【薬学部】日本薬学会年会(横浜)✖ 学生の研究成果発表!

日本薬学会 第144年会(会期:2024年3月29日~31日)が、パシフィコ横浜で開催されました。遠方での開催でしたが、新型コロナウィルス感染症が5類感染症へ移行後のはじめての対面開催で8,300名を超える参加者のうち、本学薬学部からは42演題の発表が行われました。そのうち25演題は学生たちによる研究成果の発表でした。その学生たちの様子について、薬学部の今教授(薬学研究科長)と松岡准教授からの報告です(薬学部 五郎丸の投稿です)。

 


本学薬学部の研究室は、基礎薬学分野(化学系2研究室、生物系4研究室、物理系3研究室)、衛生薬学分野(2研究室)、医療薬学分野(4研究室)、薬学臨床分野(3研究室)の合計18研究室から構成されています。学生たちは4年次に各研究室へ配属され、課題研究を実施していく中で、薬の科学者として必要な論理的思考能力、問題発見・問題解決能力、実践力などの修得を目指します。
研究室一覧:https://www.fukuyama-u.ac.jp/course/pharm/pharmacy/labo-list/

これら研究室は、未来創造館(薬学研究棟)の4階から10階にかけて配置されており、学生や教員の新たな発想が創造できる空間をコンセプトに、人も物も自由に交流・連携できる環境として垣根のないオープンラボとなっています。
未来創造館(薬学研究棟):https://www.fukuyama-u.ac.jp/news/43343/

 

未来創造館(薬学研究棟)の内観

研究室間の垣根をなくしたオープンラボ

 

このオープンラボで学生達が取り組んできた研究について、日本薬学会で発表した様子をご紹介します。

 

■ 酒粕およびコウジ酸の乾癬症状の進行抑制効果 [30-418-am03S]
○植田 彩夏、今 重之、柴田 紗知

■ 拘束ストレスモデルにおけるピシフェリン酸による抗不安・抗ストレス効果の検討 [31-211-pm08S]
○山脇 葵、前原 昭次、髙山 健人、今 重之、柴田 紗知

■ 酒粕による関節リウマチ病態モデルへの有効性 [31-315-am12S]
○村上 綾香、髙山 健人、今 重之、柴田 紗知

■ 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)におけるローズマリー由来カルノシン酸の有効性 [31-315-am13S]
○平井 優太、今 重之、柴田 紗知

■ 家兎におけるキレート形成を防止するためのレボフロキサシンのエステルプロドラッグ [31-303-am02S]
○河野 悟士、夏山 慎太郎、寺岡 歩香、岡田 愛美、山本 美鈴、五郎丸 剛、前田 賴伸

■ 臨床検体由来カンジダ菌の高カロリー輸液 (TPN)を介した感染リスク [29P-am373S]
○福村 真彩、永塚 由佳、伴 さやか、佐藤 雄己

■ がん食欲不振-悪液質マウスにおける消化器障害に対する六君子湯の効果 [30P-pm424S]
○中谷 綺人、西 彩伽、永塚 由香、柴田 紗知、髙山 健人、山本 浩一、佐藤 雄己

■ アクティブターゲット能を有するトランスフェリン修飾メソポーラスシリカナノ粒子の担持5ーフルオロウラシル製剤の合成と評価 [29P-am361S]
○後藤 優太、久保 智哉、宮地 里奈、安福 みゆ、柳川 洋次、中村 徹也

■ 葉酸受容体高発現細胞における葉酸-メソポーラスシリカナノ粒子での細孔内担持パクリタキセルの効果 [30P-pm355S]
○久保 智哉、後藤 優太、宮地 里奈、安福 みゆ、花川 智佳、中村 徹也

■ 高タンパク質食による腸内細菌叢の変化を介した慢性腎臓病への影響 [30P-am467]
○瀬尾 隆文、髙原 千穂、髙山 健人

■ 実務実習が及ぼす薬学生の自己の健康管理と健康支援に対する意識への影響 [30P-pm488]
○小松 可歩、村上 慎、上本 涼太、鶴崎 健一、田中 信一郎、猿橋 裕子、前田 頼伸、中崎 千尋、竹田 修三、杉原 成美

