【建築学科】新任の河口佳介教授を紹介

建築学科の新任教員、河口佳介教授を紹介します。建築設計事務所K2-DESIGN ARCHITECT & ASSOCIATES株式会社の代表取締役として、福山を拠点に日本全国を飛び回り活躍してこられた建築家です。数々の建築の賞も受賞しておられます。今回は、建築に対する河口教授の考え方を代表作とともにお届けします(投稿は学長室ブログメンバーの山本)。


2022年9月から着任させて頂きました、工学部建築学科の河口佳介と申します。宜しくお願い致します。福山大学は私の母校であり、未来ある学生の為に私の理念や考え方を伝えていきたいです。

―建築に対する考え方―
人の心に愛着を抱かせる建物は、ある意味「潔さ」が求められます。建築とは、そもそも建物をつくることにおいて芸術性という側面をも持ち合わせるものです。芸術性の追求は、ともすれば建築家の意思が先行し、それが現実の生活スタイルに折り合いを見出せないかたちとなる場合もあります。逆にその意思こそが美術的視点における、建築の素晴らしい側面であることも事実です。但し「人が暮らす」という主眼における建物は、前述のようにお客様の手に託され、お客様の手によって成熟させていける器量が必要です。美観を叶えながら、そこに暮らす人が各々に生活デザインを描ける空間こそが、我々の考える「潔さ」であり、物理的な構造と相まって建物の持続性を高めていけるものと考えます。力強く味わい深い建築は、環境に対する多角的配慮および緻密な構造計画と同時に、人の想いに共鳴することによって生まれます。それこそが、我々の目指す建築の指針であり、日々追求し続ける「建物の在り方」と言えます。

―作品―

FLAT40

愛媛県北東部に位置する今治市。瀬戸内海国立公園を擁し、多島美の景観が美しい しまなみ海道 によって広島県尾道市と結ばれています。波が穏やかな良港を持つことから全国有数の造船地区へと発展し、タオル工業も有名です。この建物は、ここ今治の市街地に 家族4人が住む専用住宅として建築されました。

大山のゲストハウス ―森の隙間―

鳥取県米子市、大山の麓の森の中に計画したゲストハウスです。
敷地は桜と松の木立の中。それらの木々は、空に向かい立ち上がる幹と生い茂る枝葉を持って独自のバランスによる間隔を保持しています。その姿は美しい。木々こそがこの場の正当な住人です。この場所に建物を造るということは、敷地との十分な対話が必要不可欠であり、その先に共生があると考えられました。それに則って配置計画は進められています。

SETOUCHI PROJECT

瀬戸内に浮かぶ島の一つを島の半島をまるごと変貌させる計画を進めています。島の中ではアクセスしやすい立地で、島にはぐるりと回れるサイクリングコース、春は満開の桜など瀬戸内の自然を堪能できるロケーションが揃っています。自然が生きるこのプロジェクトを進めている半島部分は、造成開発によって土砂災害が起き、山肌がむき出しになっていました。
そのため、このプロジェクトのコンセプトは元の環境の再生を兼ねています。山の等高線に沿ってフラットスラブで等高線なりに建物を重ねることで大地の復元。異質なものではなく、地形に馴染む選択をしています。

 

 

学長から一言:すでに昨年9月の今年度後期から着任で、今や建築学科に溶け込みバリバリ活躍中の河口佳介教授ですが、新任教員の紹介ブログですから、改めて福大へようこそ! 中学校の美術の教科書(日本文教出版、令和3年刊)に、あのサグラダ・ファミリアのガウディ設計の世界遺産グエル公園の写真と並んで、本ブログにも載っている河口教授の森の隙間のゲストハウスの写真が掲載される程の本格派を迎え、先輩に続けとばかり、続々と逸材が輩出することでしょう。