【国際経済学科】2025年の夏、韓国研修に行ってきました!

부탁드립니다(チャル プタク トゥリムニダ 訳:宜しくお願いします)。今年度で第三回目を迎えた経済学部の韓国・釜山研修は9月7日から9月14日までの7泊8日間で実施し、計6人の学生が参加しました。引率した国際経済学科の呉青姫が、その内容を写真とともに以下お伝えします。 

 

今回の研修において、福山大学、福山大学後援会、福山大学経済学部同窓会から学生達への温かいサポートを受け取りました。特に円安の影響で研修の経費が高騰する中、この支援は学生達にとって大きな助けとなりました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。 

お陰様で研修に参加した学生達は、韓国の文化や産業に思う存分触れてみることができ、多くの体験を楽しむことができました。今回の研修は主に企業見学、交流活動、文化体験、市場調査、ボランティア活動、市内観光、共同生活体験の七つの内容に大別できます。

 【釜山・金海空港にて】 

 1.企業見学 

今回の企業訪問は、参加学生の希望を尊重して訪問先を選定しました。ゲームが好きな学生から「韓国のゲーム会社を訪れたい」という強い要望があったこと、また、将来自動車関連の職業に就きたい学生がいたことから、モバイルゲーム企業と自動車メーカーを選定することになりました。その結果、一社目は韓国を代表するグローバル自動車メーカーである現代自動車蔚山工場、二社目は人気ゲームアプリ「LINE ポコポコ」を手がける新興企業 TREENODを訪問しました。さらに、経済学科の崔助教主導による靴融合ハブセンターの訪問にも参加させて頂き、TUBLOCK社とHENKEL釜山工場を見学しました(後者二社については崔助教が執筆される経済学科ブログに詳しい報告が掲載される予定です)。 

第一社目は、社内解説者の方が展示場と工場に同伴され、現代自動車の過去から現在、そして未来に至るまでの歩みを詳しく説明して下さいました。蔚山工場は1968年に稼働を開始した現代自動車の最初の大規模工場であり、現代グループの発祥地として知られています。見学では、まず展示場において現代自動車の設立の歴史と変遷について解説を受けました。現代自動車は1967年に鄭周永創設者によって設立され、当初はフォードや三菱と提携してライセンス生産を行う下請け的な役割から始まりました。1975年には韓国初の国産乗用Ponyが誕生しましたが、デザインはイタリアのジウジアーロによるもので、エンジンや主要技術は三菱から供給され、外国技術への依存度が高かったとのことでした。その後、1985年にはExcel(海外名:Pony Excel)が現代自動車にとって初の本格的な輸出車種となり、特にアメリカ市場で大きな成功を収めました。さらに1980年代後半から1990年代にかけて、ソナタやアバンテ(海外名:Elantra)といった自社モデルが次々と登場し、韓国の需要に適した本格的な国産車づくりが進められました。また、技術者を積極的に海外へ派遣し、先進国の自動車技術や生産管理のノウハウを学ばせることで、国際的な技術交流を通じて独自のブランドを確立したこと等多くを学ぶことができました。 

蔚山工場は現代自動車グループの中で最も多様な車種を生産するフラッグシップ工場であり、同じ敷地内にある五つの工場では、乗用車、SUV、商用車に加えて、電気自動車や水素燃料電池車(FCEV)といった先進的な車種も生産されていました。私達はその中の第三工場を見学し、国内と輸出向けの完成車が出荷前テストに回される直前の組立ラインの様子を間近で見ることができました。ラインでは機械化された装置と人的作業が巧みに組み合わされ、効率的かつ正確に工程が進められていました。車種やブランドが異なる車両が同じラインを流れていても、それぞれに対応した部品と組立指示表が用意されており、作業員の皆さんはそれを確認しながら決められた時間内に確実に組み立てを行っていました。こうして完成した車両は出荷前のテストに送り出され、品質を保証する最終段階へと進んでいきます。また、工場のすぐそばには専用の蔚山港が整備されており、完成車を直接船積みできる体制が整っていました。優秀な運転技術を持つドライバー約200名が毎日数千台規模の車両を効率的に船へ積み込んでいるとのことでした。蔚山工場は、創業の歴史と現在の最先端技術、そして未来の挑戦を結びつける場であり、訪問を通じてその意義の大きさを強く実感しました。 

