【海洋生物科学科】水族館をアツく解説する書籍を、泉講師が出版!

この度、海洋生物科学科泉貴人講師が、水族館のさまざまな活動を紹介する『水族館のひみつ-海洋生物学者が教える水族館のきらめき』を出版しました。

海洋生物科学科の学生の多数が水族館を志望し、実際に年間数人ずつ就職していきます。そんな学科の王道である水族館教育にも力を発揮するのが、人呼んで「水族館生物学者」である泉講師。以下はそんな、泉講師自身による紹介文です。(記事投稿は学科のFUKUDAI Magメンバーの山岸)

 


海洋生物科学科の泉でございます。
このたび、『水族館のひみつ-海洋生物学者が教える水族館のきらめき』という書籍を中公新書ラクレさんから上梓しましたゆえ、存分に紹介させて頂きましょう!

新書スタイルである『水族館のひみつ』は、5章構成。その内訳は…。

水族館とは何か。その答えがすべて、この本に詰まっている。

第1章:集める

水族館の生物は、どこから来るのか?スタッフの採集から水族館同士の物々交換まで、その多様な入手法を大公開!

第2章:選ぶ

展示されている生き物って、なんで状態が良いの?そして、なぜ全部の名前が分かるの?そのからくりも含めて、展示生物のセレクションを語る。

第3章:飼う

家庭用とは規模が違う、あの巨大な水槽の生き物はどうやって維持しているのか?水族館の水槽の構造から、生き物のシビアなエサ事情まで。

第4章:殖やす

水族館は唯一“生きた資料”を扱う博物館。その究極の営みである“繁殖”に焦点を当て、水族館の悲喜こもごもを語り上げる。

第5章:調査・研究する

筆者をはじめ、最近は水族館と研究する学者が増えている。水族館が、素晴らしき“学術施設”に回帰しているわけ。

この5章に、水族館の活動のすべてが詰まっているといっても過言ではありません(まあ、経営とかの部分は端折りましたが)。

そして各章末にコラムとして、泉が厳選した各地のおススメの水族館を紹介する水族館ガイドが付属しております。本当は50館以上紹介したかったのに、紙面の都合で泣く泣く絞り込んで残った22館の水族館の紹介を、是非堪能してください。

さらには、日本の水族館をほぼすべて網羅したリストまでついている、超豪華版なのだ!

『水族館のひみつ』表紙。まだまだ暑い今日この頃、表紙の涼しげなこの本は貴重。

水族館“を”仕事にする ~日本一水族館に詳しい門外漢~

折角なので、今回も自慢しておきましょうか。この泉、水族館業界にいたことは一時たりともありません。ではなぜそんな門外漢が、水族館の本を書いているのか?と。

答えは単純。水族館スタッフを除けば、この泉こそが日本一、水族館の知識を持っているから。全国の水族館に通い詰めること20年、訪問した水族館の数は160を超え、行ったことの無い水族館はほぼないという筋金入りのマニア。それでいて、各地の水族館と提携して様々な研究成果を挙げる、生物学者でもあります。今や、知り合いのいる水族館は全国に約40園館!下手の横好きも、ここまで来るともはや“業界人”です。

そんな泉だからこそ、特定の水族館とのしがらみに囚われず、いつもの自由な調子で水族館を解説することが出来ました。水族館にいるマブダチ(失礼)のスタッフの皆さんに取材を敢行し、かつ各地の園館にて自分の目で見た最新情報も加えて、世界のどこにもない水族館の秘密を惜しげもなく解説。

さらに、「イルカの飼育は是か非か?」「現代において、水族館は存在していい施設なのか?」などの、水族館スタッフが語りにくい情報まで、遠慮なく斬っています。

ただの水族館マニアが、水族館“を”仕事にするまでの、魂のサクセスストーリーです!

本書の販売用ポスター。福山大学の売店にも貼られているぞ。

豪華、オールカラー版新書~まさにDr.クラゲさんの展覧会~

さて、先ほどの表紙を見てお気づきになった方もいらっしゃるかな?そう、この本、新書なのになんと、オールカラーなのですよ!

この本は水族館の書籍らしく、多数の綺麗な生物写真がありますが、そのほぼ全て、この泉が撮影したもの。各地の水族館で腕を磨いた撮影の技術を存分に発揮し、写真集にも出来そうな写真を選りすぐりました。

さらにカラー版だけに、鮮やかな図版も多数収録。そんな図も、実はぜーんぶこの泉が描いているのです。何を隠そう、わたくし「絵の描ける生物学者」なので。そのため、各章の扉絵、解説のための図版、そして先述のおススメ水族館のアイコンまで、模式図以外の絵は全部、膨大な時間をかけて描き出しました!

難しいことを考えなくても、写真集や絵本としても楽しめる、そんな異色の新書が誕生したわけです。

扉絵の数々。絵を描き写真を選ぶの、大変だったが実に楽しかったなー。

学芸員資格、そして水族館教育の教科書へ

冒頭で山岸先生にご紹介いただいたとおり、海洋生物科学科には水族館志望の学生、また学芸員資格を取得する学生が大勢います。この学科の教員として本を書くなら、折角ならばそういう学生の力になりたいと思うのが、人の情じゃありませんか?

お任せあれ!この本は、水族館学や学芸員資格の教科書としても、存分に使える出来に仕上がっています。水族館を一つの「博物館施設」と捉え、その活動を実に多角的に解説しています。スタッフの活動や展示生物の行く末まで、全く遠慮なく解説しているわけだから、こんなに教科書にふさわしい本はないというわけ。

実際、インターネット上の読者からも「こういう事が知りたかった!」「水族館の展示を見た“後”に読みたい」といった感想が上がっており、水族館の真実を知る本として実に好評を博しております。

もちろん、私が担当する複数の科目において、来年から本書を教科書に指定します。学生の皆、せっかくの機会だから、購入して予習しておいてはどうかい?

著者(Dr.クラゲさん)と『水族館のひみつ』。昨年の『なぜテン』に続く2冊目です。

願わくば、水族館が好きなすべての方のお手元に届きますように。是非、本書の販売ページをチェックしてください!!
詳しくは、泉のYouTubeチャンネルでも本書の情報をまとめていますので、宜しければどうぞ!

 

学長から一言:北は北海道から南は沖縄まで、全国の水族館という水族館、実に160館以上を踏破したという泉貴人講師ならではの解説本は、よくぞここまで調べ上げましたと、つい賛辞を送りたくなる「秘密」に溢れ、読み応えがあります。加えて、自ら筆を執った面白おかしい挿絵にも癒やされます。さらに、自著の解説・宣伝をここまでやれるかと思うほどの本ブログ記事も、まさしく落研出身者の面目躍如たるもの。