【グリーンサイエンス研究センター】第52回グリーンサイエンスセミナー(9/5:太田胃散 濵﨑先生)
グリーンサイエンス研究センター長の佐藤です。今年もグリーンサイエンスセミナーとトークを開催します。昨年に引き続き、学内外の研究の最前線をお伝えいたします。様々な分野の研究者が登場しますので楽しみにしていてください。次回の第52回(9/5)は、株式会社太田胃散筑波研究所の濵﨑保則氏に、まさしく太田胃散についての研究成果をご講演いただきます。セミナーを取りまとめています薬学部の大西正俊准教授が紹介します。
第52回グリーンサイエンスセミナー(9/5金)
みなさんこんにちは。グリーンサイエンス研究センターの大西(薬学部)です。以下のように第52回グリーンサイエンスセミナーを開催しますのでご案内申し上げます。今回は株式会社太田胃散筑波研究所から濵﨑保則氏をお招きし、太田胃散に含まれる生薬の香気成分とニガキ末成分の分析結果について解説をしていただきます。
生薬には一般的な「飲む」「打つ」「塗る」などだけでなく、“味”や“香り”を活かした多様な適用法があります。今回ご講演いただく濵﨑保則氏は、生薬成分分析のプロフェッショナルで、特に苦味健胃薬に使用される「ニガキ」(苦木)の研究に取り組んでおられます。ニガキは教科書にも載る生薬ですが、意外なことに未解明な点が多く残されており、国内シェア約9割を誇る太田胃散ではトップクラスの研究体制を整えています。ご講演では、ニガキの最先端研究に加え、芳香健胃薬の香気成分の分析法もご紹介いただけます。製薬企業の研究に触れる機会は滅多になく、薬学部関係者のみならず、他分野の教員や参加者にとっても興味深い有意義な内容となるでしょう。ぜひお越しください。
第52回 グリーンサイエンスセミナー 講演内容
講 師: 濵﨑 保則 (株式会社太田胃散筑波研究所・研究課)
演 題: 「太田胃散に含まれる生薬の香気成分とニガキ末成分の探索」
日 時: 令和7年9月5日(金) 午後3時00分から4時00分まで
場 所: 未来創造館3階110302講義室(〒729-0292 広島県福山市東村町字三蔵985-1)
要 旨: 株式会社太田胃散は、1879年(明治12年)の創業以来、140年以上にわたり、主に生薬を用いた胃腸薬や漢方薬などの一般用医薬品の製造および販売を行っております。その代表的製品である「太田胃散」は、時代の変遷に対応して処方を改良し現在に至るまで発売されています。「太田胃散」は、芳香性健胃薬であるケイヒ(シナモン)、ウイキョウ(フェンネル)、ニクズク(ナツメグ)、チョウジ(クローブ)、チンピの5種類と、苦味健胃薬であるゲンチアナ、ニガキ末の2種類、計7種の生薬に加え制酸剤を組み合わせた独自の処方が特徴の製品です。これらの生薬は薬効だけでなく、味や香りといった服用時の嗜好性にも配慮して選定されており、製品開発と改良において「香り」と「味」のバランスを重視しております。特に配合生薬のひとつであるニガキ末については、国内流通量の約9割を「太田胃散」が使用しており、本製品においてとても重要な生薬となっております。本講演では、これら7種の生薬の香気成分に関して、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いた分析結果を紹介します。また、苦味健胃薬であるニガキについては、非分離分析手法である蛍光指紋法を用いた化学特性解析、および液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)による産地別成分の定量的評価についても紹介いたします。

昨年のセミナーとトークは以下のサイトからご覧いただけます。それでは今年もセミナーとトークでお会いしましょう。
第50回GSセミナー:クマの出没
第51回GSセミナー:アサリの減少
第6回GSトーク:自著本の紹介(進化とクラゲ)
第7回GSトーク:ワンヘルス
第8回GSトーク:サルの生態
学長から一言:学内外のスピーカーを招聘して活発な催しを展開しているグリーンサイエンス研究センターの次回のセミナーでは、私も含めておそらく誰しもがお世話になったことがあり、あの独特の香りや苦味を思い出す「太田胃散」について詳しく知ることができるとのこと。胃腸の丈夫な人も弱い人も、漢方の奥の深さを学んでみることは、きっと役立つに違いありません。