【企業見学:蔚山・現代自動車の展示場にて 1968年に生産したCortina 

第二社目のTREENOD(2011年6月設立)では、会社紹介とオフィスツアーに続いて、クリエイターおよび実務担当者との面談の機会を頂きました。事前打ち合わせ時にこちらから送付した質問を送ったことに対して、当日の面談では人事担当のJin氏、ゲーム開発責任者のKim氏、プログラムマネージャーのJulia氏が丁寧に答えてくださいました。面談を通じて学生たちは、TREENODの「ポコパァン」シリーズが日本や東南アジア市場で成功し、グローバル展開の起点となった経緯を理解することができました。TREENODでは過去の成功と同時に、ヒット作に続く後続タイトル開発の難しさや海外市場で思うように成果を得られなかった経験について率直に語られました。そのうえで現在は、比較的安定した消費行動を示す中年女性層を新たなターゲットとして開拓し、ゲームの企画・開発に力を入れているとの説明がありました。特定層に的を絞ることで継続的なユーザー基盤を確保し、売上の安定化を図る狙いがあるとのことです。セールス面においては、すでに取引関係を持つパートナー企業とのネットワークを基盤に、広告やプロモーションを通じてさらに関係を広げていく戦略が取られていました。こうした販売チャネルの維持・拡張は、ゲーム市場の競争が激しい中で企業存続に直結する重要な活動であることが強調されました。 

また、TREENODは本社を釜山に構えており、地域に根差した経営を行っていることも紹介されました。これに関連して、ソウルから社員が釜山の本社に出張する場合には宿泊先を提供する仕組みがあるとの説明があり、社員が安心して移動・勤務できる環境づくりにも配慮されていることが印象的でした。社内ツアー時に社内環境の整備についての具体的な取り組みが紹介されました。社員が快適に過ごせるよう、朝食の無料提供や社内レストランに図書自動レンタル機械を設置するなどユニークな仕組みを導入していました。また、自社で開発したキャラクターをグッズ化し社員に配布することで、愛社心を育む工夫も凝らされていました。これらの取り組みは、単に福利厚生にとどまらず、各社員が企業文化に誇りを持ちながら働ける環境づくりの一環と理解できました。したがって、創業当初わずか3人で運営を開始した企業ながら、設立後15年足らずの現在では約250人の従業員を抱える規模へと成長しており、少人数から始まったベンチャーが国際的に知られるゲーム会社へと発展してきた軌跡は、学生たちにとって起業や組織成長の可能性を考える上で大きな示唆となりました。最後に、TREENOD社で特に強調されたのは、消費者が購入して値打ちを感じられる商品づくりということでした。ユーザーの期待に応える品質を守るだけでなく、ゲームを単なる遊び心に止まらず、ストーリーを通じて人生の悟りや満足感を提供することが、企業の長期的な信頼につながるとの姿勢が示されました。 

参加者一同は、自身の関心分野に直結する実務者の声を直接聞ける貴重な体験をしたことで、ゲーム開発における市場ニーズ分析の重要性、セールス戦略や販路確保の工夫、海外市場開拓の難しさ、さらには社内でのチームワーク醸成や愛社心を高める取り組みについても学ぶことができました。それより、学生たちにとってゲームは単なる娯楽を越えた産業としての価値を有することを理解するうえで良き学びとなりました。 

 【企業見学:Treenodの応接フロアにて 面談担当者達との記念ショット】 

 2. 交流活動

 今回の韓国研修の目玉の一つである交流活動は、①釜山外国語大学の学生たちと共に釜山靴博物館および蔚山現代自動車工場を見学したこと、②釜山最大の日韓交流ネットワークである「そこそこグループ」において日本語を教えるボランティア活動を通じて交流したこと、③釜山外国語大学の日本語クラスを訪問して交流を深めたこと、の三点に大別されます。 

釜山靴博物館と蔚山現代自動車工場の見学は、午前から午後にかけての一日がかりの活動でしたが、その間、釜山外国語大学の学生たちが終始同行してくれました。当日の活動を円滑に進めるため、福山大学のチームは早朝から手作りの創作サンドイッチを準備しました(左写真)。材料を切り分けたり味付けを工夫したりする過程で参加者同士が自然に役割分担し、和やかな雰囲気が生まれました。自分たちで作った昼食を現地の学生と分かち合うことで交流の距離が一気に縮まり、共に活動する仲間意識が芽生えたことは大きな成果でした。 

