【国際センター】夢をあきらめなかった留学生に拍手を——NGUYEN THI THUY ANさん、スピーチコンテストで優秀賞受賞

【国際センター】夢をあきらめなかった留学生に拍手を——NGUYEN THI THUY ANさん、スピーチコンテストで優秀賞受賞

2025年7月26日(土)、ひろしま国際センター交流ホールにて、広島キワニスクラブ主催「日本語スピーチコンテスト」が開催され、県内の大学や専門学校で学ぶ留学生たちが、日本語で自身の体験や想いを語りました。

その中で、福山大学経済学部国際経済学科3年生のNGUYEN THI THUY AN(グエン・ティ・トゥイ・アン)さんが、優秀賞(第2位)に輝きました。その感動のスピーチについて、FUKUDAI Magメンバーである国際センターの趙がお伝えします。

アンさんのスピーチタイトルは、「夢への旅」

ベトナムの小さな農村に生まれ、両親の「勉強すれば将来が変わるのよ」という言葉を胸に来日したアンさんは、日本語学校で学びながら努力を重ね、早くも日本語能力試験N2に合格して大学進学を目指していました。しかし、突然のコロナ禍によりアルバイトができず、学費の工面が困難に。やむなく専門学校への進学を選ばざるを得ませんでした。

そんな時、アルバイト先の蕎麦屋の店長からかけられた

「夢を諦める理由が『お金』なら、それは本当にもったいない」

という言葉に背中を押され、もう一度夢に向き合う決意を固めました。

その後、猛勉強の末に福山大学に合格。学費を自力で工面しながら学業とアルバイトの両立に努め、1年次には学部トップの成績を修め、授業料全額免除と奨学金を受けるまでに成長しました。

当日発表されたスピーチ原稿は、以下の通りです。


私は、 ベトナムの小さな農村で生まれました。父は農業を営み、 母は専業主婦でした。 二人とも学ぶことが大好きでしたが、経済的な理由で高校を中退せざるを得ませんでした。「勉強すれば将来が変わるのよ」というのが両親の口癖でした。

両親の想いを胸に、高校卒業を果たし、そして私は日本への留学を考えるようになりました。とはいえ、経済的に容易なことではありません。両親は悩んだ末、貯金を崩して、私の夢を応援してくれました。

最初は福山の日本語学校に入学しました。早いうちに日本語能力試験N2に合格すると、次のステップである大学への進学を目指しました。ところが、突然降ってきたパンデミックが私の計画を狂わせてしまったのです。コロナ禍でアルバイトができず、学費を工面できない私は大学進学を断念せざるを得ませんでした。母に「専門学校に入り直してそのまま日本で就職する」と伝えると、「仕方ないね」とため息まじりに受け入れてくれました。

アルバイト先の蕎麦屋も休業していましたが、営業が再開すると、店長は優先的にシフトを組んでくれました。日本語学校時代は休憩時間にも勉強していた私でしたが、専門学校に入ると気が緩んでしまい、「専門学校に2年間通いさえすれば働いてお金も稼げる」という気持ちになっていたようです。休憩時間、スマホばかりいじっている私に、店長が「学校の勉強はどう?」と声をかけてくれました。「大学進学はもう諦めました」と正直に打ち明けると、店長は私の目をしっかりと見つめて、言いました。「ふむ。夢を諦める理由が『お金』なら、それは本当にもったいない。お金はまた稼げる。でも、夢を諦めたら、それは二度と戻ってこないんだよ」。 その言葉に、ハッとしました。  その後店長はシフトを増やしてくれたり、食材を分けてくれたりと以前にもまして応援してくれました。

そしてコロナが落ち着きはじめたころ、福山大学を受験し、合格を果たしました。いち早く両親に知らせました。電話の向こうではしばらく沈黙の末、「よく頑張ったね。学費までは負担できないが、せめてお祝いだけでも」と入学金を送ってきてくれました。2人の妹はまだ高校や大学で勉強しているのにと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

「これ以上、両親に負担をかけてはいけない。」その一心で、大学では規定された時間内でできる限りアルバイトをしながら、学業にも全力で取り組みました。

その結果、1年次の終了時には学部でトップの成績を収め、授業料の全額免除に加え、奨学金をいただくことができました。

この夢の旅を振り返るたびに、感謝の気持ちとともに、どこか不思議な気持ちになります。「夢は、諦めなければ決して消えません。」

その思いは、ときに世代を超え、ときに海を越えて、受け継がれていくこともあります。

いろいろな事情を抱え、「もう夢を諦めようか」と迷っている人が、今日も、世界のどこかにきっといるはずです。

私は、そんな人に伝えたいのです。

「夢を、諦めないでください」ご静聴ありがとうございました!


また、スピーチでは触れられませんでしたが、アンさんは大学2年次から広島県の「留学大使」として、SNSを通して広島の魅力をベトナムへ発信しているほか、週に1度は東広島市のフードバンクでボランティア活動にも取り組んでいます。

「自分の体験を通して、誰かの力になりたい」という思いで、学外でも積極的に社会貢献を続けています。

アンさん、優秀賞の受賞おめでとうございます!

学長から一言:広島キワニスクラブ主催の「日本語スピーチコンテスト」で優秀賞を獲得した国際経済学科3年生のグエン・ティ・トゥイ・アンさん、おめでとうございます。故郷のベトナムで抱いた夢を諦めず、努力を重ねて本学への留学を実現させ、入学後も更なる努力を通じて、成績優秀により学費全学免除の待遇を受けることになったのは本当に素晴らしい!現在も既に日本のことも母国に向けて発信するなど、きっと将来にわたって日越両国の架け橋となって下さるでしょう。応援しています。

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