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学長短信(松田文子 学長) 
Rector Statements by Fumiko Matsuda President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.63 2015.03.20

失敗を恐れず、強い意志を持って!

春らしい晴天に恵まれた卒業式でした。次のような式辞で、666人の卒業生と修了生を送りました。

皆さん,ご卒業おめでとうございます。在学中にはたくさんのことを学び,経験し,多くの人間関係を築かれたことと思います。それらを糧として,社会に出た皆さんが大きく花開かれることを,こころから期待しています。そしてご臨席いただいておりますご家族の皆様,本日は誠におめでとうございます。ご家族の皆様の長きにわたる物心両面でのご支援にこころから感謝申し上げます。

思えば、多くの皆さんの入学の直前に、東日本大震災と福島第一原発事故があり、入学式では、亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表してからの式の開始であったように思います。皆さんが大学で学んでいる間も、大震災からの復興はなかなか進まず、原発事故の後始末も相変わらず綱渡り状態が続いています。さらに台風、集中豪雨、それらの引き起こす土砂災害、あるいは思いがけない火山の噴火等々が、人間の知恵や科学技術の進歩をあざ笑うがごとく、多くの人の命や平穏な生活を奪ってきました。こうした中で、皆さんは、4年間あるいは6年間勉学を続け、本日卒業式を迎えることが出来たのです。自分の生きる力を誇りに思うと同時に、今日までの皆さんの勉学や生活を支えてくれた家族や仲間、そして社会の人々に感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。これからは皆さんが社会に出て、支える側に回ります。

では、皆さんがこれから出て行く社会は、というと、どうでしょう。頻発する自然災害に加えて、このところ世界も日本も、かなりぎくしゃくしています。皆さんが生まれた頃の1990年前後に、ベルリンの壁が崩壊し、ついでソビエト連邦が瓦解し、さらに今世紀に入ってインターネットによる若者中心の革命が独裁国家を倒すに及んで、これからの世界は、民主主義を中心とするある程度秩序の保たれた方向に向かうかと、一瞬思わせた時期もありましたが、その期待はそう簡単には実現せず、今は、テロ組織や強いナショナリズムの台頭などにより、アメリカとソビエト連邦が鋭く対立していた東西冷戦時代以上に、暴力と混沌の中に入ってしまっているように思えます。このような国際情勢は、このグローバル社会にあっては、私たちの日常生活や仕事にももちろん影響を及ぼします。国内的には比較的等質な社会として戦後発展してきた日本ですが、このところ、経済的な格差、大都市と地方の格差、世代間格差等、様々な格差にさらされて、社会がきしんできています。さらに、これから多くの先進諸国が遅かれ早かれ似たような状況に陥ると思われる、未知の世界、すなわち、技術革新とグローバル化の一方で少子高齢化と人口減、そして地域消滅となる、そういう社会の入り口を、我が国は先進諸国の中で真っ先にくぐったところです。

そうした中で、福山大学が、こうして若さと知力にあふれる若者666人を世に送り出すことができることを、私ども教職員は心から喜び誇りに思います。なぜなら、それは、まさに新たな「希望」を社会に送り出すことだからです。今年の5月には、創立40周年を迎える福山大学は、皆さんを含めて34,000人近い卒業生を送り出してきたことになります。その中からは、すでに備後地域を中心に全国の様々な地域で、リーダーや中核となって社会を担う人材が輩出しており、そこに皆さんは仲間入りすることになります。

しかし先ほども述べたように、国際的にも国内的にも、一段と「従来通り」が通用しない環境となっているところで、皆さんは実社会に出ていきます。大学がユニバーサル化されたとはいえ、大学進学率は約50%、皆さんは同世代の約半数しか受けない高等教育を受けて、今大学を卒業し、実社会に出ていくのです。このような時代にあっては、学んだ一つ一つの知識や技能よりも、それをいかに状況に合わせて応用できるかが重要であり、さらにそれ以上に重要なのは、自分たちが生活するこの地域、生活するこの社会を、自分たちで守り、自分たちで発展させるのだという強い覚悟と意志です。皆さんひとり一人の覚悟と意志によって、もっと人間味のある、もっと人と人のつながりを大切にした、共同体感覚に満ちた文明社会を作ることが出来るはずです。

皆さん、大学では、何を学びましたか。振り返ってみましょう。専門的な知識や技能はもちろん身につけました。情報リテラシーのような現代的教養も身につけました。それだけでしょうか。自己管理力、企画力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力、リーダーシップ、問題解決力といった汎用性のある力も身につけましたね。さらに、責任感、粘り強さ、倫理観というような態度も身につけたことと思います。これらのすべてをフルに活用し、更に新たに学び、強化し続けて、未知の世界に挑戦し、精神的に豊かなそして持続可能な社会を作っていく、たとえ小さくともその一翼を担うことが、本学を卒業した皆さんに課せられた使命です。それぞれの場所と部署で核となる人材となり、その地域を支え、そこから世界に発信し、ローカルにもグローバルにも、活躍していただければ、と期待しています。

福山大学の建学以来の教育理念である「学問のみに偏重するのではなく、真理を愛し、道理を実践する知行合一の教育によって、人間性を尊重し、調和的な全人格陶冶を目指す全人教育」の中で,今皆さんが大学教育の成果として手にしている自信と希望こそを,皆さんの心の軸として堅持し,共同体感覚を失うことなく、持続可能な未知の世界の形成に向かって、失敗を恐れることなく挑戦し続けて下さい。心から期待しています。

では皆さんのこれからのご活躍をこころから願って,式辞を終わりとします。


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