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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.39 2013.05.01

分散認知の新時代

人の認知(知覚、記憶、推論、知識形成、問題解決など)に関する研究は、心理学の研究の中でも重要な位置を占めていますし、研究成果は教育のあり方にも大きな影響力を持っています。ところでそこでの認知は、個人の頭の中で起こっていること、すなわち個人の脳での情報処理を主に念頭に置いています。

他方、認知心理学の主流にはいまだなり得ていませんが、分散認知という考え方もあります。認知は一人の頭の中に閉じた現象としてあるのではなく、仲間との間に(たとえば、仲間と話し合っている間に、だれの考えというのではなく、新しい考えが提起されるように)、物との関係の中に(たとえば、ワープロで文章を書くとき、自分では思い出せない漢字を自然にワープロが書いてくれているとき)、あるいは文化の中に(たとえば、歴史的所産である言語や国民性が、それと気づかぬうちに私たちの思考を方向付けているように)など、様々なところに分散しているという考えです。

ところで、IC機器、ICT機器が急速な発達を見せています。大学のキャンパスライフ、とりわけ学生の教育・指導もこれ抜きでは語れなくなりました。本学でも、先日無線LANのWi-Fiスポット134が使用可能になりました。タブレット型コンピュータ等が、キャンパスのほとんどどこでも使えるようになったわけです。これでこのような機器をいつも携帯している学生、教職員が急速に増えるでしょう。使いこなすと、自分の脳の一部のような感覚になるかもしれません(使えない場所・時に遭遇すると、突然愚かになって、慌てふためくかもしれませんが・・・一過性の認知症のようなものです)。

ところで、私たちの認知は、記憶容量、記憶した情報の検索、情報処理速度などについての制約を強く受けています(一時にたくさん覚えられない、思い出したいとき思い出せない、一時に多くのことに注意が払えないなどなど)。しかし、分散認知の考えに立って、IC機器、ICT機器と認知を共有していると考えれば、これらの制約から解放されることが可能でしょう。

学修成果を測る大学のテストなどで、問題を一人で解かせ、さらにそのとき鉛筆と消しゴム以外、何も道具を使ってはいけない、何も見てはいけないというのは、いつも認知を共有している「物」から無理矢理引き離しているわけで、人間の分散した認知活動から見て少々不自然になってきました。学修成果の測定に、物そしてもちろん人や社会との交わりを考慮に入れた、学修ポ-トフォリオやルーブリックの工夫の必要性が、このような観点からも強くなってきています。

参考図書:G. ソロモン編「分散認知~心理学的考察と教育実践上の意義~」共同出版、2004年

別件です。

1.経済学部2年生の塩飽昌宏君が、MOS世界大会2013のパワーポイント部門で4位入賞です(ちなみに、彼は、昨年は同部門で銀賞でした)。おめでとうございます。

2.薬学部の大西正俊講師が、日本私立学校振興・共催事業団から、平成25年度学術研究振興資金を贈呈されることになりました。おめでとうございます。


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