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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.64 2015.04.03

少しがんばって、学ぶ!

満開の桜の下、次のような告辞で、750人の新入生と20人の新しい大学院生を迎えました。

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。ようこそ福山大学においでくださいました。福山大学教職員一同、そして在学生一同、新しい仲間を迎えることが出来たことをこころから喜び、こころから歓迎します。
また、ご臨席のご家族の皆様には、ここまで育て、そして福山大学へと、物心両面でご支援いただきましたこと、こころより感謝申し上げます。新入生とそのご家族の皆様のご期待に十二分に応えて、これから卒業までの期間、新入生の皆さんの広範な人間形成に向け、教職員一同全力を挙げて取り組む所存です。ご家族の皆様には、引き続いての物心両面でのご支援を、よろしくお願いいたします。

福山大学は、今年創立40周年の節目を迎えます。卒業生総数は約34,000人で、その中から備後地域を中心に、全国の様々の地域でリーダーや中核となる人材を多く輩出しています。創設者による建学の精神は、「学問のみに偏重するのではなく、真理を愛し、道理を実践する知行合一の教育によって、人間性を尊重し、調和的な全人格陶冶を目指す全人教育」ですが、この精神は、5学部14学科、4研究科13専攻を擁する、人文社会系、理工系、医療系のそろった中国地方有数の私立総合大学となった今日まで、脈々と続き、私ども教職員が行う教育支援の中心的理念となって受け継がれています。

さて、皆さんは本日福山大学に入学しました。「入学」すなわち「『学び』に入る」のです。では、何を学ぶつもりでしょうか。それぞれの学部・学科の名前が示しているような専門の知識や技能を学び、卒業後の就職につなげたい・・・そんな思いの人が多いかと思います。もちろんそれは間違ってはいません。でも、それだけでは十分ではありません。もう少し広い視野で社会を見てみましょう。皆さんが4年後あるいは6年後に出て行く社会は、いろいろ難しい問題を抱えています。

なかでも、少子高齢化でかつ人口が減少する社会への本格的な突入です。これから25年後の2040年には、日本の自治体の約半数が、今後少々出生率が上がったとしても、従来通りの社会のあり方の下では、自治体としての機能の維持が難しくなり、消滅可能性の大きい市や町になるだろうと、予測されています。人口学的に見れば、ある程度、先進諸国が必然的に至る道筋ではありますが、日本は外国との移動の少ない島国であるという地政学的特徴と、高度経済成長期以降、東京一極集中が極端に進んだという政治経済的事情の下、先進諸国の中でいち早く、「少子高齢化・人口減少社会」の入り口をくぐりました。2040年と言えば、皆さんはそれぞれの生活拠点の地域や組織で、働き盛りのリーダーや中核となっている年頃です。我が国の15~64歳の生産年齢人口は、1995年の8,700万人からすでに現在7,700万人まで減少していますが、さらに2040年には、5,800万人まで激減すると推定されます。現在もすでに労働力不足がいわれていますが、今のような労働力の使い方では、産業を含む生活全般の破綻は目に見えています。他方で、コンピュータ、IT技術、人工知能、ロボット等の急速な進歩は、人の働き方に、非常に大きな変革を迫るはずです。すなわち、生産年齢人口の減少は労働生産性の向上を求めることにつながり、人には、人でないと出来ないことを成し遂げる能力が、強く求められるようになるでしょう。

そのような時代が、皆さんがリーダーとして中核として働いている時期に確実に来るとすると、皆さんが高校卒業後の進路として、大学進学を選んだということは、とても重要な意味を持っています。大学ユニバーサル化時代とはいえ、大学進学率はたかだか50%です。皆さんには確実に、地域や組織の中核となり得る人材として育っていただく責任があるといえます。すなわち、いささかの覚悟を持って大学の学びに挑戦していただきたいのです。

教員の提供する知識と技能をそのまま受け入れて、試験をパスして卒業、というような学びでは、きっと将来後悔することになるでしょう。少しハードルを高くしても、仲間とともに、それも出来れば少々異質な仲間も含めて、仲間とともに自ら課題を見つけ、解決方法を考え、実践して失敗を繰り返してそれを乗り越え、自分たちなりの解決に至るという課題解決学修に代表されるようなアクティブ・ラーニング、すなわち主体的学修に果敢に取り組んでいただきたいと思います。どの学部・学科でも、あるいは課外活動としても、多様なアクティブ・ラーニングの機会を大学は用意しています。未知のことへの多少のチャレンジ精神、失敗してもくじけない少し強い意志、そして仲間との助け合いの精神も少々必要ですが、課題を仲間とともに乗り越え、成果を手にしたとき、皆さんはちょっとした成功感と小さな自信を手にするはずです。これを4年間あるいは6年間積み重ねることにより、卒業時には、福山大学卒業生として、IT機器やロボットが決して持つことのない、大きな自信と誇りを持って卒業することになるでしょう。

現在福山大学は「地域の中核となる幅広い職業人の育成」をミッションとしています。就職率はここ数年ほぼ100%です。大学は備後地域にあり、近隣地域から本学に来て近隣地域に就職して生活する学生は多く、先ほども述べたように、すでに多くの卒業生が、この地域の中核やリーダーとなって活躍しています。また大学の授業にも、社会と連携した活動にも、あるいは教員と学生による研究にも、備後地域に関係したものを増やしています。さらに、ミッションの「地域」という言葉には、備後地域に限らず、いろいろな地域でそこに根付いて中核となる人材という意味を込めています。オンリーワン企業そして地域から海外展開する企業の多い備後地域、また中国山地を背に瀬戸内に面した自然豊かな備後地域、この地域を範例として学び経験したことが、たとえ他の地域で生活することになっても、しっかりと生かされうるような、そういう教育を行います。将来は様々な地域に軸足を置いて、そこからグローバルに活躍できる、そういう根無し草でないグローバル人材に育っていただきたいとも考えています。そのような教育を行うことが、備後地域で唯一の私立総合大学である本学の存在意義でしょう。

このように、学び方も学ぶ内容も、高校時代の延長ではなく、新しい挑戦として、少しがんばって大学時代を過ごされることを、心から期待しています。そして私達教職員は、皆さんが誇りと自信を持って卒業できるように、皆さんの日々の学びを惜しみなく支援することをお約束して、入学式告辞とします。


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