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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.14 2011.06.01

もう一度ドラッカーから~成果(performance)について~

「もしドラ」が,テレビのアニメに登場しましたせいでもありませんが,今回もドラッカーです。実は,『もしドラ』で「真摯」以外にもう一つ気になる言葉がありました。主人公のみなみは,『マネジメント』の次の言葉を引用しています。

組織構造は,組織の中の人間や組織単位の関心を,努力でなく成果に向けさせなければならない。成果こそ,すべての活動の目的である。
(略)
成果よりも努力が重要であり,職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き,贅肉でなく力をつけ,過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。(『もしドラ』p.204,『マネジメント』p.200)

この「成果」の原語は何でしょう。「成果」と日本語に訳されている原語はいくつかありました(ついに『マネジメント』の原書を図書館から借り出しました)。results, achievement, accomplishmentなどもそうですが,上記の引用部分や「第1章 企業の成果」「第2章 公的機関の成果」での「成果」の原語はperformanceです。なかなか訳しにくい英単語で,カタカナで「パフォーマンス」と書くと,中味の薄い演技的行動といった軽薄なニュアンスが漂いがちです。しかし,上記引用文の最初の英文は,"Organization structure should direct the vision of individuals and of managerial units toward performance rather than toward efforts. And it should direct vision toward results, that is, toward the performance of the entire enterprise."(1993年版『Management』のp.554)ですので,performanceはまさしく成果の意味で使われています。なお,ドラッカーは『マネジメント』の最後に「マネジメントとは,企業,社会,大学,病院,女性保護協会のいずれであれ,組織の外部において成果を上げるための機関である」(p.299)と述べて,大学も例外的組織とは考えていません。

ところで,performanceは私の専門である心理学でも,learning(学習)との対比でよく使われます。訳しにくいので「パフォーマンス」とカタカナにするか,「遂行」「遂行行動」というこなれない日本語にします。「学んでいる,知っている(learning)」ことと「実際にどんなことをしたか(performance)」の間には,大きな差異がある場合が多いです。教師の問いかけ方が悪いと,知っていても十分答えられないとか,ちょっとした状況で気が乗らないと,スポーツでも実力が発揮できないとか。

大学という組織の中では,学生の教育・指導過程に端的に表れるように,「成果がすべて」ではないでしょう。けれども,大学が社会に価値ある組織として認められるには,組織の外である社会に対して成果を示す以外にありません。また学内においても,例えばある委員会のような組織にその存在意義があるとすれば,その委員会が努力しているということではなく,委員会の外に対して成果を上げているということの故でしょう。さらに,個々の教職員の存在意義は,自分の外に対してどれだけの成果を示しているかによるのでしょう。たとえば長時間熱心に仕事をしているということは,それだけでは意味はなく,そのことが成果(論文発表,学生の学習意欲を駆り立てる授業の実施,長時間熱心に仕事をする後ろ姿を学生が見て育つ,等々)を生み出しこそ意味を持つのでしょう。私がPDCAサイクルを強調するのは,このサイクルが成果を実現させるプロセスだからです。PDだけでは,いわんやPだけでは成果を挙げることは出来ません。各学部・学科,主要センター・委員会等に23年度短期計画を提出して頂き,それをHP(学内専用)に掲載したのも,それぞれが実現すべき目標を明らかにしたうえで教職員が共有し,速やかに成果を実現していきたいがためです。もちろん,トップのマネジメントが,成果について最も責任が重いことは言うまでもありません。

お知らせが3件あります。

1. 平成23年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に応募していた「自然災害による被害の低減技術の確立と被災後ケアに関する研究」(代表者:宮内克之構造・材料開発研究センター長)が採択になりました。文部科学省からの連絡には,「東日本大震災の影響により選定結果のご連絡が遅くなり大変申し訳ございませんでした」とありましたが,まさに今,この研究成果が社会に必要とされています。お忙しいこととは思いますが,本学の研究・教育活動の活性化と共に,大学組織としての存在意義を社会に示す研究成果を期待しています。

2. 平成23年度の科研費の採択も明らかになりました。採択件数22件,うち新規が10件です。過去5年間では,最高の採択件数です。学生の教育・指導と大学の運営業務等で大変お忙しい中での成果で,先生方に心から敬意を表します。ただ年々上昇していた申請率が,ここ2年,53%で頭打ちです。100%の申請率を目指しましょう。

3. 本学の教育の要である大学教育センターの詳細が,ホームページにアップされました。福山大学教育システムに対する私たちの共通認識を深めるために,ぜひ一度目を通してください。


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