福山大学 薬学部 TEL 084-936-2111(代)A.間違い
『漢方』という呼び方は日本固有のもので、6世紀に中国の医学がもたらされ、日本の国情に合わせて改良された医学です。江戸時代にオランダ医学(蘭学)と区別するためにつけられた名称で、中国(漢)の医学(方)という意味があります。中国では伝統医学が再評価され、『中医学』として医学理論体系が再編されています。
A.正解
漢方薬は植物、動物、鉱物からなる生薬(しょうやく)を原料に、漢方医学理論に基づいて複数の生薬から作られており、合成品を全く含みません。
A.間違い
病気の種類や個人差はありますが、葛根湯、小青竜湯、芍薬甘草湯などのように急性疾患では30~60分ぐらいで効く漢方薬も少なくありません。ただし,慢性疾患や根本的な治療が必要な病気については長期服用が必要になります。一般に処方中の生薬数が少ない漢方薬ほど、シャープな効果を示すといわれています。
A.間違い
漢方薬でも使い方を間違えれば当然ながら副作用は起こります。そのために『証』という概念に従って漢方薬を適正に使用することが重要です。証とは患者さんに最適な漢方薬を選ぶための薬物治療指針であり、漢方薬の効果を最大限に発揮し、副作用を防ぐためのマニュアルといえます。
以下によくある漢方薬に対する質問をQ&Aで例示しおきます。詳しくは薬剤師さんにお尋ね下さい。
A.温めて飲む(温服)意義としては次のことが考えられます。
1.香りによる消化機能の亢進や気の巡りを助けます。
2.成分の溶解性を高めることで吸収を促進します。
3.体を温めることで、冷えによって症状の悪化を防ぎ、新陳代謝を亢進します。
■ エキス剤の服用方法
白湯に溶かして温服するのが効果的と言われていますが、飲みにくい場合は通常の
服用方法でも問題ありません。
■ 煎剤の服用方法
煎出液を温めて服用する温服が一般的ですが、のぼせ、炎症、鼻血などがある場合は冷服がよいとされます。
A.漢方薬は一般に食間・食前に服用するように指示されていますが、必ずしも根拠があるわけではありません。空腹時の服用により、不快感や食欲不振などを起こす場合は、むしろ食後に服用する方がよいでしょう。
■ 食欲不振や胃部不快感などが起こる原因
1.食前の服用で食欲不振や腹部膨満感を訴える胃腸虚弱な患者さんには賦形剤の乳糖
によって腹部膨満・下痢などの胃腸障害を起こす乳糖不耐性症の人がおられます。
2.消化管の水分代謝が悪い患者さんの場合、地黄が含まれる処方で胃腸障害を起こす
人がおられます。
3.冷えのある患者さんの場合、石膏が含まれる処方で食欲不振、胃部不快感、軟便な
どの消化器系症状を起こす人がおられます。
■ 一般的な対処法
1.服用時間の変更 2.剤形変更、メーカー変更 3.服用量の減量
4.服用時の水分量を増やす 5.処方変更
A.胃腸障害は漢方薬の副作用で最も多い症状です。特に初期の軟便化は配糖体成分が腸内代謝を受ける際に起きる一過性の場合が多く、悪化しなければしばらく様子をみて下さい。
■ 腹痛,軟便,下痢などに対する一般的な対処法
1.大黄剤による腹痛・下痢:1)服用量の減量 2)処方変更
2.芍薬による軟便や配糖体成分によって起こる軟便・下痢:
1)経過観察 2)処方変更
A.漢方治療では瞑眩(めんげん)という現象が起こることがあります。これは治癒の過
程で起こる一過性の鼻血、下痢、嘔吐、発疹などで、1週間以内に出現することが多く、その後急速に快方に向かう現象と説明されています。誤治(ごち)は誤用による副作用のことで、しばしば副作用として取り上げられます。それ以外に予測不可能な薬剤アレルギーなどがありますが、主な副作用は以下の通りです。ほとんどの場合、適正に使用されていれば防ぐことができる副作用です。
■ 漢方薬による主な副作用(原因となる可能性のある生薬)
1.胃腸症状:胃もたれ、吐き気、胃痛、下痢など(麻黄、大黄、地黄、当帰、石膏)
2.皮膚症状:発疹、痒み、蕁麻疹など(桂皮)
3.精神神経症状:のぼせ、不眠、動悸など(麻黄、附子、人参)
4.その他:肝機能障害、肺炎など
A.適応する漢方薬として、当帰芍薬散(貧血、妊娠中毒症、流産・早産の予防)や小
半夏加茯苓湯(つわり)、半夏厚朴湯(つわり、精神不安)などがあります。不適な漢方薬としては大黄剤、駆瘀血剤、麻黄剤があげられます。
A.漢方薬には西洋薬の吸収や代謝に作用を及ぼす可能性のある成分が含まれており、西洋薬によっては効果に影響を受けることも考えられます。できれば、1時間以上空けて服用するのが望ましいとされています。
■ 抗生剤との併用に注意を要する漢方薬
1.石膏、竜骨、牡蛎、滑石などの鉱物性生薬を含む漢方薬:
これらはCaやAlを含むため、ニューキノロン系、テトラサイクリン系や一部のセ
フェム系抗生剤とキレートを形成し、抗生剤の吸収を抑制する可能性があります。
2.大黄を含む漢方薬:
大黄の下剤作用は主成分であるセンノシド類が腸内細菌によってレインアンスロンに
なることで活性を示します。そのため、水溶性の高い抗生剤は長く下部消化管に留ま
り腸内細菌の働きを抑えるため、大黄の下剤作用を減弱する可能性があります。
A.ジュースやお茶には漢方薬と同じ成分が含まれており、あまり問題はないと思われ
ますが、牛乳は吸収などに影響を及ぼす可能性があり、あまり勧められません。
A.保管条件によっては褐色化することがありますが、ほとんど問題ありません。比較
的高温でも変化しませんが、湿度に影響を受けやすいので、冷蔵庫での保管は結露などで吸湿しやすいので避けて下さい。ただし、医療用漢方製剤のようにSP包装(strip
package)されたものは吸湿性の心配はありません。
A.ハチミツが薬効にどのように影響を及ぼすかは分かっていません。漢方薬の味や香りは薬としての重要な因子と考えられており、患者に合っていれば徐々に慣れることもあります。
A.患者のコンプライアンスや品質などを考慮すると、一長一短のところがあります。
ただし、エキス剤は白湯で溶かしてから服用するとより効果的だと考えられています。
A.鉄はタンニンやフェノール性成分と反応して沈殿を起こすので、鉄製の容器で煎じてはいけません。
A.抽出効率が低下すると言われていますが、あまり問題にならないと思います。
A.温度が下がると溶け出した成分が沈殿し、有効成分が生薬の滓に吸着される可能性が考えられます。さらに生薬の滓が膨潤することで、液量が少なくなりますので、温かいうちに茶こしやガーゼでこすようにしましょう。
A.沈殿には生薬の滓や水に難溶な成分が含まれ、処方によっては有効成分が多量に沈殿することがあります。そのため、通常は服用前に数分間加熱し,懸濁した状態で飲むようにしましょう。