【海洋生物科学科】マリンバイオセンター水族館 大水槽の改修工事が始まりました!

因島キャンパスにあるマリンバイオセンター水族館は、普段から海洋生物科学科の4年生たちが生きものや展示物を管理し、学生インタープリターとして来館者対応をしている全国でも例を見ない大学附属の水族館として運営しています。目玉となる「せとうち大水槽」は、開館した平成元年からの経年劣化により、壁面に繁茂した藻類などの汚れが非常に目立つようになりました。そこで、これまでの水族館での活動実績を評価いただくと同時に、今後ますます躍進していくことの期待を受けて、大水槽をリニューアルする運びとなりました。このことについて、海洋生物科学科アクアリウム科学研究室の水上講師からレポートが届きましたので、同学科学長室ブログ委員の阪本がお知らせします。

 


せとうち大水槽

マリンバイオセンター水族館が一般公開をしているのは、学生たちが活動する平日の10:00~16:00の時間帯です。平成元年の開館当初から無料で開館し、平成21年4月のリニューアル以降は、年間1万名を超える来館者を受け入れる福山大学が誇る附属施設の1つです。

なかでも、水量およそ150 tの「せとうち大水槽」は、全国の水族館を紹介するガイドブックでも「無料水族館では最大規模」と紹介されており、マダイやキジハタ、コブダイなど、瀬戸内海に生息する比較的大型な魚種を展示するひときわ目を引く水槽です。しかしながら、大水槽は大型照明と外からの太陽光を取り入れており、平成元年の開館当初から変わらず一般公開を続けてきたこともあって、壁面に繁茂した藻類などの汚れが非常に目立つようになりました。そこでこの度、大水槽をリニューアルする運びとなりました。

作業前夜の大水槽。これで見納めです・・・。

確かに汚れが目立つかな・・・

大水槽の改修工事と魚の移送

今回の改修では、水槽内壁を全面塗り替えるため、水槽内の海水を完全に抜いて、飼育展示していた魚も全て移動させなければなりません。海辺にある水族館ですが、使用する海水のほとんどは循環ろ過しながら再利用していることから、その肝となる浄化設備、いわゆる「濾過槽」もリニューアルオープンまでの3カ月間は正常に維持しておく必要があります。この濾過槽には、魚の排せつ物や食べ残した餌などの大きなゴミを濾し取る「物理的」な濾過だけでなく、魚から排泄されるアンモニアなど、生物に対して有害な成分を微生物の力を借りて無害化する「生物的」な濾過の機能がとても重要です。つまり、それまでの水の循環が止まると、バランスを崩して浄化機能が失われます。そのため、これまで水槽と濾過槽を循環していた海水の経路を濾過槽内だけで循環する経路に切り替え、単に水を抜いて魚を別の水槽に移動させるといった作業にとどまらず、裏方では関係者間で様々な議論を重ねての計画となりました。

大水槽裏にある濾過槽

さらにこの時期、海洋生物科学科では12月25,26日に行われた4年生の卒業研究発表会に向けた学生指導も重なっており、翌日12月27日の落水作業の直前まで、真田講師と水上講師を中心に準備が進められました。

卒業研究発表を終えたばかりの4年生の力も借りて、捕獲用ネットを作製

作業当日は午前8時から大水槽の水を抜き始め、1時間に水位1mのペースで、魚の状態を観察ながら徐々に水位を下げていきました。その間には、配管の切り替え工事や魚を水槽から取り出す際のクレーンの設置が並行して進められました。

水位の変化

排水量をバルブで調整

クレーンの設置

完成した捕獲用ネット

当日の作業の実施については、マリンバイオセンター水族館の公式インスタグラムで紹介しており、また小・中学校などが冬休み期間であったことから、魚の捕獲と移送の様子を見学に来られた多くの来館者で館内がとても賑わいました。

館内の様子

予定通り12時までには目的の水位に下がり、13時からはいよいよ魚の取り出し作業に入りました。ここからの作業には、因島キャンパスの全教職員に加えて、本学キャンパスからも助っ人教員が加入し、魚たちにできるだけストレスをかけないよう一気に進めてました。

水位の下がった水槽内

普段は見ることのできない水槽ガラス越しの展示場

塩ビパイプで浮力を持たせたラバーネットに魚を確保

順次クレーンで魚を引き揚げます

水槽上部では、決められた区画に魚種を仕分けて泳がせます

取り出し作業の開始時刻は計画よりも少し遅れましたが、入念な準備と計画のおかげで、およそ70尾の魚をすべて取り上げ、作業は計画通りピッタリ1時間で終えることができました。スタッフ全員の息の合った作業の賜物です!!

全ての魚を取り出し終えて、ひと段落

また、移動先の魚たちは1尾も調子を崩すことなく、元気に泳いでいる様子です。

大水槽は4月1日からのリニューアルオープンに向け、これから本格的な改修工事に入りますが、館内の他の水槽は一般公開を継続しています。ただし、壁面塗装作業を計画している2024年1月27日(土)から2月11日(日)の間は完全閉館となりますのでご了承ください。

また、大水槽には作業に支障の無い範囲でのぞき窓を作っており、改修工事の進捗状況はご覧いただけるようにしています。なかなか見ることのできない大型水槽の改修工事の様子を、定期的にご覧いただくのはいかがでしょうか。

大水槽内の様子が確認できるようになっています

水抜き作業当日の様子は公式インスタグラムからもご覧いただけます。

学生スタッフ一同、心よりご来館をお待ちしておりますので、マリンバイオセンター水族館にぜひ足をお運びください🐟🐡<゜)))彡

 

学長から一言:全国的に見ても珍しい大学附属の水族館を持つ本学因島キャンパスのマリンバイオセンター大水槽のリニューアルのため、まず行われた魚の移送作業は大変だったようです。しかし、関係者の皆さんが予め決まった手順に従って協力し手際よく実施。2月中旬には美しく化粧直しが終わるのが楽しみです。