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学長短信(牟田泰三 前学長) 
Rector Statements by Taizo Muta President

「学長短信」は、牟田泰三前学長が始めたもので、福山大学の大学運営を、どのような考えに立って、どのような方針で進めているのか、などについて、学長から教職員の皆さんに伝えるために、メールで届けているものです。

「学長短信」は、学内の皆さんに読んで頂くだけでなくて、大学外の方々にもこれを読んで頂いて、福山大学のことをより多く知って頂きたいと思います。そこで、前学長のものも含め、「学長短信」のバックナンバーを全て福山大学ホームページにアップすることにしました。

学外の皆さんにも、是非この機会に読んで頂きたいと思います。

☆ 学長短信 ☆ No.23  2009.06.24

☆ 福山大学のイメージキャラクター

長年にわたって、私は、二足歩行する「人型ロボット」の存在意義について疑念を抱いていました。例えば、ホンダが製作したアシモなどは、人間の動作をまねするだけの興味本位のおもちゃに過ぎないと否定的な見方をしていたのです。また、最近では、鉄腕アトムのような格好をしてコンピュータコントロールで二足歩行するロボットも売り出されたりしていますが、これらも何となくおもちゃの域を出ていないなと感じていました。

私達が本当に必要とするロボットは、人間の形をしていなくても、工場や病院などの現場で、すでに活躍していて、何も、人間の形をして、人のまねをする必要はないのだと思っていたのです。人間には不可能な高精度加工をコンピュータコントロールで行うマシンや、人間に不向きな単純作業を長時間にわたってコンピュータコントロールのもとで続けることができる機械など、いわゆる工業ロボットとか、テーブルや椅子がコンピュータコントロールされていて病人や老人の手助けをするロボットとかこそが、実際に役に立ち、我々が必要とするロボットなのだと思い込んでいたようです。

しかし、これは、あまりにも身勝手な、独りよがりの考えであったと気が付きました。ロボットに対する高橋智隆先生の考え方は、私の固定観念を吹っ飛ばすのに充分でした。とにかく、高橋先生の人型ロボットを目の当たりにすれば、ロボットに対する無機質な感覚を抱いていたことに恥ずかしさすら感じます。高橋先生の人型ロボットをまだ眼にしたことがない方は

http://www.robo-garage.com/

をご覧になって下さい。このロボットは人間の温かみを持っています。

人型ロボットの研究は世界的にもまだ緒についたばかりで、開発途上の側面が多いので、これらが近い将来どんな展開を見せるかを軽々しく論じることはできないと思いますが、私には、前途に大海原が開けているように思えてなりません。

単に、老人の介護に役に立つとか、一人暮らしの方の話し相手になれるとか、すぐに思いつくような利用方法はありますが、そんな手近なことを越えた大きな世界が背後にあるような気がするのです。

人型ロボットの歩行方法やデザイン、コンピュータコントロールの精度などに関する研究を推し進めていけば、逆に、人間の営みに関するより深い理解が進むと考えられます。人型ロボットの研究を突き詰めていけば「人間とはいったい何だろうか」という究極的な疑問にも行き着くでしょう。「人間性とは一体何だろうか」という問いかけにも、思いがけないところから考究の手がかりをつかむことができるかも知れません。そもそも、ロボットに優れた運動性能を持たせ、高度のコンピュータを積み込めば、人そのものを作ることが出来るのかという大問題にも突き当たります。コンピュータは、果たして、意識を持つことが出来るのかという根源的な問いとも向き合わねばなりません。

福山大学の建学の精神の中では「人間性を尊重した調和的な全人格陶冶を目指す全人教育」と述べられています。これは、もちろん、人間の教育に関する考え方を述べられたものです。しかしながら、人型ロボット研究の行き着く先が人間性の探究と結びついているということは、本学の教育理念と素晴らしい共鳴をしているように思えます。

私は、躊躇無く、人型ロボット「クロイノ」を福山大学のイメージキャラクターとしたいと高橋先生に申し上げ、これを快諾していただくことができました。

この件に関しては、理事長をはじめ大学内の主だった方々とも話をし、完全に合意することが出来ました。また、学部長会でも了解が得られました。広報委員会でも検討していただいているところです。

誤解を避けるために言っておきますが、新設の電子・ロボット工学科を宣伝するためという狭い了見でクロイノを起用しているのではありません。ただでさえ知名度が低いといわれている本学のイメージを、クロイノに託して飛躍的にアップさせてやりたいという想いが私を駆り立てているのです。

全学の皆さん。あらゆる機会と手段を活用して福山大学の知名度をより一層高めるよう努力しようではありませんか。


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