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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.10 2011.03.01

☆ 授業の方法について(2)・・・汎用力

本学の学生の多くは,卒業後,地域の中堅となる若者です。卒業生が地域をしっかり下支えすることにより地域は活性化します。そして,地域の中堅となる若者は,非常に専門的と言うよりはむしろかなり一般的,非常に特殊なというよりはむしろかなり一般的な仕事に就くことが多いと思われ,言い換えれば福山大学は,地域に役立つ一般的職業人を育てる大学といえます。また,現代社会は汎用力の高い堅実な一般的職業人を最も求めてもいるのです。現代のように変化がめまぐるしく,また多様な文化と否応なく接触する社会にあっては,ある狭い特定領域の知識・技能を持ち,それを進化・深化させていくことだけで一生がおくれるという職業人は,少数派でしょう。

中央教育審議会は平成20年に「学士課程教育の構築に向けて」を出しましたが,大学卒業までに学生が最低限身につけなければならない力を学士力と定義し,各専攻分野を通じて培う学士力として,1.知識・理解(専攻する特定の学問分野における基本的な知識を体系的に理解するとともに,その知識体系の意味と自己の存在を歴史・社会・自然と関連づけて理解する),2.汎用的技能(コミュニケーション・スキル,問題解決力など),3.態度・志向性(自己管理力,倫理観など),4.統合的な学習経験と創造的思考力,の4つをあげています。また,平成18年に経済産業省が,「職業や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として発表した12の能力要素からなる3つの能力(前に踏み出す力:主体性,実行力など,考え抜く力:課題発見力,計画力など,チームで働く力:傾聴力,ストレスコントロール力など)は,まさに汎用力ですが,こうしてわざわざ有識者による委員会でまとめて発表するということは,これらの力が現代社会ではとても重要であるということと同時に,意識して育てないと今の若者に簡単に身につくものではない,ということでもありましょう。

では私達は,専門的な知識・技能に加えて,さらにこのような汎用力を持った学生をどのようにして育てることが出来るのでしょうか。福山大学新教育システムはどのように育てようとしているのでしょうか。1年生必修の教養ゼミやキャリア・デザインIは,直接的にこの汎用力の形成を目指しているともいえます。しかし,これらの授業だけで,前述の汎用力が形成されるとはとても思えません。心理学の世界でも,20世紀中頃に,たとえば一般的な思考力,問題解決能力,創造力など汎用的な力を直接教えるプログラムを開発することがはやった時期がありました。しかし汎用力の養成を目的化しても,あまり成果は得られませんでした。これらの汎用力は,様々な専門的な学びの中で身についていくものであることが次第に明らかになってきたのです。しかし難しいところは,専門の学びの中で自然にこのような汎用力を身につけることの出来る人は多くないということです。学長短信No.9でも紹介したJ・T・ブルーアーは「授業が変わる~認知心理学と教育実践が手を結ぶとき~」の中で次のような意味のことを言っています。教師は,学生に自分の学びを振り返ってみるように,常に促す必要があります。すなわち,学生にメタ認知(自分の思考に気づいてそれを思考し,自分の心的過程をモニタして,行動目標に合わせてコントロールする能力)を働かせるように促す必要があります。メタ認知能力こそ思考や問題解決の根底にある汎用力です。教師は,専門の授業のこの場面でどのような汎用力を使っているか,あるいはどのように汎用力を使ったから「君はこれをこのようにうまくやり遂げられたのだ」ということを,指摘する必要があります。しかし,もし先生方が,そのような汎用力を自然に身につけた人である場合,「教えなきゃいけないこと?!」「そんなこと教えられるの?!」と思われるかもしれません。多くの若者は教わる必要があるし,教われば身につけることが出来るのです。すなわち,様々な汎用力は,メタ認知能力を
喚起して,意識して使う,あるいは使っていることを意識させることで,多くの学生が身につけることが可能になります。また,仲間の中で反省し合い,指摘し合うことによっても,気づきが促進されます。授業方法を,双方向型にしたり,学生参加型にしたり,体験活動を授業の中に取り入れたり,実験・実習にグループ討議を加えたり,といった教育方法の工夫もここにつながるのです。福山大学新教育システムのポイントの一つである「人間関係の輪を広げながら,知識・技能・態度を身につける」という方式は,学習意欲を喚起・維持する方法であると同時に,専門を学びながら汎用力をつけていく方法でもあります。専門教育が今以上に汎用力の育成につながるように,私達
は,学生の教育にもう一手間かけましょう。学生の汎用力が高まるということは,学生の就活力が強まることでもあり,そしてそれは地域の活性化につながります。

「広報の種」から拾ってきた,学生の活躍をお知らせします。

1. 2月20日に福山市で行われた第16回全日本実践空手道オープン選手権大会の初級/一般軽・中量級の部で,生命工学部の山本祥央さんが優勝,同じく生命工学部の古賀雅紀さんが敢闘賞でした。

2. 2月27日に府中市で行われた「府中EV&ゼロハンカーレース大会」に工学部機械システム工学科から3チーム出場。うち1チームが決勝レースで3位入賞しました。


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