【電気電子工学科】新入生オリエンテーションで酒蔵の街歩きと半導体製造工場の見学を行いました。

 工学部電気電子工学科ブログスタッフの伍賀です。電気電子工学科では、新一年生対象のオリエンテーションとして地元企業への工場見学を実施しています(2023年)。今年度は、広島県内の半導体製造企業への見学ツアーを行いました。この報告が、学科長の香川教授から届いています。(投稿は伍賀です。)

 


4月8日、工学部電気電子工学科の新入生と工学研究科修士課程電子・電気工学専攻の大学院新入生で、東広島市へ学外ツアーに出かけました。主な目的は、半導体メモリ製造企業であるマイクロンメモリ ジャパン株式会社の見学です。

マイクロンメモリ ジャパン株式会社は、NEC日立メモリ、エルピーダメモリ株式会社を経て、2013年に、アメリカに本社を置くMicron Technology, Inc.の日本法人として設立されました。半導体メモリの設計、開発、製造を行い、特にデータストレージやモバイルメモリで高い技術を有し、東広島市には最高水準の製造拠点を構えています。

朝9時、バスで大学を出発した私たちは、まず親睦を深めるため、東広島市西条酒蔵通りの散策へ向かいました。酒蔵のある古い街なみを歩き、前日までの履修作業の緊張感から離れて、のんびりとしたひとときを過ごしました。散策後は中央公園でお弁当を食べ、のどかな空間で新入生同士の縁を深めました。

酒蔵巡りのひとこま

昼食の団欒

その後、バスでマイクロン広島工場に向け出発。賑やかな街並みから離れ、周囲はだんだん田舎の景色に変わり、その中に突然、巨大な建造物群が現れました。13時、マイクロン社屋に到着。社員の方々3名が出迎えてくださり、そのご案内で厳重な手荷物検査を受けたのち、いよいよ建物の内部へ。

建屋の中を実際に歩いてみると、様々なユニフォームを着た人々が行きかい、外国人スタッフも多く、ちょっと異国の雰囲気が漂っていました。工場内には複数の建物がある中、今回案内していただいた社屋は4階構造で、3階には広大なクリーンルーム、1階と2階には、半導体製造を支えるための水、電気、ガス、薬品等の補給設備が完備されています。こうした施設を24時間体制で保守、保全するために、工場内には数千名の技術者が居るというのですから、一つの街と呼べるでしょう。

はじめに会議室にて、Directorの秋山裕明 様から、日本の半導体産業の歴史に絡めたマイクロンメモリ ジャパン株式会社の概要説明を受けました。その中で、半導体産業とは全ての学問領域から成り立っていること、ますます省エネ、高速化のための微細化技術が必要となり、そのための高精度な周辺技術の発展が必須であること、そして、それを支える人材が必要なこと等の示唆に富むお話をいただきました。

その後、2班に分かれてクリーンルームの見学に移りました。広大なクリーンルームの内部では、数千工程にも及ぶ製造プロセスを担う装置群の間を、クリーンルームの天井に縦横に張り巡らされたレールを滑るように走る多くの搬送ロボットが製品を迅速に運搬していました。その様子は嘗てのSF映画で見たモノレールが行き交う未来都市そのものでした。

いずれの班でも、学生からは活発な質問が出ていました。見学後に4階にある見晴らしの良い食堂でアンケート記入。ちらっと見ると、どのアンケート用紙もびっしり記入されており、案内してくださった社員の方も大変喜ばれていました。参加者がアンケートにどのようなことを記載したのかはわかりませんが、翌日、改めて見学の感想を募ったところ、次のような記載が寄せられました。

「大手企業の見学に参加するのは初めて、その環境に驚きました。全自動でクリーン化された工場を見ました。オフィスの雰囲気もとても良かったです。基礎知識の習得と各分野の連携が重要であること知りました。」

「今回の工場見学では、直近の半導体市場の様子と生産工場の仕組みについて学習することができた。以前より、マイクロンのクリーンルームには関心があったので、詳しく見聞きすることができて大変学びになった。」

「マイクロン メモリ ジャパン株式会社を見学してみて、私は初め製品を製造している現場は、たくさんの人が居て機械と人が製品を製造していると想像していた所、実際はほとんど機械が製造しており、コスト削減や製造効率向上などの工夫がされていて、驚きました。」

「これからどんどん難しくなりそうですが、すごく興味があります。プログラミングでロボットを動かすのは、やりがいがありそうです。」

「昨日、マイクロン半導体工場の見学を通して、ハイテクによって私たちの生活はより便利になり、技術は日々進歩していることを実感しました。」

「昨日の訪問で多くのことを学びました。最先端の工場の運営方法についてより深く理解できたほか、半導体関連の現在の産業やアプリケーションについても学びました。例えば、私たちの生活のどのような部分に半導体が使われているのか、そして現在、その業界をリードする企業や優れた日本企業はどこなのか。これにより、将来のキャリアとそれに関連する計画をより明確に理解できるようになりました。この度はご来訪いただき大変光栄に存じます。」

貴重なお話をしてくださった秋山裕明 様(前列右端)を交えて記念撮影

やはり、とても良い学びになったようです。福山大学は、中国半導体協議会に加盟しており、中国地域の半導体関連企業、大学との連携を深めていこうとしています。この度の見学もこのご縁がバックアップしてくださいました。この経験をきっかけに、新入生も在学生も福山大学内だけに留まらない幅広い学びをして欲しいと思います。

さて、4月9日のロボットプログラミング実習を以て、電気電子工学科の学科別新入生オリエンテーションは終了しました。最後に、オリエンテーション全体の感想をいくつか紹介して、本稿を締めたいと思います。

「今回のオリエンテーションでは、福山大学の学生として知っておかなければならない情報を沢山得ることができ、これからの学生生活の方針を定めることができました。履修登録についても大変懇切丁寧に教えて頂けたおかげで、自身が望む学習予定を無事計画できそうです。ありがとうございました。」

「初めての大学生活ということでわからないことばかりで緊張と不安な気持ちで入学しました。周りを見ても知らない人ばかりで仲良くなれるか怖かったのですが、今回のオリエンテーションを通してみんなと仲良くなれたような気がします。大変でしたがいい思い出になりました。」

「1限から5限の時間を体験できて慣れることができたと思う。企業見学やプログラミングの実習でもこれからの意欲や活力を持つことができ、疑問に思ったことは説明できるようにすること、物事を客観的に見られるように、ロジカルな思考を持てるようになりたい。クラス内でも親睦も深めながらこれからの大学生活を大切に過ごしたいと考えられる期間だったと思います。」

チームに分かれてのロボットプログラミング実習体験。すっかり打ち解けました。

この経験をきっかけとして、有意義な4年間を送られることを心から願っています。

 

学長から一言:電気電子工学科と大学院工学研究科修士課程電子・電気工学専攻の新入生を対象とするオリエンテーションの一環として実施された半導体製造企業への見学ツアーは、参加者にとって相当に刺激的だったようです。これからの学びの中で必須となるであろう半導体について、その生産の最前線に触れられたのは大変な経験でしょう。ご協力くださったマイクロンメモリ ジャパン株式会社の皆様に私からも御礼を申し上げます。