また、長時間の移動に伴い狭い車内で過ごすことになりましたが、むしろその空間が学生にとって貴重な交流の場となりました(右写真)。車中では日韓双方の学生が互いの学生生活や専攻分野、将来の進路について活発に意見を交わし、ときには冗談や身近な話題で盛り上がる場面も見られました。学問や社会問題への関心から日常の価値観に至るまで幅広いディスカッションが繰り広げられ、互いの考えを尊重しながら議論する姿は非常に印象的でした。 

このように、食事の準備から移動時間に至るまで、一日のあらゆる場面が国際交流と学びの機会に転じたことは、今回の研修の大きな特色といえます。単なる施設見学にとどまらず、協働を通じた友情と相互理解の深化が実感されました。 

 【交流活動:早朝からおもてなし創作ランチ作り(左)、車内交流(右)】 

 

今年も昨年に続き、釜山韓日交流ネットワーク「そこそこ」の皆さんとの交流活動を行いました。今回は時間の都合もあり、形式的な授業やワークショップを設けるのではなく、韓国の学生たちと晩御飯を共にしながら交流を深めるスタイルとなりました。代表的韓国料理のサムギョプサルを囲んだテーブルは、言語を超えて人と人とがつながる絶好の場となりました。福山大学の学生たちは、相手に伝わりやすい表現を選ぶことを心掛けて会話を進めました。一方で、韓国の学生たちからは韓国の若者文化にまつわる話題が飛び出し、互いに笑い合いながら生きた日本語のやり取りを経験しました。また、食事の場で交わされる会話は日常生活や趣味に関する話題が多く、学生同士がより気軽に自己紹介をしたり、お互いの大学生活や将来の夢について語り合うきっかけとなりました。こうしたやり取りを通じて、単に日本語・韓国語の技能を高めるだけでなく、相手の考え方や価値観に直接触れることができ、まさに文化を味わう交流となったといえます。昨年に引き続き継続されたこの取り組みは、学生にとって国際交流の継続性を実感させ、友情や信頼関係を積み重ねる大切な機会ともなりました。食事をともにするという一見ささやかな活動の中に、異文化理解や言語教育の意義が大きく詰まっていたことを、参加者全員が実感しました。 

 【交流活動:サムギョプサルを囲んでの「そこそこ」との交流 

 釜山外国語大学では、ユン教授の日本語クラスに参加し、崔助教のグループの学生とコラボして6つのグループに分かれて交流をしました。日本から準備していったけん玉のほか、カルタ取り、折り紙、しりとりゲームで交流を計りました。経済学部の6人は主に折鶴としりとりゲームを担当し、日本の伝統文化や言葉遊びを紹介しました。折鶴のグループでは、日本の学生が一つひとつの折り目を丁寧に示しながら、韓国の学生に折り紙の手順を説明しました。最初は戸惑いの声もありましたが、手を動かすうちに少しずつ形になり、羽を広げた瞬間には歓声が上がりました。一方のしりとりゲームでは、日本の学生がルールを説明し、韓国の学生は積極的に日本語の単語を思い出しながら参加しました。日本語を学んでいる学生にとっては語彙力を試す機会となり、日本人学生にとっては相手が理解しやすいスピードで配慮して話す工夫を学ぶ場となりました。ゲームの合間には互いに質問し合う場面もあり、言語を媒介にした双方向的な学びが自然に生まれていました。シンプルな活動ではありましたが、そこに込められた工夫や笑顔は、両国の学生をつなぐ大きな力となりました。 

 【交流活動:釜山外国語大学の学生と日本の遊びを通じた交流 

 3.文化体験 

 今回の文化体験は、①釜山靴博物館で韓国の伝統靴を試着し、その履き心地や当時の生活文化を体感したこと、②釜山博物館にて宮中王服や官僚の普段着など韓国伝統衣装の着付けを行い、その文化的意味を学んだこと、③ロッテジャイアンツの本拠地である社稷野球場において、ハンファ対ロッテの試合を観戦したこと、の三点に大別されます。 

