【経済学部】土曜の午後、高校生が「教科書の一歩先」に踏み込んだ3日間

経済学部では夏休み期間中、地域の高校生を対象に経済学・経営学の面白さを伝えるイベントを開催し、身近な疑問を通じて学問の楽しさを体感していただけるプログラムを実施いたしました。本記事では、当日の様子を経済学科の田中征史准教授がお伝えいたします。(投稿:経済学科FUKUDAI Magメンバー・CHOI)
「あなたが100億円持っていたら、どうしますか?」問いかけから始まった初日
7月の土曜日、午後3時。部活か、家で勉強するか、友だちと遊びに行くか——そんな時間帯にもかかわらず、JR福山駅前の福山大学社会連携推進センターには、高校生が次々と入ってきました。経済学部が今年度から始めた「高校生向け経済学・経営学講座(夏期)」の初日です。
この講座の狙いは、とてもシンプルです。「経済学」「経営学」と言われても、高校生にはいまひとつピンとこない。だったら、その分野を専門にしている教員が、面白さを直接伝えればいい。それだけです。
ですので、オープンキャンパスの模擬講義とは別物です。大学の宣伝はしません。学部や学科の説明もしません。他大学志望者も大歓迎です。持って帰ってもらうのは、学問そのものの面白さだけ。7月25日・8月1日・8月8日の3日間、3学科から6人の教員が登壇しました。
■ 3日間・6講義のラインナップ
7/25 暮らしとお金:金融と会計の基礎
助田 暁 講師(経済学科)/勝田 篤 講師(税務会計学科)
8/1 日本と世界:経済の動向を読む
高山 和夫 教授(国際経済学科)/佐野 穂先 講師(国際経済学科)
8/8 経営と仕事:未来のスキル
堀田 彩 講師(税務会計学科)/田中 征史 准教授(経済学科)
「あなたが100億円持っていたら、どうしますか?」
初日のテーマはおカネ。トップバッターの助田講師は、あいさつもそこそこにスクリーンへケースを映し出しました。利子率99%で貸してほしいという会社がある。さて、あなたなら貸すか。
手が挙がり、答えが返り、また次の問いが飛ぶ。ちなみに助田講師は、ご自身も現役の投資家です。40分の「講義」のはずが、気づけば全員で答えを探す時間になっていました。
バトンを受けた勝田講師は、楽器販売から病院・介護施設まで20年以上の実務を経験してきた、いわば現場を知りつくした会計の人。「お小遣い帳と会社のおカネは、どこが違うのか」という素朴な入り口から損益計算書を読み解いていくと、受講生からはこんな感想が返ってきました。‶売上高や売上原価以外にも、色々な損失や利益があることに驚きました”
「統計は、未来を読む地図」
2日目に登場した高山教授は、内閣府などでGDP統計そのものを長年つくってきた、統計の“作り手”です。スライドにはこんな一文がありました。
“数字は、日本がどこへ向かっているかを教えてくれる地図なんです”
皆さんが社会人になる2030年頃、日本経済はどうなっているでしょうか。その未来をつくるのは政治家だけではなく、皆さん自身なのです——。作り手だからこそ言える言葉は、受講生の胸にまっすぐ届いていたように思います。
続く佐野講師のお題は、ニュースで毎日流れているトランプ関税。なぜ大統領は関税という手段を選ぶのか、その代償は誰が払うのか。国際貿易論の道具で解きほぐされていくと、知っているつもりだった出来事の裏側が見えてきます。アンケートには「わかりやすくて、とても楽しめました」の一言が。
「勉強しなくちゃ」と思っているのに、手がつかない
最終日、堀田講師が示したのは1枚のケースでした。英語を勉強しなければと思いながら、どうしても手がつかない高校2年生。親からは「勉強しなさい」と言われる。友人は英語が得意で、比べては落ち込む——。身に覚えのある受講生も多かったのではないでしょうか。
机の上に理論カードを並べ、「やる気が出ない理由」をグループで診断していきます。学校の違う高校生同士が身を乗り出して意見を交わす、3日間でいちばん賑やかな時間になりました。
締めくくりは「AIで仕事はなくなるのか」。ATMが導入された後、銀行員の数はむしろ増えていた——そんな歴史的事実をデータで確かめながら、機械に置き換えられにくい力とは何かを一緒に考えました。
■ 15名に修了証書
3日間の参加者は延べ68名、17校の高校生等にお越しいただきました。全6講義を受け切った15名(9校)には、最終日に早川達二経済学部長から修了証書をお渡ししました。
修了証書を手にした受講生の皆さんと教員(画像処理を施しています)
■ 受講生アンケートより
“高校では習わない、より深い内容を少しでも学ぶことができた”
“これからAIが普及する中で仕事が減るという話はよく聞いていたが、新たに増えるという話を聞いて色々考えた”
アンケートでは、「この講座を通じて経済学・経営学に興味がわきましたか」という問いに回答者全員が「わいた」と答えてくれました。しかも「とてもわいた」の割合は、初回の50%から最終回には88%へ。回を重ねるほど手応えが増していったことがうかがえます。
実は、教える側もかなり鍛えられました
正直に書きます。この3日間は、教員にとってもなかなかスリリングでした。模擬講義であれば「大学ではこんなことを学びます」と紹介すれば形になります。しかしこの講座では、専門分野そのものの面白さで勝負するしかありません。しかも相手は、土曜の午後にわざわざ足を運んでくれた、学ぶ意欲の高い高校生たちです。普段の授業とはまるで質の違う、いい緊張感がありました。
秋も、開催します
秋期は10月24日・10月31日・11月7日の各土曜日に開催します。夏期を受講されていない方もご心配なく、内容は各回完結です。高校の先生や保護者の皆さまの見学も歓迎しています。講義テーマが決まり次第、あらためてご案内します。
経済学部では、これからも地域の高校生に経済学・経営学の面白さを伝える場をつくっていきます。教科書の一歩先をのぞきに、ぜひ福山駅前へお越しください。
学長から一言:経済学部各学科の教員有志が、夏休み中の高校生を受講者に、経済学・経営学のセミナーを実施。各分野の専門家が腕によりを掛けて、難しい話も分かりやすく、面白おかしい中にもしっかりと大事な知識が身に付くように工夫されていたのでしょう。受講生の反応を見ると、相当な満足度であったことが窺えます。第二弾が秋にも開催されるようです。今回の成功で、経済学のファンが増えることが楽しみです。









