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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.24 2012.03.20

 3月20日の今日は,卒業式でした。東日本大震災から1年が過ぎました。震災でなくなられた方にはこころより哀悼の意を表し,今なお見通しの開けない苦境におられる多くの被災者の方にはこころよりお見舞いを申し上げ,そして私達がここに無事卒業式を迎えることが出来ることに率直に感謝し,次のような式辞を述べました。

自信と希望,そして他者のために

皆さん,ご卒業おめでとうございます。在学中にはたくさんのことを学び,経験し,多くの人間関係を築かれたことと思います。それらを糧として,社会に出た皆さんが大きく花開かれることを,こころから期待しています。そしてご臨席いただいておりますご家族の皆様,本日は誠におめでとうございます。ご家族の皆様の長きにわたる物心両面でのご支援にこころから感謝申し上げます。

さて,先ほどはご卒業おめでとうございます,と申し上げましたが,昨年は,東日本大震災,福島第一原発事故,あるいは台風12号による集中豪雨と土砂災害等々により,多くの人命が失われ,当たり前に存在していた日常生活が奪われ,本来なら卒業式を迎えるはずの少なからぬ若者,家族,教師にとって,それが不可能になってしまっています。私達は,今こうして卒業式を滞りなく行い,それを祝うことができると言うことを感謝すると同時に,その意味を,あらためて考える必要があるように思います。

17・8世紀以降の科学と技術のめざましい進歩は,文明爆発とも言うべき状況をもたらし,21世紀に入っても,ますますそのスピードを増していました。より物質的に豊かに,より便利に,より効率よく,とのキーワードに酔いしれる,あるいは追い立てられているときの,東日本大震災と原発事故ではなかったでしょうか。幸いにして直接的な被害に遭わなかった私達も含め,多くの日本人が,現代社会のあり方を見つめ直したのではないでしょうか。以来,巷では文明転換論や脱近代化論も喧しい状況が1年続いています。いまだ,日本の国全体が,震災のダメージから立ち直れないでいるうえに,世界もまた経済的・社会的に大変不安定で危険な崖の上にいるかのようです。

このような時期に,大学を卒業する皆さんは,いかに生きるべきなのでしょうか。大学教育の成果はどの様に生かされるべきなのでしょうか。科学・技術を嫌って文明社会と決別し,原始社会に戻ることは不可能でしょう。しかし,もっと人間味あふれる,人と人とのつながりを大切にした文明社会を作ることはできるでしょう。本学で身につけた専門的知識や技能,そして豊かで強靱な人間力が,今こそ生かせるときなのです。

実社会に出たとき,自分の力不足による失敗,周りの人々の失敗の影響,自分達ではいかんともしがたいような大きな天災・人災による行き詰まり,等々,リスキーな場面に遭遇することは,避けがたいことです。そのとき,大学で学んだことがそのまま生かせた,と感じることは,それほど多くはないかもしれません。しかし,実は,どれくらい素早くたくましく回復できるか,あるいは新しい道を見つけられるか,この回復力を私の専門の心理学ではレジリエンスといいますが,このレジリエンスの源は,自分自身に対する信頼であり,将来への希望です。今皆さんが大学教育の成果として手にしている自信と希望こそ,皆さんの宝です。ですから,皆さんは,この宝の輝きがだんだんと衰えていく,ということのないように,さらに輝きを増すようにする必要があります。そのために必要なことは,学んだ知識と技能を,自分のためにだけに使おうとするのではなく,仲間のため,家族のため,地域のため,知らない人々のため,社会のために使おうとする態度です。このことこそ,昨年の大震災から,私達が学ばなければならないことだと思います。この態度も,実は,福山大学の教育理念
である「人間性を尊重した調和的な全人格陶冶を目指す全人教育」の中で,いろいろな形で身につけていることを再確認し,この態度を堅持し,志として更に強めていく中で,自信と希望が一層輝きを増すことを,これからの人生の中で実感して頂きたいと思います。

卒業生のみなさん。福山大学で学んだことを自信と誇りとして,社会に出てたとえ失敗しても,希望を失うことなく,自分の人生の充実とともに他者あるいは社会への貢献を目指してください。心から期待しています。

では皆さんのこれからのご活躍をこころから願って,式辞を終わりとします。


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