まず釜山靴博物館では、釜山が韓国靴産業の発祥地として発展してきた歴史を学びました。現在でも韓国の靴生産の50%以上が釜山で行われており、日本の神戸に例えられる「靴の街」としての役割を果たしていることを知りました。展示場には韓国における靴の歴史的変遷が紹介されており、靴が生活文化と密接に結びついてきた重要性を理解することができました。新郎新婦靴や晴雨両用靴など、デザインや機能性を兼ね備えたユニークな商品についての解説もあり、靴が単なる生活必需品ではなく、ファッションや文化的シンボルとしての意味を担ってきたことを実感しました。さらに、有名人が使用した靴や世界各国の特色ある靴も展示され、幅広い視点から靴文化を知ることができました。特に、来館者が藁靴やゴム靴を実際に試着できる体験コーナーは印象的であり、学生たちは身体を通じて当時の人々の暮らしを学ぶ貴重な経験となりました。こうした体験型の学習は、教室内の学びでは得られないリアルな気づきを与えてくれました。また、最新のカスタマイズ技術や素材開発に関する展示を通じ、伝統と革新が共存する釜山の靴産業の歩みを五感で感じ取ることができました。今回の見学を通じて、釜山が単なる工業都市ではなく、伝統と未来を繋ぐ「靴文化の拠点」であることを理解し、地域文化の奥深さに触れる貴重な機会となりました。 

【文化体験:釜山靴博物館にて韓国靴産業に関する解説を聴講】 

 釜山博物館の見学では、学芸員の丁寧な解説を受けながら展示を巡り、韓国社会における伝統衣装の歴史的背景について理解を深めることができました。王族や官僚の衣装は、単なる装飾にとどまらず、その色彩や文様、素材によって日常生活や朝廷における身分や地位を象徴する重要な文化的役割を担っていたことを学びました。実際に宮中王服や官僚の日常服を着付け体験で衣装を身にまとうことで、その重みや質感、動きにくさなどを知ることができ、書物や写真から得る知識以上のリアリティを感じました。参加者たちは視覚的な展示に加えて、王様の威厳を象徴する華やかな衣装や官僚たちが実際に着用していた日常服を通じて、歴史的事実がより身近に迫り、文化理解が一層深まりました。 

文化体験:韓国伝統衣装の宮中王服と官僚の普段着でポーズ! 

 釜山にある社稷野球場は、ロッテジャイアンツの本拠地として知られる韓国屈指のスタジアムであります。私たちが訪れた日は平日であったにもかかわらず、スタンドには大勢の観客が詰めかけており、地域社会におけるプロ野球の人気と熱気を肌で感じることができました。私たちはハンファの応援席側に座りましたが、試合はハンファが13対0で優勢に進み、大田から釜山まで駆けつけたハンファ応援団の掛け声や歌、リズムに合わせて、観客全体が立ち上がり一体となって応援を続けることになりました。応援団のリードに合わせて観客が歌い、踊り、リズムを刻む様子は、スタジアム全体を包み込む圧倒的な熱気を生み出しました。観戦後、参加者たちは韓国と日本の野球文化の違いについて活発に意見を交わしました。甲子園球場と比べると規模では劣りますが、応援の熱量では決して引けを取らないとの感想もあり、スポーツが地域社会に果たす役割や人々の情熱を体感できたことは大きな学びとなりました。今回の観戦は、スポーツを通じて異文化を理解する一端を深める貴重な機会となりました。 

文化体験:ロッテ本拠地—釜山社稷野球場(ハンファ vs. ロッテ) 

