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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.17 2011.09.01

動機づけ

日本全体で,素直だが今ひとつ積極性に欠ける若者が増えた,とよくいわれます。本学でも,非常に活発に,勉学だけでなく,クラブ活動,学友会活動,ボランティア活動,インターンシップ等へ向かう学生がいる一方で,就活にさえなかなか腰の重い学生もいます。けれどもこのような学生が,勉学に目覚めたり社会参加に目覚めたりして大変身を遂げることもよくあります。私は本学に勤務する前,公立大学1校,国立大学2校に勤めていましたが,本校では大変身率が最も高いように感じられ,教育のやりがいという点では最高です。

この大変身の際には,「やって意味があるのかなぁ」「どうせやってもうまくいきそうにない」「もうちょっと後でやるのでもいいだろう」「うまくできなかったら,人に笑われそう」というような様々なネガティブ思考から,「これをやったら,自分にとってプラスになりそう」「自分でもやれば出来るかもしれない」などというポジティブな思考への変換が,起こっているように思えます。そして,変身後の活動を見るにつけ,学生の感性の良さ・新鮮さに感心させられることがたびたびあります。そのような感性は引っ込み思案の間もずっと持っていたに違いない,あるいは受験勉強などで摩滅することが少なかったのだろう,などと思うのです。

さて,何らかの行動を一定の方向に向かって生起させ,維持させる過程や機能全般を表す,動機づけという概念があります。動機づけはしばしば内発的なものと,外発的なものに分けられます。内発的動機づけとは,「その動機が引き起こす活動以外の賞・報酬に依存しない動機づけ」(言いかえれば,活動すること自体が賞や報酬になる)であり,外発的動機づけは,賞・罰や報酬に依存するものです。1970年代には,外発的動機づけは内発的動機づけを低下させる,という研究結果が,心理学の分野で数多く示されました。子どもが,興味津々,次々とパズルを解いているとしましょう。そこへパズルが解けるごとにチョコレートを1こ上げると・・・チョコレートがもらえなくなるともうパズルを解かなくなってしまった・・・。すなわち,内発的に動機づけられて好奇心に満ちてパズルを解いていたのに,外的報酬の導入により,「チョコレートを手に入れるためにパズルを解く」,というように外発的動機づけに変わってしまった,というのです。このような結果から,教室から,賞・罰や報酬を追放すべきだ,と主張した学者もいましたが,子どものノートから「花まる」のスタンプが消えることはありませんでしたし,「賞めたり,叱ったり」まったくしない先生が増えたようでもない
ですし,「賞状」や「トロフィー」が校舎の玄関ロビーから消えることもありませんでした。

外発的な賞・罰や報酬には,ある程度の即効的効果が期待できる事もその原因でしょうが,1970年代の研究結果は,そもそも内発的にある程度動機づけられているときの話です。話を最初に戻して,「やって意味があるのかなぁ」「どうせやってもうまくいきそうにない」というようなネガティブ思考に陥っている子どもや若者を,ともかく行動に向かわせ,内発的に動機づけられた状態にするには,あるいはさらに大変身させるには,どうすればよいでしょうか。どのような実践をされています
か。皆で共有できる回答を,お待ちしています。


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