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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.46 2013.12.01

愛読書~ずっと昔の話~

「新入生にすすめる50冊の本」という小冊子を、図書館が出しています。今3冊目の出版準備中で、すでに原稿を投稿された教職員の方もおられるでしょう。私は遅まきの原稿依頼でしたので、先日やっと投稿しました。私が青年期に最も愛読し、私の人格形成に多大な影響を与えた本は、ヴィクトール E. フランクル著「死と愛」ですが、同じ著者による「夜と霧」の方を新入生に勧めました。「死と愛」は、心理学を少しかじっていないととつきにくいので。若い頃の愛読書について書くのは、少々恥ずかしのですが、今回の学長短信はその愛読書についてです。なお、私の専門は発達心理学や教育心理学で、臨床心理学ではありませんので、下記の理解は臨床心理学の専門家からは異論があるかもしれません。

ヴィクトール E. フランクル著「死と愛」は、副題に「実存分析入門」とあるように、狭義の心理療法を超えて、精神的なもの、すなわち人間の実存の本質的根拠を顧慮した心理療法の話です。これを読む前に、S. フロイト(1895-1982)の精神分析もちょっとかじりました。フロイトは、精神科医ですが、20世紀を代表する思想家でもあり、その後のあらゆる心理療法に影響を及ぼしただけでなく、文学や芸術などの広い領域にインパクトを与えました。フロイトは、無意識の存在を“発見”して、精神の異常をパーソナリティの構造と機能から科学的に因果で説明しようとしました。たとえば、意識すると都合の悪いことは、無意識の領域に押し込めて「ないこと」にしてしまうとか、イソップの狐の「酸っぱいブドウ」のように、合理化して不都合を受け流すとか・・・そのように自分を防衛する機能を働かせて、現実世界に適応しようとするのだけれども、現実があまりにシビアーなためその防衛がうまくいかなくなると、神経症などの不適応行動が現れるのだと・・・。

人間の、時にあまりきれいではない裏側を「なぜ」とともに示してくれて、実に面白く、またユダヤ人として迫害を受けながら、それに負けることなく、亡命先でガンと闘う壮絶な人生を送っているのにも、感銘を受けました。で、次に読んだのが、「死と愛」でした。フランクル(1905~1997)も精神科医で、フロイトに学んでいます。「死と愛」の実存分析にはフロイトの精神分析にはなかったものがありました。人は単に現実に適応できておればそれで満足する存在ではなく、人間の意志、責任性、自己充足、そしてそこに希望を見ること、の重要性が強調されており新鮮でした。でも、「この人は幸せな人生を送ったので、このように楽天的とも思える分析法に至ったのではないか」という感想を抱くほどの、浅い読みでした。で次に、同じフランクルの「夜と霧」を読みました。これは、みすず書房が昭和36年にフランクル著作集1として出版し、今なお多くの人に読み継がれ、昨年は新版の訳本も出ましたので、読まれた方も多いでしょう。原題は「ある心理学者の強制収容所体験」です。彼もユダヤ人であるが故の、過酷過ぎる経験をし、それでもなお、人間信頼と責任性と希望に満ちた心理療法である実存分析に行き着いたと言うことに、大きな衝撃を受けました。すぐ「死と愛」を読み直しました。人生に何の選択の余地も自分に残されていない、と思えるようなときですら、その人生をどのように受け止めるかという態度を決断する自由は残されており、したがって責任があるのだと・・・。どのような人生にも意味と使命があるのだと・・・。心理療法としての実存分析は、特に責任性を人間の実存の本質的根拠として人間に意識させることに努めることにあり、それは人間の実存を増強して内面的充足に向かわせると・・・。
もう記憶もおぼろげですが、その後の私の生き方の、そして後に教員になって悩める学生と向き合ったときの、心の支柱となったことは確かです。

参考図書:
V. E. フランクル(霜山徳爾訳)「死と愛-実存分析入門」
みすず書房 初版第1刷1957年(ちなみに、このときの価格は320円、現在2600円+税)
V. E. フランクル(霜山徳爾訳)「夜と霧-ドイツ強制収容所の体験記録」
みすず書房 初版第1刷1961年
V. E. フランクル(池田香代子訳)「夜と霧 新版」 みすず書房 2012年

受賞の便りが4件です。おめでとうございます。うれしいですね。

1.人間文化学部心理学科4年の三吉大暉君が、「地域において積極的に青少年の指導に当たりその健全育成に大きく貢献した功績」で平成25年度青少年健全育成功労者等知事表彰において、県内でただ1名、「模範青少年」として表彰されました。詳しくは、こちらの学長室ブログを!
http://blog.fuext.fukuyama-u.ac.jp/2013/11/4.html

2.工学部建築・建設学科2年の日浦翔太君が、「HIROSHIMA DESIGN DAYS 2013 学生デザインコンペティション」において、作品「Style AND Stylish」を出品し、特別賞を受賞しました。学長室ブログが間に合いませんでしたので、とりあえず学科のHPをご覧ください。
http://www.fuarc.fukuyama-u.ac.jp/arc/new/cont_e/index.htm

3.人間文化学部心理学科の平ゼミの学生で作っている団体「PACE福山支部」が福山市の「2013年度善行市民賞(団体賞)」を受けることとなり、12月14日に表彰式があるとの通知が羽田福山市長よりありました。詳細は、表彰式後、学長室ブログに載せる予定ですが、心理学科HPのTweets, 21 Novもご覧ください。
http://www.fuhc.fukuyama-u.ac.jp/human/psychology/

4.生命工学部生物工学科教授の岩本博行教授が、平成25年度「科研費」審査委員表彰を受けられました。詳しくは、こちらの学長室ブログをご覧ください。
http://blog.fuext.fukuyama-u.ac.jp/2013/11/blog-post_5.html


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