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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.34 2013.01.01

スキャフォルディング

明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。今年も,月に1回のペースで,学長短信を発信していきたいと思いますが,ますます大学教育の質保証が問われる時代になりましたので,その方面の内容が多くなるかと思います。教育心理学徒の一人としては,脳のブラッシュアップを図る必要があるのですが・・・なかなか・・・。

さて,昨年の12月12日に本学で行ったFD研修会では,島根大学教育開発センターの准教授で副センター長の森朋子先生が「高大接続と初年次教育」という題で,現代的な大学教育の問題点とその解決法,その結果等の興味深いお話を,初年次教育を中心にしてくださいました。その話の中で,スプーンフェッド(spoon-fed)とスキャフォルディング(scaffolding)という言葉が何度か出てきましたが,ご記憶でしょうか。今の大学は,本学を含め「きめ細かな教育・指導」を謳っているところは多いですが,そのことがスプーンフェッド,すなわち「匙で食べさせてもらえる」ようなきめ細かな指導になって,学生の自立をかえって妨げるようでは本末転倒です。スキャフォルディングは「建築現場の足場」のことですが,この足場は,建築の真っ最中には大活躍しますが,建物ができればきれいに取り除かれます。従来の講義中心の授業では,教員による組織的な足場作りが考えられることはあまりなく,また,それがだんだんと取り外されて15回の授業の最後には学生が自立する,あるいは系統性のある一連の授業科目の最後の科目では学生が自立する,ということもあまり目論まれていないことが多かったのではないでしょうか。私たちが,今,全学を挙げて本格的にかつ組織的に取り組んでいるアクティブラーニングでは,学生が全員最初からアクティブであることを前提として授業を行えば,失敗するでしょう。最初は教員による足場作りが必要です。そして学生の知識・技能・態度の進歩にあわせて,計画的に足場を外していく必要があります。状況によっては,一度外した足場をもう一度つけるという柔軟性も必要ですが,あらかじめ,どのような足場をまず用意し,どの時点であるいはどのくらいの学生の状況で,どの程度足場を外していくか,教員は計画しておく必要があります。今年度から工学
部で始まった学科横断の「みらい工学教育プロジェクト」の中でかなり成果をあげているものの一つである「EV学生制作プロジェクト」の動画(http://youtu.be/DDzh3noHeAs)をみると,まるで学生たちだけですべてをやっているように見えますが,ここに至るまでには,陰に日向に,教員によるきめ細かなスキャフォルディングとその取り外しがあったはずです。来年度は2年生も何人かこのプロジェクトに残るでしょうから,さらに学生の最後の自立度は高まるでしょう。自立度が高まれば,学生の満足度も,社会的基礎力も高まっているはずです。

スプーンフェッドにならないように,しかし細心の計画性と柔軟性を持ってスキャフォルディングを取り入れていきましょう。アクティブラーニングを成功させるポイントの一つです。

12月21日には,本学のカウンセラーの藤居尚子講師によるFD研修会もありました。「学生理解とは何か」というお話と架空事例に関するSGD(small group discussion)でした。当然教員もなかなか1回でこのような領域で自立はできません。必要なら藤居先生の助けを借りて,あるいは研修を受けた人が受けていない人の足場になって,そしてだんだんと足場を減らして,各学部学科で自立して研修を繰り返していただけると,FDの本当の成果に至るでしょう。

今年も,要求がましいことの多い学長になることと思いますが,よろしくお願いいたします。


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