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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.36 2013.03.01

KY―その2

ようやく構内の梅の木に花が咲いてきました。春はもすぐそこですね。

さて、前回の学長短信で,こんな話を書きました。

Aさん「コーヒーはいかがですか」

Bさん「結構ですね」

文字にすると,コーヒーがいるのかいらないのかはっきりしない会話ですが,実際の場面ではAさんは状況から判断するので迷うことはないでしょう。このように状況によって言葉やもの,あるいは事柄の意味を変えて理解するというのは,かなり日本やアジアの文化に特有のことのようです。

こうした現象を,脳指標レベルで調べたアメリカの研究者がいます。実験の参加者は,ディスプレイ上に次々と300ミリ秒提示される図形が,生き物か生き物でないかを判断します。その図形提示の直前に,背景が示されて,その背景の上にその図形が提示されるのですが,実験参加者は,「背景に関係なく,とにかく,生き物かどうかを判断するように」と実験者に言われています。ですから,背景は無視すればよいのです。背景と図形は,砂浜の風景とカニ,駐車場の風景とカニ,といったように,意味的に一致している場合と一致していない場合があります。判断時の白人アメリカ人の脳波は,両者であまり変わりませんが,アジア系の場合は,意味的に不一致の場合は,そのことを認識した(認識しなくてもよいのに)脳波になるというのです。無視しようとしても,背景という状況を無視できないのです。

このような実験結果を積み重ねた結果,「心は,文化以前にそれとは独立に存在するものではなく,むしろ,世代を超えて築かれてきた文化のシステムを取り入れ,それと同期して機能するようにデザインされているのだ」と仮定している研究者もいます。「人は,多くの世代の人々が残した文化的資源を取り入れ,それらを用いることによって生物的適応を達成するように進化してきている」と言うのです。そうだとすると,稲作農耕を中心とした日本的な大家族主義や濃厚な地縁血縁の地域社会が急激に崩壊したとき,脳の文化的システムと生活環境は齟齬を来たし,KYと呼ばれる生きづらい子どもも増えるでしょうし,「あうんの呼吸」や「言外の真の意味の理解」を期待する教師がそっぽを向かれることにもなるのでしょう。いまの大学教育の難しさは,単に大学のユニバーサル化による,と言うような単純なものではないと覚悟する必要がありそうです。しかもこのずれのしわ寄せを学生に持って行くことは,教師としては厳禁です。

参考図書:北山忍「文化脳神経科学というアプローチ―日本人の文脈依存性に注目して」こころの未来,2012,Vol. 9, 26-29.

さて,前回の学長短信を読んだ松浦副学長の返信を紹介します。笑ってしまいます。

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先生の文を読んで,留学中のある出来事を,昨日の事のように思い出しました。

ある日本人の大先生が私の親友B.S.(当時33歳)の研究室を訪れ,歓迎パーティーが開かれました。B.S.はそれまでほとんど日本人との交流が無かったため,私にパーティーに来てくれるよう頼みましたが,あまりの大先生ですので私は尻込みして「No」と答えました。翌朝,B.S.は私が行かなかったことにカンカンでした。その大先生,何を飲みますかと問えば「何でも」,どちらにされますかと問えば「どちらでも」とお答えになったそうで,どうしたら良いのか分からなかった,おまえが来てくれないからこんなことになった,と言うのが理由でした。

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別件です。福山サッカー協会(FFA) は昨年活躍したサッカーチーム選手
たちをたたえる「FFAコメンシップ2013」で,3チームと44人を表彰しましたが,優秀チームに本学学友会サッカー部,優秀選手に本学6選手が選ばれました。おめでとうございます。


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