【経済学科】2025年度 経済学科の第1回スポーツ海外研修(韓国・釜山)

2025年9月11日から14日までの3泊4日の日程で、経済学部経済学科の学生6名が経済学科の教員崔嵋汀(チェミジョン)助教の引率の下、韓国釜山へスポーツ海外研修に行ってまいりましたので、報告致します。

 

スポーツ分野における初の韓国研修である今回は、現地の大学とのセミナーやスポーツ交流を通じて、韓国の大学のスポーツ専攻学生の学びを体験し、その優れた実力を直に感じることを目的としました。併せて、経済学科の海外研修にふさわしく、韓国経済の一端に触れることもプログラムの中に組み込みました。

・産業視察:釜山テクノパーク 靴ファッション振興団

研修の第一歩として、釜山にある「靴ハブ融合センター」を訪問しました。釜山港は韓国最大の貿易港であり、靴の製造に必要な原材料の輸入や完成品の輸出において非常に恵まれた立地です。また、日本や中国といった主要市場へのアクセスの良さも、釜山が韓国の靴産業の中核拠点として発展してきた大きな要因となっています。 センターでは、靴関連のベンチャー企業が事業計画の具体化からデザインの洗練、生産ラインの構築に至るまで、アイデアを実現しようと取り組む様子を間近で見学しました。併設された靴工場では、熟練した職人の技と最新の自動化設備が融合し、一足の靴が完成する全工程を学びました。デザイン、裁断、縫製、接着、検品といった各工程に込められた高い技術力と職人の情熱に触れ、大きな感銘を受けました。

「釜山テクノパーク 靴ファッション振興団の企業社とセミナー」

・学術・スポーツ交流: 釜山東義大学

東義大学スポーツ学科の教授陣と学生の皆様が参加するセミナーでは、学生たちには馴染みの薄い「スポーツバイオメカニクス」を学ぶ機会を得ました。特に、この分野が産業界と連携し、一足の運動靴が製品化されるまでの科学的プロセスや技術的背景について理解を深めることができました。 セミナー後半では「肥満とコロナの関連性」をテーマに、スポーツ生理学分野の最新の研究動向について学びました。コロナ禍に実施された多くの研究データを分析した結果、肥満の人は新型コロナウイルスに感染する確率が高いとの報告が紹介されました。この講演を通じて、学生たちはスポーツ生理学が実生活や健康維持といかに密接に関わっているかを実感する良い機会となりました。 セミナー終了後には、両大学の学生によるバレーボールの親善試合が行われました。試合中は言葉の壁を越えて声を掛け合い、笑顔やジェスチャーでコミュニケーションを取りながら、互いのチームワークやプレースタイルの違いを楽しんでいる姿が印象的でした。スポーツという共通言語を通したこの経験は、異文化を理解し、相手を尊重する心を育む貴重な学びになったことと思います。

「釜山東義大学スポーツ学科との交流活動」

・文化体験:韓国プロ野球観戦

研修最終日には、昨年福山大学に交換留学生として在籍していたイ・ヨジンさんも合流し、一緒に韓国プロ野球を観戦しました。韓国のプロ野球は単なるスポーツ観戦を超え、その国の文化や国民性を肌で感じられる貴重な体験だと改めて実感しました。 特に印象的だったのは、観客全体が一体となって応援歌を歌い、チームごとに異なる応援スタイルやリズムを全力で楽しむ光景でした。球場全体がお祭りのような熱気に包まれており、これこそが韓国プロ野球の大きな魅力だと感じました。また、スタジアムグルメを友人同士で分け合いながら観戦する姿に、韓国社会に根付く「情」の精神を垣間見ることができました。

釜山ロッテプロ野球観戦

結びに、本研修の実施に際し、多大なるご支援を賜りました福山大学、福山大学後援会、ならびに福山大学経済学部同窓会の皆様に、心より感謝申し上げます。 皆様から頂戴したご支援のおかげで、経済学科の学生たちはスポーツが国境や文化を越えて人と人とを繋ぐ強力なツールであることを、身をもって体験することができました。 ありがとうございました。
それでは、本研修に参加した学生からの感想を紹介し、報告の結びとさせていただきます。

