートすることなどお話しました。
早速、質問をいただいたので、学生は授業で習った専門知識を交えながら分かり易く説明することができました。選手の皆様は、いつも気さくに話してくださり、大変盛り上がります。選手をはじめ、南渕時高監督、小坂正記社長、社員の皆様、学生と教員とで有意義な食事交流が出来ました。

これまでの栄養セミナーや今回の調理実習を通して、更に選手の栄養サポートに力が入ります!選手の皆様、応援しています~!
健康栄養科学科の学生に、栄養セミナーや調理実習の場を設けてくださった福山ローズファイターズの選手の皆様、南渕時高監督、小坂正記社長、五洋医療器株式会社の皆様へ、厚く御礼申し上げます。
(実施責任者:吉田純子准教授、山崎真優助手)
学長から一言:健康栄養科学科の教員と学生の皆さんが日頃の食物・栄養研究における研鑽や学びの成果を活かし、地元企業と連携して展開するスポーツ選手を対象とした栄養サポートと食事支援の活動が着実に進んでいます。今回は、社会人野球チームの福山ローズファイターズの選手や監督と一緒になって、栄養セミナーや調理実習を実施。元気なスポーツマンの皆さんと栄養たっぷりの料理を作り、食卓を囲む、何ともウキウキするような活動です。




