【人間科学研究科】大学院生が国際学会で発表賞を受賞!

8月に開催された国際学会で、初めての英語での発表にチャレンジした大学院生が見事発表賞を受賞しました! 先日、受賞の報告をしに学長室に訪問しましたので、その様子も含めて、指導教員兼心理学科の学長室ブログメンバーの大杉からお届けします。

今年8月9日(水)から12日(土)の4日間、SARMAC(The Society for Applied Research in Memory and Cognition: 記憶認知応用研究学会)が名古屋にて開催されました。コロナ禍で何度か延期を余儀なくされていて、実に数年ぶりの開催となった学会です。

SARMACは、その名の通り、記憶や認知に関連した心理学分野の研究が多数発表される国際学会で、基礎研究から応用研究まで多岐にわたるトピックが議論されます。国外からも多くの研究者が参加する学会であり、交流が活発なフレンドリーな学会としても知られています。

人間科学研究科修士2年の細谷朱莉さんは、学部生として捜査心理学研究室に在籍してから一貫して「眼球運動を用いた隠匿情報検査(Concealed Information Test; CIT)」の研究を行ってきました。隠匿情報検査とは、日本の犯罪捜査に実際に用いられるポリグラフ検査に採用されている情報検出技術であり、このSARMACでも主要なトピックの1つです。

細谷さんは、国際学会で口頭発表にチャレンジすると決まってから、まさに寝る間も惜しんで準備や練習をしてきました。人間科学研究科では、公認心理師資格の取得のために多くの実習カリキュラムが組まれているわけですが、実習の合間をぬって、実験、分析、資料作り、そして英語練習を行わねばなりません。その繰り返しは、まさに血がにじむ努力であったと思います。

発表当日、かなり緊張の面持ちの細谷さんでしたが、温かい研究者たちに見守られながら、無事発表をやり遂げました。

<緊張の15分間のスタートです。>

細谷さんは、眼球運動と、従来隠匿情報検査で用いられている自律神経系指標との同時測定を目指す際に問題となる刺激の提示方法について実験的に検討し、効果的な提示方法に関する新たな知見と課題を報告しました。終了後にはフロアから様々な質問が飛び交い、活発な議論が行われました。

<偶然このセッションの座長を務めていた私(大杉)も、手に汗握りながら見守りました。>

実は今回のSARMACでは、眼球運動を用いた隠匿情報検査のシンポジウムも開催されており、同様の研究を行う世界中の研究者がこのフロアに集まっていました。同シンポジウムでは、私(大杉)が発表者を務め、細谷さんも参加者として海外研究者との交流を深めることができました。

発表を終え、久しぶりの国際交流を満喫し、このまま何事もなく学会終了かと思われた最終日、まさかのニュースが舞い込みました。

国際学会デビューだった細谷さんが、「Japanese Student Paper Award」を受賞することとなったのです!口頭発表をした日本の大学に在籍する学生(留学生含む)の中から4名だけが選ばれる賞で、名立たる大学や博士課程の学生も多く発表する中での快挙でした。

授賞式では、大会委員長から賞状を受け取り、満面の笑みを見せてくれた細谷さん。戸惑いながらも、しっかりとした足取りで賞を受け取る姿に頼もしさを感じ、指導教員の私(大杉)は思わず嬉し涙。これまでの努力が報われた気持ちでいっぱいで、お互い感無量でした。

<授賞式で賞を受け取る細谷さん>

<授賞式の会場にて、2人で記念撮影です。左から、細谷さん、私(大杉)です。>

その後、少し日が空きましたが、10月12日(木)にようやく学長室訪問が実現しました(実は9月に、今度は国内学会である日本犯罪心理学会が開催されており、細谷さんは実習の合間にそこでも発表をしていたのでした)。

国際学会の様子や参加した感想、受賞に関するエピソード等を緊張しながら伝える細谷さんでしたが、次第にたくさんの苦労を思い出し、笑いの絶えない報告となりました。

細谷さんは、学長からの労いと、将来への激励の言葉をしっかりと胸に受け止め、この後続く修論や試験への決意を新たにしたようです。

<国際学会での思い出話に花が咲き、満面の笑みで報告しています。>

<大塚学長との記念撮影です。>

修論の提出や資格試験、就職試験も控えている細谷さんは、まだまだ忙しい最中ですが、国際学会での発表経験、そして受賞経験は、細谷さんの大きな糧になるに違いありません。最後に、細谷さんの感想を紹介します。

「私は英語が得意ではなく、発表すると決まった時は不安でいっぱいでした。それから、英会話教室に通ってみたり、大杉先生との発表練習を重ねることで、結果的に無事発表することができました。学会では、国内外の様々な研究者の方々と交流することができ、様々な学びを得ることもできました。
そのうえ、大杉先生をはじめ、多くの方々に助けていただいたおかげで、大変名誉ある賞をいただくこともできました。喜びと共に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。この学びを活かして、研究や勉学に、より一層励んでいきたいと思います。」

私も指導教員として、本当に嬉しい出来事でした。先日の学長室ブログ記事と同様、細谷さんも、本学助成金を活用して国際学会に参加することができました。この場を借りて、御礼申し上げます。細谷さんの今後の活躍に、大いにご期待ください!

 

学長から一言:大学院人間科学研究科で心理学を専攻する修士2年の細谷朱莉さん、英語による国際学会デビューで早くも発表賞を受賞は素晴らしい! 将来この経験は大きく花開きますよ。眼球の動きから隠匿している情報を引き出す犯罪捜査の手法。学部時代から指導に当たっている、この道のプロの大杉准教授ともども、努力が報われました。