 4.市場調査 

 今回の市場調査は、釜山の中心部・中区南浦洞を訪れ、歴史ある国際市場・ブピョンカントン市場、そして釜山国際映画祭の舞台となるBIFF広場を巡り、それぞれの地域が担う経済的・文化的役割を観察することを目的としました。釜山の代表的な市場である国際市場とブピョンカントン市場を訪れました。国際市場は戦後の混乱期に露天商から発展し、現在も衣料品から雑貨、食品まで多様な商品が並ぶ活気あふれる市場です。一方、ブピョンカントン市場は「夜市」としても有名で、観光客と地元の人々が交わる庶民的な雰囲気を感じられる場でした。学生たちはそれぞれの市場で売られている商品の違いや価格帯、呼び込みの方法などを観察し、韓国における流通形態や観光と地域経済の関係について理解を深めました。BIFF広場は釜山国際映画祭の会場として知られ、韓国映画の発展を象徴する場所です。広場には世界の著名な映画人の手形やサインが刻まれており、日本からはビートたけし氏の手形も見ることができます。学生たちは映画祭を通じて釜山が国際的な文化都市として発展してきた背景に触れるとともに、日本人映画監督の足跡を現地で確認することで、国際文化交流の重要性を実感しました。この市場調査を通じて学生たちは、日常生活に根ざした市場文化と、映画祭を中心とする国際的な文化の発信という、釜山の多面的な姿を学ぶことができました。経済と文化の両面から釜山を理解する経験は、異文化比較や地域経済研究にとって大きな学びとなりました。 

 【市場調査:国際市場とカントン市場、ビートたけし手形とサイン】 

 5.ボランティア活動(義人イ・スヒョンさんのお墓参り) 

今年も昨年に続いて、朝早くから釜山市立公園(霊園)にある義人イ・スヒョンさんのお墓参りをしました。義人イ・スヒョンさんは2000年に日本語学校に留学をしていましたが、2001年1月26日の19時15分頃に、東京の新大久保駅にて線路に落ちた日本人男性を救うため、自らの身の危険をも顧みずに線路に降り、その命を落としました。2001年4月9日に釜山広域市教育庁がその勇敢な行為を称えて、追悼事業の一環として釜山市立公園に安置しました。韓国では多くの人がその勇敢な行動を熟知している人物です。福山大の学生達は、白菊の花束を捧げ、全員で手を合わせて黙祷をしました。イ・スヒョンさんは前世では人のために自分の命を捧げた徳を積んだ義人であるので、安らかに眠って頂けることを全員一同静かにお祈りしました。このようなボランティア活動は、義人の精神を尊重し、彼の行動に対する深い感謝の意を示すとともに、自己犠牲や人道的な精神について深く考える時間となり、同活動から得た経験や感動が国際的な絆の強化となって、将来の国際的な交流や協力の基盤となることに違いありません。 

ボランティア活動:義人イ・スヒョンさんのお墓参り】 

 6. 市内観光

 釜山の魅力を感じるため、三か所の観光地を巡りました。一つは海に建てられた東海龍宮寺で、もう一つは五六島でした。まず訪れたのは、海にせり出すように建てられた珍しい寺院、東海龍宮寺です。釜山の東端、海雲台区の海岸沿いに位置し、波打ち際に佇む伽藍は「海の龍宮にある寺」として知られています。入口に自分の干支の守護仏を拝めるよう、十二支の像が立っていて、本堂に至る参道は竜が海から山へと登っていくような曲線的な配置になっていました。研修参加者は海と寺院が一体となった独特の景観で、日本ではなかなか見られない立地の特異性に感銘を受けました。 

次に訪れたのは、釜山の南東端に位置する五六島です。潮の満ち引きや角度によって島の数が「五つ」にも「六つ」にも見えることからその名がつき、釜山を代表する景勝地となっています。展望台から広がる海と奇岩の景観を眺めながら、自然の景色がその地域を特徴づけ、観光に活かされていることを実感しました。 

さらに、私たちは海雲台に宿泊していたため、毎晩海辺に足を運びました。海雲台を宿泊地に選んだのは、外国人観光客が多く訪れ、若者が集う街であるため、国際的な交流の機会が得られると考えたからです。実際、参加者の中には、海辺で観光客から写真を撮ってほしいと頼まれ、ワンプッシュボランティアに応じながら、自然な形で英会話を実践したりもしました。こうした偶発的な出会いを通じて、実践的な語学練習や異文化交流を体験することができました。また、同世代の若者たちと会話する中で文化的感覚や価値観に触れることができたことも、大きな学びとなりました。夜の砂浜には観光客が集まり、歌や音楽のパフォーマンスが繰り広げられ、その雰囲気を楽しむことができました。こうした体験を通じて、参加者たちは自然・観光・国際交流といった多様な側面に触れるとともに、地域文化とグローバルな人の往来が交差する釜山・海雲台の魅力を体感しました。 

