学部・学科・大学院
電気電子工学科

Department of Electrical and Electronic Engineering

スマートシステム学科から令和6年4月名称変更します。

福山大学ブランディング研究「瀬戸内の里山・里海学」
藻場環境観測システムの開発

瀬戸内海は隣接する地域のひとびとの暮らしとともに何千年という年月の営みがあります。自然の宝庫であるとともに内海漁業等の重要な地域産業の場としての役割を果たしています。海に面する福山大学には海洋生物工学科を擁し、生物学的側面から海洋生物の生態解明や漁業技術の研究を行ってきましたが、2017年度より工学部を含めた総合プロジェクトとして瀬戸内海の研究が始まりました。電気電子工学科ではロボット技術や通信、IoT技術を用いた海洋観測機器の開発を進めています。

藻場生態系観察のための海中ドローンの開発

藻場で生育する稚魚やプランクトンは多く、それらの営みの調査も瀬戸内海の理解に重要である。しかし、その観察にはカメラが生物と一緒に移動するなど細やかな動作が必要となるが、ダイバーで長時間の観察は難しい。また、市販の小型海中ドローンでは藻場のような浅海域や砂地すれすれのような場所では操縦が難しく、藻や砂がスクリューに嚙み込む、噴流が生物に影響を与える、などの恐れがある。
本開発の海中ドローンは、移動や潮流に抗するためにはスラスターを用い、潮流がない所ではスラスターを使わずに浮袋(深度制御装置)や錘(姿勢制御装置)による制御を行うことで、生態系への影響を少い観察システムを目指している。

撮影だけじゃない統合型海洋センサ“海底カメラ”

“海底カメラ”は瀬戸内海の海底に沈めて海中の物体を3次元動画で撮影して記録することができる観測装置です。魚類が住みかとしている藻場の中に設置することにより、藻場の中で繰り広げられる生き物たち生活ドラマをとらえることができると期待されています。海底カメラの特徴はおよそ一週間という長時間の画像を記録できるという点で、日常の中での動きや、めったにない出来事を発見することができるかもしれません。
このたび、海底カメラ2号機(写真右下)を開発しました。海底カメラには温度や塩分また照度を測定する環境センサを搭載しており、海中の環境の変化をとらえることができます。

地球観測衛星データの解析で瀬戸内の藻場を識別

本学の内海生物研究所がある因島沿岸には藻場がありますが、因島一周の藻場を知るには、実際に潜水して目で確認することが確実です。しかしこの方法で季節毎または、台風による藻場の変化を知るのは非現実的です。
それなら500km上空の地球観測衛星からの画像を使えば藻場が簡単にわかるはずです。デジタル写真は、対象にあたった太陽光の反射光を画像にするので、光をわずかしか反射しない海は地球観測衛星画像では黒く写り、その海中の藻場を知るのは困難です。私たちは、その困難を砂だけの海底と藻がある海底では、太陽光のわずかな反射に差があることを利用して解決します。左図の緑が藻場識別結果ですが、まだ解析精度を高める研究を実行中です。

小型ROV(Remotely operated vehicle)
海中観測支援のための水中ドローン

海中を自由に移動しながら観測できる小型の水中ドローン(トライデント社製 Open ROV )を導入して運用しています。重量は2.6kgと超小型ですが、水深100mまで潜水して、海中画像を撮影することができる性能があります。
 観測する藻場の事前調査や観測機器の設置状態の確認といった、他の観測機器の運用の支援に活躍しています。
 水中ドローンの動きはヘリコプタや空を飛ぶドローンにも似ているため、上手に操縦するには十分な練習が必要です。