■ 薬局薬剤師による外来抗菌薬治療の適正化に関する疑義照会報告事例の解析 [30P-am437S]
○上岡 遼太、奥村 莉帆、木曽 絢水、広瀬 雅一、猿橋 裕子、高根 浩

■ 低酸素/再酸素化処理における尿細管細胞のCHAC1発現に対するN-acetylcysteineの影響 [31P-am303S]
○松葉 春佳、斎藤 優希、藤村 よしの、木平 孝高、佐藤 英治

■ 脂肪細胞においてリゾホスファチジン酸はLPA受容体1および低酸素誘導因子を介してMCP-1の発現を誘導する。[31P-am304]
○内川 帆乃香、藤村 よしの、木平 孝高、佐藤 英治

■ 分子動力学法を用いたリソソーム膜タンパク質LAMP-2とμ3Aサブユニット複合体の解析 [30P-pm123]
○栗下 鈴香、前原 昭次、坂根 洋、赤﨑 健司、秦 季之

■ メタダイナミックス法によるエナミノジケトンとメチルヒドラジンを用いたピラゾール生成経路の解析[30P-pm124]
○永泉 志織、前原 昭次、西山 卓志、町支 臣成、秦 季之

■ Artemisia vulgaris由来エンドファイト培養エキスのSARS-CoV-2特異的3CLプロテアーゼ阻害活性[31P-am090S]
前原 昭次、○守屋 建吾、榊原 実里、湯川 菜々美、秦 季之
■ Artemisia vulgaris由来エンドファイトの産生するSARS-CoV-2特異的3CLプロテアーゼ阻害物質に関する研究 [31P-am091S]
前原 昭次、○榊原 実里、守屋 建吾、湯川 菜々美、秦 季之
■メタバーコーディング解析から導いたヨモギエンドファイト分離法の改良 [31P-am092S]
前原 昭次、○湯川 菜々美、守屋 建吾、榊原 実里、秦 季之

■ β-カルボリンアルカロイド(S)-brevicollineの不斉全合成と誘導体合成研究 [31P-am005S]
○迫口 小晴、神本 瑠香、西山 卓志、永塚(半田) 由佳、佐藤 雄己、波多江 典之、町支 臣成
■ Cyclocarbonylation反応を用いたstaurosporinoneの全合成 [31P-am006S]
○土井 駿輔、西山 卓志、本屋敷 敏雄、波多江 典之、町支 臣成
■ β-カルボリンアルカロイドevollionine Aの全合成研究 [31P-am007S]
○淺野 凜弥、西山 卓志、町支 臣成
■ Calothrixin B誘導体の合成と抗腫瘍活性評価 [31P-am008S]
○上田 拓巳、西山 卓志、本屋敷 敏雄、波多江 典之、町支 臣成
■ ワンポットカルバゾール構築法を利用したracemosin Bの全合成研究 [31P-am009S]
○内田 悠太、西山 卓志、深田 奈々夏、町支 臣成
■ Dictyodendrin Bを標的とした新規pyrrolo[2,3-c]carbazole骨格構築法の開発研究 [31P-am010S]
○辻 颯真、西山 卓志、波多江 典之、町支 臣成

この他に、本学教員による発表が12演題と、他大学・企業が筆頭の共著発表が5演題ありました。

 

薬学研究科長から一言:パシフィコ横浜で開催された日本薬学会144年会は、すごい人数の研究者や学生が集まり各場所で熱い質疑応答が続く盛り上がった学会でした。その中で、福山大学からも多くの学生が口頭発表やポスター発表を行いました。学生達にとっては自身が行った研究に対して他大学の方に興味を持たれて質問やコメントを頂くことができたのは、今後の研究のモチベーションに繋がることでしょう。そのモチベーションをそのまま維持し熱く研究を進めることで、医療の発展に貢献することを期待します。

 

学長から一言:2023年度の最後の3日間に開催された日本薬学会の年次大会は8,300名という膨大な参加者が集う対面での巨大な研究集会。本学の薬学部からも学生による25件を含む全部で42件もの研究発表が行われたとは、驚き以外の何ものでもありません。研究に対する皆さんの熱い思いが伝わってくるようです。充実した質疑応答を通じて、きっと次の研究へのひらめきや活力が得られたことでしょう。