自由行動の時間には、橋本理玖リーダーの引率のもとで、釜山の魅力的な観光スポットを満喫しました。シーライフ釜山アクアリウム水族館ではサメや鯨、エイが迫力ある姿で登場するVR映像を日本語訳付きで体験し、海中を探検しているかのような臨場感を味わいました。また、BUSAN X the SKYでは世界一高いスタバで眼下に広がる釜山の街並みや海を眺めながらコーヒーを楽しみ、非日常的な一時を過ごしました。ブルーラインパークではカラフルなスカイカプセルに乗車し、海岸線に沿って移り変わる絶景で仲間同士で写真を撮り合いながら思い出に残る時間を共有しました。 

市内観光(海東龍宮寺・五六島・海雲台ビーチ)】 

 【自由行動で釜山の魅力を体感】 

 7. 共同生活(シェアハウスにて)

今回の韓国研修では、参加者全員が広々としたシェアハウスで共同生活を送りました。設備の整ったキッチンや広いリビングルームを活用し、日々の生活を共にする中で、韓国の文化や習慣を体験的に理解する貴重な機会となりました。スーパーで一緒に購入した食材で夕食用に皆で料理を作り、食卓を囲みながら団欒を楽しむ時もあり、料理そのものが一つの交流の場となりました。食後はリビングに集まり、ゲームをしたり夜遅くまで話し込んだりして、互いの距離が一層近づきました。また、シェアハウスだからこそ一緒に韓国の大学生との交流のためのサンドイッチ作りも可能となり、一日の活動を支える実践的な生活力を培いました。こうした経験を通じて、学生たちは単なる宿泊だけではなく仲間と暮らす時間を過ごし、協力や助け合いの大切さを自然に学ぶことができました。 

 【共同生活(食事とゲームで深まる交流)】 

 8.参加者の感想 

経済学部経済学科2年生 武田光介 

今回の韓国研修は、私にとって大きな成長のきっかけとなった7泊8日間でした。出発前は、初めての海外ということもあり、言語の壁や日本との生活環境の違いに強い不安を感じていました。ところが、実際に現地へ行ってみると、その不安は次第に和らいでいきました。現地の学生や人々は日本語がとても上手で、私がうまく表現できないときにも、一生懸命理解しようと努めてくれました。時には身振り手振りやイメージを用いて伝えてくれることもあり、言語を超えたコミュニケーションの大切さを実感しました。その中で、自分自身の語学力の未熟さを痛感すると同時に、異文化に触れることでしか得られない新しい気づきを得ることができました。また、食文化や生活習慣に直接触れることで、日本との違いに驚くことも多くありましたが、その一つ一つが新鮮で楽しく、異文化を受け入れる柔軟さを学ぶ機会となりました。加えて、多くの人々との出会いは、かけがえのない思い出であり、私の視野を大きく広げてくれました。この韓国研修を通じて得た経験は、語学の習得や異文化理解に止まらず、自分自身の成長を実感できる貴重な財産となりました。最後に、このような機会を与えてくださった後援会、経済学部同窓会、そして大学関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 

 経済学部国際経済学科1年生 細川翔太 

今回の韓国研修では、異なる文化や価値観に触れる貴重な体験をすることができました。私は、現地の人々や学生との交流を通して、韓国ではBMTIが重視されていることなどの韓国の文化についての理解を深めることができました。また韓国人は高い語学力を持つ方が多いと感じ、自分自身の語学力の向上の必要性を感じました。私は日本と韓国の観光地の違いを調査し、韓国の観光地にはVR体験や数多くのフォトゾーンなどエンターテインメント性が高いことがわかりました。また海東龍宮寺が海岸の断崖に建てられており、日本ではあまり見られない立地で面白いと感じました。この研修に参加したことで通常の旅行では得られない貴重な体験をすることができました。研修を支えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。

 

学長から一言:今回で三回目を迎えた国際経済学科の韓国・釜山研修は大成功。綿密な計画もさることながら、交流協定校の釜山外国語大学の皆様ほか、受入れに関わられたすべての皆様のお蔭です。引率の呉青姫講師による実に詳細な報告を通じて、1週間あまりの限られた期間の中で、最初から最後まで非常に充実した研修であったことが伝わってきます。言葉も含めて隣国の韓国のことをより深く理解し、専門の経済学の学びにも大いに役立つ良い機会となったことでしょう。