【国際経済学科】福山市の通訳さんを訪問しました

福山市には65ヶ国、約1万3千人の外国人が暮らしています。母国と異なる慣れない生活環境で暮らす外国の人たちにとって、通訳サービスや日本語教室は心強い存在です。今回佐野ゼミメンバーが市役所の通訳さんを訪問しました。佐野講師からのレポートを国際経済学科のFUKUDAI Mag委員の足立がお伝えします。

 


福山市には多くの外国人が住んでいることから、福山市役所には通訳が配置されています。以前訪れた松永支所には、ポルトガル語、スペイン語の通訳の方がいらっしゃいました。そして、福山市役所本庁には、中国語とベトナム語の通訳の方が働いています。

今年の佐野ゼミには、ベトナムの留学生と中国の留学生がいるため、ゼミの活動の一環として福山の共生社会をリサーチしています。そこで今回、福山市役所本庁にお勤めの中国語の通訳のHOSOYAさん、ベトナム語の通訳のヒュウさんを訪ねた様子を紹介いたします。

まず、ベトナム語担当のヒュウさんは、福山市役所で働いて約5年になります。以前、福山市に1年間留学したことがあるそうです。着任当初は、コロナ禍だったため、多くの外国出身の方が困っている状況でした。役所での手続きは日本人でも戸惑うことはありますので、スムーズに進めるためにも重要な役割だったと感じました。

中国語担当のHOSOYAさんは、1990年代に福山市も中国残留孤児・中国残留婦人の対応が求められ、加えて中国からの留学生も増えてきた時期に通訳として働き始めました。役所での手続きのサポートだけではなく、生活全般にわたる相談や仕事上のトラブルに関する相談など、仕事内容はかなり多岐にわたる様子でした。また、中国残留孤児で日本に帰国した世代はすでに高齢となっていて、その子孫はすでに5世まで拡がっています。幼いころから中国語で生活した年月が長いこともあり、高齢になると中国語によるサポートが必要なケースもあるそうです。私自身も報道や書籍からなんとなく知っていても、具体的な状況を聞くとはっと気づかされた思いがしました。

参加した3年生のゼミ生は、就職活動を控えていることもあり、仕事としての通訳についても話題が及びました。単に語学が堪能であるだけではなく、その職場の専門的な知識も要求されるとのことでした。例えば、医療にかかわる通訳ですと、それを説明する適切な専門用語も必要になってきますし、警察に関わる通訳ですと通訳の仕方がその後の捜査に影響を与えてしまうかもしれません。その他に、就職活動で苦労する留学生は多いとの話も伝えられました。そういった相談も受け付けているそうです。難しい話題になると、ベトナム語や中国語が飛び交う場面もあり多国籍な賑わいとなりました。

以下に、参加したゼミ生の感想を載せて本レポートを終わりたいと思います。快く対応いただいた福山市役所ならびに通訳のみなさんに感謝申し上げます。

ベトナム留学生Aさん

市役所の通訳さんのお話を聞いて、福山市には多くの外国人が暮らしていることを知りました。その中で、外国人が手続きや生活の中でさまざまな困難を感じていることも分かりました。特に、医療の専門用語などは通訳するのがとても難しいと聞いて、通訳さんの大変さを実感しました。どんな状況でも正しく伝えようとする姿勢から、通訳の仕事の重さと責任を感じました。今回のお話を通して、通訳さんの努力と市役所からの支援のおかげで多くの外国人が安心して生活できているのだと思いました。

日本人学生Oくん

通訳の方のお話を聞いてまずは、外国の方々の役所での手続きだけでなく、日常生活におけるサポートも行っていると聞いて驚きました。福山市にも日本語を学ぶ学校があることは知っていましたが、日本語教室という学校とはまた違う団体があることを初めて知りました。まだまだ外国人にとっては不便に思うこともあると思いますが、そういったサポートは少しずつ充実してきているのかなと感じました。

 

学長から一言:国際経済学科の佐野講師のゼミでは学びの一環として、市役所で勤務の中国語とベトナム語通訳の皆さんを訪問。医療関係の専門用語の理解など、今まで知らなかった通訳の大変さを認識できたようです。ご自身の経験を通じて、おそらく外国人の日本語理解の上での困難さが身に染みていらっしゃる通訳担当者は、きっとその分だけ外国人相談者に親切なことでしょう。