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学長短信(牟田泰三 前学長) 
Rector Statements by Taizo Muta President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.34 2010.05.20

☆ リーダーシップについて(1)

以前から、リーダーシップに関する私の考え方を皆さんにお伝えし、ご批判を仰ぎたいと考えて書いておいた文書がありますので、今回と次回の2回に分けて学長短信としてお届けします。ご意見お待ちしています。

1.リーダーシップとは何だろうか

リーダーシップという言葉を聞いて、織田信長やナポレオンのような人物を連想してしまうことが多いものです。それで間違っているわけではないのですが、この連想があまりに強すぎると、人々が好むと好まざるとに関わらず、有無を言わせずに目的に向けて引きずっていくのがリーダーシップだと思いこんでしまいます。

大学でもよくあることですが、ある人が望んでいることをやってあげると、この学長はリーダーシップがあると言われたり、また、これこれのことを是非学長のリーダーシップでやってくださいとか、自分の利益と結びつけて組織の長のリーダーシップが考えられることも多いものです。これらはどこか違和感が感じられる話です。

現代社会において、企業にしろ、大学にしろ、どんな組織にあっても、その組織を動かす力としてのリーダーシップは、大切な要素であると考えられます。リーダーシップは、社長や学長のような組織の長にのみ期待されているのではありません。課長であれ係長であれグループリーダーであれ、組織のどんな小単位においても必要とされるものです。大学でも、自分は一教員であり一研究者だから、リーダーシップとは関係がないと思っていても、研究室をまとめていくためにもリーダーシップは必要ですし、セミナーで学生達をまとめて学習効果を上げるためには優れたリーダーシップが求められますし、共同研究において優れた成果を上げるためにもリーダーシップは重要です。組織は、リーダーシップの重層構造で成り立っていると考えることができます。

一体、本当の意味でリーダーシップと言えるのは何でしょうか。ここでは「リーダーシップとは、組織の構成員が共有しているある目標に向けて、組織を誘導していくプロセスである。」と定義してみましょう。(注1)

2.リーダーシップの新しい考え方

近年展開されているリーダーシップ論の特徴は、リーダーそのものに超人的な能力を求めるのではなくて、組織の構成員が持っている力を、組織の目標に向けていかに引き出していくかという能力について考えるところにあります。

私自身、かつて、大学の教授として研究室を運営していく上で、リーダーシップというものの重要性を感じ始め、その後、学部長、副学長、学長という組織の舵取り役をするようになって、ますますリーダーシップの大切さを実感するようになりました。こうして色々な経験を積み重ねる中で、色々なリーダーシップに関する本を読んだりしました。しかしながら、これらの本にはほとんど満足できず、自分の考えていることとどこかが違うと感じました。そんな時に、ある人の薦めで、企業経営に関する優れた本「ビジョナリーカンパニー」を読むことになったのです。この本の中に、これまで私が考えていたこととほとんど同等のことが語られていました。(注2) この本と同様の考え方は、「企業生命力」という本(注3)でも述べられています。さらに最近になって、このような考え方のより一層進んだ形態として、「サーバントリーダーシップ(奉仕者的リーダーシップ)」という考え方が提示されています。(注4) サーバントリーダーシップでは、リーダーが果たすべき役割は、組織構成員の能力を信じて、構成員の活動を支援することにあると主張しています。大学のような知的集団においては、まさにこのようなリーダーシップが求められているのではないかと思います。

(「リーダーシップについて(2)」へ続く)

参考書

  • (注1)J.W.ガードナー:リーダーシップの本質(加藤幹雄訳、ダイヤモンド社、1993)
  • (注2)J.C.コリンズ、J.I.ポラス:ビジョナリーカンパニー(山岡洋一訳、日経BP社、1995)J.C.コリンズ:ビジョナリーカンパニー(2) 飛躍の法則(山岡洋一訳、日経BP社、2001)
  • (注3)アリー・デ・グース:企業生命力(堀出一郎訳、日経BP社、2002)
  • 注4)R.K.グリーンリーフ:サーバントリーダーシップ(金井真弓訳、英治出版、2008)
  • (注5)三隅二不二:リーダーシップの科学(講談社ブルーバックス、1986)
  • (注6)モーガン・マッコール:ハイ・フライヤー(金井壽宏訳、プレジデント社、2002)

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