薬学部

Faculty of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences

【薬学研究科】博士課程3年生が中間発表!脳出血の治療薬開発に挑む!

【薬学研究科】博士課程3年生が中間発表!脳出血の治療薬開発に挑む!

薬学研究科では、大学院の博士課程3年生が「中間発表会」を行います。この発表会は、大学院生がこれまでの研究成果を多くの教員の前で発表し、多様な専門分野の視点からアドバイスを受けることで、研究をさらに発展させることを目的としています。その様子について、薬学研究科長の今教授からの報告です(投稿は五郎丸です)。

 


薬学研究科の中間発表会は、今年度、8月19日(火)に未来創造館3階で開催され、博士課程3年の町田葵さんが「炎症性サイトカイン様因子HMGB1を標的としたグリチルリチン誘導体の探索と脳出血モデルへの応用」というタイトルで発表しました。

発表内容は、以下の通りです。
甘草(カンゾウ)という植物に含まれるグリチルリチンは、脳出血を悪化させる原因の一つである炎症性物質HMGB1を直接阻害する働きがあります。今回、このグリチルリチンを改良して、より強力にHMGB1を抑えることができる新しい化合物を作ることに成功しました。
しかし、この化合物は水に溶けにくいため、そのままでは薬として使いづらいという問題がありました。そこで、注射製剤として使えるようにさらに工夫し、脳出血モデルマウスに静脈から投与した結果、脳のむくみ(脳浮腫)が軽くなり、神経を守る(神経保護)効果が確認されました。この研究は、新しい治療薬の開発につながる重要な成果です。

発表会には、多くの教職員、大学院生、学部生が参加し、活発な質疑応答が行われました。町田さんは、寄せられた質問やコメントに対し、データを示しながら丁寧に回答していました。多角的な議論を通じて、研究の方向性をさらに深める有意義な機会となりました。

 

本研究に関して、町田さんは既に筆頭著者で2編の学術論文を著名な国際誌に報告しています。今回の発表会で得られた助言を活かし、さらなる研究成果を出して学位取得、そして将来は研究者として活躍してくれることを願っています。

■ Machida Aoi et al., Journal of medicinal chemistry, 2024.
A Glycyrrhizin Derivative with a More Potent Inhibitory Activity against High-Mobility Group Box 1 Efficiently Discovered by Chemical Synthesis Inspired by the Bioconversion Products of an Endophytic Fungus Isolated from Licorice.

■ Machida Aoi et al., Molecular Pharmaceutics, 2025.
Development of an Injectable Formulation of a Water-Insoluble Glycyrrhizin Derivative That Potently Inhibits High-Mobility Group Box 1 in Murine Intracerebral Hemorrhage.

 

町田さんからコメント:
今回の中間報告では、先生方から多角的なご質問やご助言をいただき、研究を進めるうえでの課題がより明確になりました。今後は、その課題に取り組みつつ、研究をさらに深めていきたいと思います。

今回の中間発表会は、博士課程大学院生の研究を一層充実させる貴重な機会となりました。福山大学大学院薬学研究科では、今後も大学院生の挑戦を全力で支援し、未来の研究者の育成に取り組んでまいります。

薬学研究科(博士課程)の募集要項・入学試験については、以下ページをご覧ください。

福山大学 | 薬学研究科入学試験

 

 

学長から一言:脳出血対策の新薬開発につながる可能性を秘めた研究成果をまとめ上げ、海外の著名な専門的雑誌に2篇の論文が掲載された大学院薬学研究科博士課程3年生の町田葵さん、よく頑張りました。その研究内容を研究科の中間発表会で報告し、多くの参加者からの質問に答える一方、研究の新たな展開につながる有益なコメントが得られたことでしょう。研究の精度をさらに向上させ、脳出血の有効な予防策や治療方法の開発に貢献してください。

 

 

この記事をシェアする

トップへ戻る