・参加学生からのコメント

山本さん(1年生) 釜山テクノパークの靴ファッション振興団を訪問し、靴の製造工程や使用されている機械、工場を見学させていただきました。そこでは、韓国で有名で日本にも進出している「TUBLOCK」というメーカーの靴が製造されていました。また、靴やボールなどを接着する「HENKEL」という会社のお話も伺い、接着技術が多様な製品に使われていることを知りました。スニーカーが好きな私にとって非常に興味深い訪問で、いつか自分だけのオリジナルシューズを作ってみたいと思いました。

玉置さん(3年生) 今回の研修では、日本ではなかなか味わえない多くの食べ物に出会い、現地の食文化を間近で体験することができました。特に、活きたタコのサンナクチやカンジャンケジャンなど、本場の味を堪能できたことは良い経験になりました。写真やSNSで見るのと実際に食べるのとでは大違いで、自身の世界が少し広がったように感じます。また、韓国では出された料理を無理に完食しなくてもよいという考え方には、日本との文化の違いを感じ驚きました。

村井さん(2年生) 研修中に訪れた観光地の中で、特に印象に残っている二つの場所を紹介します。一つ目は「五六島(オリュクト)」です。5つの島に見えたり、6つの島に見えたりすることからその名が付き、岩の先端に張り出した展望台「五六島スカイウォーク」が有名です。当日は天候に恵まれずスカイウォークは歩けませんでしたが、空気がきれいでとても気持ちの良い場所でした。二つ目は「海雲台(ヘウンデ)」です。韓国で最も有名なビーチの一つで、写真スポットも多くありました。私たちは夜に訪れましたが、夜景も非常に美しく、貴重な思い出になりました。

桃谷さん(2年生) 私は韓国での野球観戦が特に心に残っています。日本と韓国とでは観戦スタイルに違いがあることを実感しました。まず、韓国では球場に入る際の手荷物検査がありませんでした。応援スタイルも異なり、自チームの攻撃中はチアリーダーが常に観客を盛り上げ、トランペットなどの楽器を使わず、音楽プレイヤーから音源を流していたのが特徴的でした。同じ野球というスポーツでも、国によって応援文化がこれほど違うのかと体感でき、非常に新鮮で貴重な体験となりました。

渡邉さん(3年生) 東義大学とのセミナーでは、普段の授業では学ばない内容を学ぶことができました。特に、基礎体力が低下すると疲れやすくなるだけでなく、生活習慣病のリスクも高まるというお話が印象に残り、日常的に運動を続ける大切さを実感しました。スクワットなどが効果的だと聞き、早速取り入れてみたいです。また、学生さんたちとのバレーボールでは、久しぶりに体を動かすことの楽しさを再認識でき、その後の昼食会も通じて交流を深めることができ、とても貴重な経験となりました。

三浦さん(3年生) 研修2日目の午前中は、釜山外国語大学の学生さんと「かるた・折り紙・けん玉」といった日本の伝統的な遊びで交流しました。私はかるたを担当しましたが、韓国の学生さんたちはすぐにルールを覚え、札を取ったり読み手をしたりと積極的に参加してくれました。日本語も非常に上手で、分からない言葉があると「これはどういう意味ですか?」と熱心に質問してくれた姿から、日本語への関心の高さが伝わりました。一緒にお昼をいただきながら、より一層仲を深めることができ、本当に参加してよかったと思いました。

 

学長から一言:今年度から始まった経済学科の、とくにスポーツマネジメントコースの学生を中心とする韓国でのスポーツ海外研修は大きな成果を上げることができたようです。引率の崔嵋汀助教が交流関係のある東義大学や釜山外国語大学と事前に十分に連絡をとり、しっかりとした研修プログラムができていたことに依るところが大きいのでしょう。参加した皆さんは、非日常の生活の中で、韓国の経済や文化、そしてスポーツマネジメントについての理解を深めたことがコメントから窺うことができます。