学部・学科・大学院

メディア・映像学科

久保田 テツ(くぼた てつ)

職 名 准教授
学 位 学士(芸術工学)
専門分野 メディアデザイン、映像、ドキュメンテーション、音響
担当科目 メディア実践、広告制作、メディア応用実習、専門演習、基礎ゼミなど
メッセージ 映像や音、グラフィックなどのメディアを使った表現と、それを通じた人とのつながりについて考えてきました。中でも映像は、見る人によって感じ方や見え方が違うことが多い。だから、いろいろな人と一緒に映像を見て話し合うと、自分とは違う感じ方をする人がたくさんいることに気づかされます。そうした「他者」への気づきが、メディア表現の面白さのひとつだと思います。

記録する、残す、伝える〜映像ドキュメンテーション

「ドキュメンテーション」は、出来事や対話を記録し、のちの資料として活用する方法です。その中でも映像は、表情や声、空気感までも伝える手段としてとても力があります。たとえば私が関わる「とつとつダンス」というプロジェクトでは、認知症の方や障害のある人、介護者、ダンサーらとの身体ワークショップの様を必ず映像で残します。こうした映像は、その場限りの体験を未来へつなげるだけでなく、その場に立ち会うことができなかった他の人たちへも風景を届ける大切な表現になります。

「とつとつダンス」高齢者とダンサーの身体コミュニケーション

制作における他者への想像力〜映像デザイン

展示会場や舞台、デジタルサイネージなどのために映像を制作することがあります。そこでは、限られた時間や空間、媒体の特徴など、さまざまな条件を踏まえて表現を工夫しなければなりません。ただ決められたことを形にするだけでなく、与えられた枠の中でいかに自由に、豊かに表現できるかが問われます。そして常に意識するのは「誰に届けるのか」ということ。依頼者や鑑賞者のイメージに寄り添う想像力が、よい作品をつくるための大きなポイントになると感じています。

「Quiet Hallway」(「細野晴臣展/細野観光1969-2021大阪」にて上映)

映像と対話〜メディアとしての場づくり

メディアとは本来、情報を伝える「媒介」を意味しますが、映像そのものだけでなく、人と人とが出会い、語り合う「場」もまたメディアのひとつだと位置付けることができるでしょう。たとえば、映画上映後にみんなで感想を話したり、昔のフィルム映像を観ながら当時の記憶を語り合ったり。こうした「映像のまわりに生まれる場」は、映像と人との関係をより豊かにしてくれます。メディアや映像の役割は、記録や伝達を超えて、人と人のつながりを育むものでもあるのです。

映像上映会+参加者との対話の場

真似る、遊ぶ、協働する〜映像ワークショップ

SNSではダンスや音声、映像など、誰かの表現を「真似る」ことがひとつの楽しみ方として親しまれています。一見ネガティブに捉えられることもありますが、誰かの知識や経験をなぞることは、学びの基本とも言えます。僕が関わる「ご近所映画クラブ」では、既存の映画の構成や表現をまねしながら、映像制作のプロセスを体験します。状況にあわせてルールやテーマをつくり、共有しながら遊ぶように映画をつくることで、他者と協働しながら作品をつくることの楽しさを知ってもらうことを目的としています。

「ご近所映画クラブ」小学校における映画制作ワークショップ