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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.42 2013.08.01

鬱-その2

暑いですね。夏の暑さを満喫していた子ども時代は遠い昔、私も今はすっかり暑さに弱くなって、夏はそれだけで憂鬱です。

しかし現代社会では、鬱傾向が強いと、大学を含む社会に適応しづらいのも確かです。ですから、今日では、不安な状況におかれても、あるいは思わしくない不快な出来事に遭遇しても、ひどい鬱状態に陥らないこと、そしてたとえ抑鬱状態に陥ってもそれを長引かせ慢性化させることなく、早めに明日に向かって立ち直ることが重要です。

ではどのような特性を持った人が、少々のことではひどい抑鬱状態にならない、なっても回復が早いのでしょうか。

自分についての知識が多方面にわたり、その各側面がそれぞれかなり精緻で詳しい、その程度を心理学の領域では自己複雑性(self-complexity)と呼びますが、その複雑性が高いほど、中でも肯定的な側面の自己複雑性が高いほど、少々不安にさらされても、まずいことが起こっても、ひどい抑鬱状態にならないようです。このような状況や出来事に付随してわき起こる抑鬱の緩衝材として、肯定的な側面の自己複雑性が役立つのです。学生であれば、勉強している自分、家族といるときの自分、友だちといるときの自分、クラブ活動での自分、アルバイト中の自分、などなど、そしてそれぞれに更に細かく、たとえば、勉強している自分であれば、それも様々な教科での勉強、教室での勉強、自宅での勉強、課外活動での勉強、・・・と、いった面での自己に対する肯定的な評価や感情です。

そういうことであれば、肯定的な側面の自己複雑性を高めるのにはどうしたらよいのかが次の課題です。いろいろな場面で成功経験を積み重ねることが大切でしょう。しかしそれだけでは、なかなか自己の良さを多方面にわたって精緻に自覚できません。たとえば、日記を付けるというような行為には、多分そのようなことごとを自覚させる効果があるでしょうから、自分の鬱予防には役立つと思われます。

また教員をはじめ周りの人たちが、折に触れて学生の良いところ・良い行為・良い考え等々を具体的に指摘して、学生に気づかせ、肯定的な側面の自己複雑性を増すのを助けることは、学生の鬱のかなり効果的な予防法になるではないかと思われます。心がけたいですね。

参考図書:
川人潤子・堀匡・大塚泰正「大学生の抑うつ予防のための自己複雑性介入プログラムの効果」心理学研究2010年 第81巻 第2号 pp.140-148.
(平成23年度公益社団法人日本心理学会優秀論文賞受賞論文)
(ちなみに、本論文の筆頭著者は本学心理学科の1期生(平成19年3月卒業)で、現在本学の講師です)


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